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 (仮題)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー  その21
                        ストーリー・脚本 首藤剛志       

○ 新宿 地下道
     陽子、息が切れてくる。                        
     転ぶ・・・・。                              
     立ち上がる                              
     しかし、前方にも兵士。                        
     後ろにもゼンと追っ手がいる。                     
     陽子、よろけながら逃げる。                      
                                        
○デパートのショーウインド                           
     ウェディングドレスが飾ってある。                   
     疲れ果てて動けない陽子が、ショーウインドを背によりかかる。      
 ゼン「逃げられないと云ったろう。その指輪のある限り、お前はわたしのものだ。」 
     ゼンが近づいてくる。                         
     陽子の顎に手をやる。                         
 ゼン「さあ、レダ・・・・お前の国へ行こう・・・・」                  
     陽子の目が陶然となっていく。                     
     陽子、うなされた様にかぶりを振る。                  
 陽子「違う・・・・わたしはレダじやない。わたしは・・・・陽子・・・・そう・・・・わたしは陽子」
     陽子、指輪を抜く。                          
 陽子「こんなもの・・・・・ こんなものいらない。」                 
     指輪をゼンの顔に投げる。                       
 ゼン「ウッ!」                                
     指輪は、ゼンの額に傷をつけ、宙に舞う。                
     指輪が光る。                             
 陽子の声「誰か、誰か、助けて!」                       
                                        
○公園                                     
     バイクに乗っている杏子が静止している。                
     指の指輪が光り、はじける。                      
     杏子、我にかえる。                          
 杏子「ん?」                                 
                                        
○レダの神殿                                  
     健一に抱き起こされている杏子の指輪もはじける。            
                                        
○予備校                                    
     計算器を使って授業を受けている裕子が静止している。          
     その指輪がはじける。                         
     計算器の数字が、11111111110に変わる。           
 裕子「えっ?」                                
                                        
○レダの神殿                                  
     白蝋化した裕子の指輪がはじける。                   
     元に姿に戻る裕子。                          
                                        
○弓道場                                    
     晶子、今まさに、矢を放とうとした姿で静止している。          
     指輪がはじけ……矢が放たれ、的に命中する。            
 晶子「やったね。」                              
                                        
○レダの神殿                                  
     白蝋化した晶子の指輪がはじける。                   
     みるみる元の姿に戻っていく。                     
                                        
○レダの神殿                                  
 杏子「陽子!・・・・待ってな。」                         
     杏子、エアースクリューのエンジンをかける。              
 杏子「行くよ。」                               
 健一「了解!」                                
     健一、落ちている陽子の剣を拾って、杏子の背中にしがみつく。      
     エアースクリューはすっ飛んで行く。                  
                                        
○デパートのショーウインドーの前                        
     額から青い血を流しながら、ゼンが陽子に迫る。             
 ゼン「今更何をしても無駄だ・・・・。」                      
                                        
○公園                                     
     オートバイの750cc に乗る杏子に、エアースクリューの杏子がWる。              750cc に翼がつき、後部座席には、健一が乗っている。          
 杏子「しっかり掴まってな。」                         
     750cc 、宙をすっ飛んで行く。                     
                                        
○デパートのショーウインドーの前                        
 ゼン「お前はわたしのもの・・・・逃げられはせぬ。」                
     ゼンの目の光り……                        
     陽子の気が遠くなりそうになる。                    
     その時……。                           
     ガチャーン!                             
     杏子の750cc が突っ込んでくる。                    
     我に返る陽子。                            
 陽子「杏子!」                                
 杏子「ハーイ! 手伝いに来たぜ。」                      
     次の瞬間、兵士の何人かが、矢で倒される。               
     晶子が弓を持って立っている。                     
 晶子「わたしもね。」                             
     兵士達の真ん中で、砲弾が炸裂する。                  
     小型爆弾を持った裕子が立っている。                        裕子「確率としては、わたしもこんにちわしないと、おっかしいもんね。」     
 陽子「みんな・・・・!」                             
 杏子「雑魚は私達に任せな・・・・けど、そいつは陽子でなきゃダメだ。」       
 陽子「えっ?」                                
 健一「そうさ、この世界は、君が作ったんだからね。さ、これを。」        
     健一、剣を陽子に投げる。                       
     陽子、剣を受け取る。                         
 陽子「ええ、私は、私はケリをつけるわ。」                   
     剣が光る。                              
     セーラー服がはじけ飛び、レダの戦士の衣装になる。           
     ゼンに向きなおる。                          
 陽子「あんたなんか、いらない!」                       
     陽子、猛然と剣を打ち込む。                      
     ゼンも剣を抜いて受けとめる。                     
 ゼン「おまえは、私には勝てない!」                      
 陽子「勝つわ」                                
     火花を散らして交錯する剣。                      
     杏子も晶子も、死に物狂いで兵士達と闘う。               
     健一、ただ呆然と見守るのみだ。                    
     流れ弾や弓矢に、頭を抱えてよける。                  
     ふっと下を見ると、そこに銀の指輪が落ちている。            
                                        
                              (次回につづく)

 (仮)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー その20
                   ストーリー・脚本 首藤剛志
○ 神殿の広間                       
     陽子はレダの女王に、剣を構える。                         レダ「あなたは女王になる娘・・・・わたしに剣を向けるのは、自分に剣を向けることにな
    るのですよ。」                             
 陽子「わたしは、あなたじゃない。わたしは朝霧陽子です!」           
 レダ「そう・・・ そうなの・・・・でも、あなたは逃げられない・・・・・ この世界から・・・・」 
     レダの形相が変り、巨大な女王蜂になる。                
     陽子に飛びかかる。                          
     陽子も、突っ込んで行く。                       
     倒れている杏子と健一、ただ見守るばかりだ。              
     女王蜂の眉間に、レダの剣が突き立つ。                 
     女王蜂、地響きを上げて床に落ちる。                  
     陽子、手に持った剣の鞘を、二度と触りたくないというように捨てる。   
     女王蜂の姿が、レダに戻り、次第に、年老いてひからびていく。      
 レダ「これでいいのです。女王は二人いりません。前の女王を倒してこそ、レダの資格
    があります・・・・。」                           
     レダの手に中の指輪がきらめく。                    
     神殿が……。 レンゲ畑が……。 三つ壁の屋敷が……。  
     三つ壁村が……。                         
     全てが消えていく。                          
     陽子、闇へ向かって落ちていく。                    
     飛び散る、黄色いレンゲの花。                     
                                        
○陽子の部屋                                  
     陽子は目を醒ます。                          
     机のうえのパソコンの前で、うたた寝をしていたのだ。          
     朝の光が眩しい。                           
 陽子のN「あれは夢?・・・・・ あ・・・・」                      
     パソコンの前に、キラリと光るものがある。               
     銀の指輪……。                           
     陽子、ぼんやりと指輪を見つめる。                   
○新宿                                     
     行き交う人々・・・ 車・・・・                        
     夏の日差しが高層ビルの窓に踊っている。                
○公園                                     
     すみれの花が、咲き乱れている。                    
     ベンチに、セーラー服の陽子が坐っている。               
     杏子の乗った750cc のバイクが止まる。                 
 杏子「陽子、旅行だって? 一人で?」                     
 陽子「高校最後の夏、うん、ちょっとセンチメンタル・・・・。」           
 杏子「ま、よかろう、それも。」                        
 陽子「あなたも行かない?」                          
 杏子「悪いけど、今年の夏はちょっとヤボ用。」                 
 陽子「え? あ・・・ そう。」                          
 杏子「悪いね・・・・」                              
 陽子「うううん・・・・あ・・・・」                          
     陽子、杏子の指輪に気付く。                      
 杏子「え? あ・・・・これ?」                          
 陽子「レダの指輪・・・・」                            
 杏子「あん? なんのこっちゃ、これ、だち公からもらったんだ。安物だけど、つけて
    やんなきゃかわいそうだろ・・・・。」                    
 陽子「そう・・・・」                               
 杏子「どうかしたのかい?」                          
 陽子「ん? なんでもない、うん。」                      
                                        
○高層ビルの街路                                
     陽子、ぼんやりと歩いている。                     
 N 「やっぱり夢だったのでしょうか・・・・・ でも・・・・」              
     指輪を見る。                             

○街路                                     
     街路の向こうから、例の男子学生と女子学生が、にこやかに笑いながら歩いて
     陽子とれ違う。                            
 N 「・・・・・ この指輪は、誰が・・・・・ 誰? 誰かがいる筈・・・ 」          
     陽子、振り返る。                           
 陽子「!!」                                 
     男子学生のカップルの動きが止まっている。               
     そればかりではない。街の全てが止まっている。             
     まるで、スティール写真だ。                      
     街路の花壇のすみれが、黄色いレンゲに変っている。           
     いつのまにか、高層ビル街は、至る所、レンゲの畑だ。          
     どこからか、羽根の音が聞こえる。                   
     陽子、歩き始める。                          
     次第に足早になる。                          
     更に大きくなる羽根の音……。                   
 陽子「あっ!」                                
     首筋を押さえる。                           
     何かが突き刺さったのだ。                       
     恐る恐る、首筋にあてた手の平を広げる。                
     蜜蜂がいる。                             
     陽子、後を振り返る。                         
     上空を見上げる。                           
     高層ビルを覆い隠すような蜂の大群、                  
     陽子、走り出す。                           
     蜂の群れは動きだし、陽子を追い掛ける。                
     陽子、地下道の階段を駆け降りる。                   
                                        
○新宿地下道                                  
     走る陽子。                              
     通行人も車も、ピクリとも動かず、全ての時が止まっている。       
     陽子、地下道の出口へやってくる。                   
     蜂の大群が舞っている。                        
     陽子、逃げる。                            
     いつのまにか、そこは東口の地下だ。                  
     地下出口から、のぞく東口の空も、蜂の大群だ。             
     陽子は走る。走る! 走る!!                     
     地下道の前方に、蜂の大群が入って来る。                
     陽子はすくむ。                            
     蜂の大群が集まり、人間の体になる。ゼンである。            
     その後に、レダの国の兵士達が並んでいる。               
 ゼン「陽子、お前は逃げられない・・・・。」                    
 陽子「生きていたの? あなた。」                       
 ゼン「お前がわたしを忘れぬ限り、わたしは死なぬ。そう、陽子・・・・いや、レダの女王
    よ。レダの国を治めているのは女王ではない、男のわたしなのだ。お前は、わた
    しの奴隷だ。お前は、わーたしの成すがまま、レダの国を支配し、レダの子孫を
    生み続けるのだ。」                           
 陽子「いや、絶対いやだ!」                          
     陽子、逃げる。                            
     ゼン、音もなく動き、陽子を追う。                   
     兵士たちも後に続く。    (21につづく)                     

(仮)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー 19
                     ストーリー・脚本 首藤剛志

○ 神殿の広間                       
     包丁をはじき飛ばされて、健一、すくむ。                     
     その時、ゴンの眼を、杏子のムチがぴしゃりと叩く。           
     眼を押さえるゴン。                          
 杏子「今だよ。」                               
 健一「分かってらい。」                            
     健一、ゴンに飛びかかる。                       
     包丁が光る。                             
     ゴン、立ったまま、健一をにらみつける。                
     一歩、二歩、三歩、健一に近づいてくる。                
 陽子「北里君、逃げて!」                           
     しかし、健一は、ニヤリと笑って……                
 健一「男はでかけりゃいいってもんじゃないぜ。」                
     ゴン、まさかりを振り上げる。                     
     次の瞬間、ゴンの体、バラバラになり、骨だけ残して、床に崩れる。    
     骨の骨格は、昆虫である。                       
 健一「一丁あがり。こういうのを活き作りという・・・・・ ナハハハハ。俺、やっぱ才能あ
    んだな。」                               
     と、包丁を頭上にかかげる。                      
     ポカンと口を開けて見ていた陽子に、杏子が叫ぶ。            
 杏子「いくよ!」                               
 陽子「うん!」                                
     レダ像の前に、白い光が走り、ゼンが現われる。             
 ゼン「娘達よ、わたしが相手をしよう・・・・・ もはや、まやかしは使わぬ。力で、わたし
    を撃ち破るがよい。」                          
     ゼンが剣を抜く。                           
     陽子も剣を抜く。                           
 ゼン「どちらが、最初の相手かな。」                      
 杏子「もち、あたしさ」                            
     杏子、ムチをパチンと叩く。                      
     ゼン、杏子の方を向く。                        
     陽子、剣を握りしめる。                        
  N 「だめ、杏子・・・・わたし、わたし・・・・・ もう足でまといにはならない・・・・・ 」  
 陽子「相手はわたし!」                            
      陽子、ゼンに突っ込んで行く。                     
     ゼン、陽子の剣を払う。                        
     そして、一撃、二撃、剣を陽子の剣に叩きつける。            
     陽子、必死で受けとめる。                       
     陽子の剣が折れる。                          
     喉元にゼンの剣が、突き付けられる。                  
     その剣に、杏子のムチが絡みつく。                   
 陽子「杏子、わたしに構わず、早く指輪を!」                  
 杏子「そうはいくかい!」                           
     ゼン、宙を一回転すると、杏子の前に立ち、剣を振り降ろす。       
     ムチが切れる。                            
     杏子、肩を押さえて倒れる。                      
 陽子「杏子!」                                
     陽子、杏子に駆けより抱き起こす。                   
     健一が包丁を振り回して、ゼンに飛びかかっていく。           
 健一「このーッ、よくも、よくも。」                      
     ゼン、虚をつかれ、防戦一方になる。                  
     杏子は、陽子の腕のなかで虫の息である。                
 陽子「杏子、こんなことって! 冗談はよして!」                
 杏子「早く指輪を・・・・あの指輪で幸福になれるなら、それは、うん、あんたの方が似合
    っているよ・・・・」                            
     健一、ゼンの剣で払われ、床に叩きつけられる。             
 杏子「早く指輪を・・・・・ 」                           
 陽子「杏子!」                                
     陽子、かぶりを振る。                         
 陽子「いやだ、そんな指輪なんて!」                      
     陽子、ゼンをにらみつけて立ち上がる。                 
 陽子「許せない!」                              
 ゼン「残るはお前か?」                            
 陽子「あなたになんか負けない。」                       
     陽子の手には、折れた剣しかない。                   
     陽子、レダの像の剣を見る。                      
 ゼン「どうやって勝つつもりかな?」                      
 陽子「戦って・・・・・ 」                             
     陽子、折れた剣を、ゼンに投げつける。                 
     そして、レダの像に向かって走る                    
     レダの像の剣を取り、抜く。                      
 陽子「わたしは勝つわ、あなたに勝つ」                     
     レダの剣が光る。                           
     光の渦に包まれる陽子の体。                      
     古代服風の衣装が消え、レダの衣装、(神像と同じ格好)になる。     
 陽子「!」                                  
     倒れている杏子と、それを抱き起こしに駆け寄った健一も呆然となる。   
 陽子「消えて、わたし達の前から!」                      
     陽子、無茶苦茶に剣を、ゼンに叩きつける。               
     ゼンの顔に驚きが走る。                        
     ゼンの剣が宙を飛ぶ。                         
     次の瞬間、ゼンの体は、真っ二つになっている。             
     七色の光が神殿に渦巻く。                       
     レダの像が、真っ二津つに割れ、妖婉なレダの女王が現われる。      
 レダ「陽子さん、あなたこそ、新しいレダになる資格のある娘です。」       
 陽子「なんですって?」                            
 レダ「この世界は、たった一人の女王が全ての民を生み、支配して治めているのです。
    私も三〇〇年前、この世界の女王になって以来、何億もの子を生み続け、この世
    界を治めてきました。」                         
                                        
     インサート=神殿を囲む雲霞のような民衆、大群。            
                                        
 レダ「でも、私にも寿命が来ました。今、女王の交代の時が来たのです。私は三〇〇年
    前、銀の指輪を託したメスを野に放ちました……」          
                                        
     イメージ=レンゲの花畑。レダの女王の手の平から蜜蜂を放つ。      
                                        
レダ「そして、三〇〇年たった今、レダの血を強く引く娘達を集め、その子孫の中から、女王に相応 しい者を選ぶことになったのです。陽子さん、あなたは、その一人であり、あの男の記憶は、あなた達を引き寄せる蜜の香だったのです。しかし、蜜の香に惑わされるだけの娘では、この世界の女王として相応しくありません三〇〇年この国を支配し、子を生み続けるには、強い意志と力が必要なのです。そして、生き残って選ばれたのは、あなたでした。さあ、レダの指輪をつけ、この国の女王になるのです」          
     レダの女王は、指輪を陽子に差し出す。                 
 陽子「いらないわ、そんなの。」                        
 レダ「えっ?」                                
 陽子「何人の女の子が犠牲になったと思ってるんです?」             
 レダ「・・・・・ 」                                
 陽子「あなたには、わたし達の生き方、勝手に決める権利なんかないわ。それなのに・・
    ・・それなのに・・・・・ 」                          
     イメージ=白蝋化した娘達。                      
 陽子「わたし、あなたも、この世界も、絶対許せない。」             
 レダ「わたしに逆らうというのなら、あなたはわたしを倒すよりありません。」   
 陽子「ええ、わたし・・・・そのつもりです。」                   
     陽子、剣を構える。  (20へつづく)                      

 (仮)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー その18
                        ストーリー・脚本 首藤剛志

○街(夜)                                   
     晶子の悲鳴が闇に響く。                        
     陽子、足を止め振り返る。                       
 陽子「晶子さん・・・・・ 」                            
     陽子、剣を抜き、震えながら、今来た方向へ戻っていく。         
     街角から、ゼンが出てくる。                      
     脇に、白蝋化した晶子を抱えている。                  
     ゼン、陽子を見て、ヒヤリと笑う。                   
     晶子の体を路上に投げ出す。                      
 陽子「!・・・・」                                
     陽子、ショックで膝をつく。                      
 陽子「どうして・・・・こんなことって・・・・・ 」                   
 ゼン「逃げられぬと云ったろう・・・・・ さあ、わたしの元へ来るがよい。・・・・・ お前が望
    んでいるわたしの腕の中へ。」                      
     ゼン、近づいてくる。                         
     ビューン!                              
     いきなり、ゼンの体をかすめて、杏子と健一の乗るエアスクリューが突っ込ん
     でくる。                               
     杏子、陽子の襟首を掴むと、そのまま上空にすっ飛んで行く。       
 陽子「いや! 離して! 晶子さんが! 晶子さんが」              
 杏子「分かってるさ。でももうしょうがない。しっかり掴まってろよ。」      
 陽子「いやだ! 離して!」                          
     もがく陽子。                             
 杏子「馬鹿! 一人で何が出来るんだ!」                    
 陽子「!」                                  
     陽子、がっくりとうなだれる。                     
 N 「そう、そうなんです。わたしは、いつでも何も出来はしない。」       
     白蝋化した晶子の傍で、陽子達を見上げるゼンの姿が眼下に遠ざかっていく。
                                        
○岩山の上(夜)                                
     三日月が、神殿を照らしている。                    
     陽子、肩を落として坐っている。                    
     杏子が来て、横に坐る。                        
 杏子「元気出せよ。」                             
 陽子「杏子、弱虫でのろまなわたしがいなければ、みんな、まだ、助かっていたかもし
    れないわよね。」                            
 杏子「(肩をすくめ)分かんないよ。そんなこと・・・・・ けど、現実は、あたい達しか残
    っていない。」                             
 陽子「ね、もう足でまといになるわたしなんか、構わないで・・・・でなきゃ、今度は、あ
    なたが危なくなるわ。」                         
 杏子「出来ないね。」                             
 陽子「えっ?」                                
 杏子「何となく、あんたは他人のような気がしないのさ・・・・」           
 陽子「・・・・・ 」                                
 杏子「あたいね、ちっちゃい時から親も兄弟もいなかった。だから一人で突っ張って生
    きているけど・・・・・ ほんとは、あんたみたいにモ女の子メしたかったんだ。うう
    うん、本当は、元々あんたみたいな女の子だったのかもしれない・・・・でも、今更
    あんたみたいになれないし、なれっこもないよね。」            
 陽子「杏子・・・・」                               
 杏子「だからさ、あたい、なくしちまった自分を守りたいのかもしれない・・・・あんたを
    守ってね・・・・迷惑かい?」                        
     陽子、何度もかぶりを振る。                      
     涙がじんわりとにじんでくる。                     
 杏子「明日は、あそこへ突っ込む。今のうちに眠っておいたほうがいいよ。」    
                                        
     二人、見つめあう。                          
     陽子、コクリとうなづく。                       
     少し離れた岩場で、頬杖をついている健一がつぶやく。          
 健一「男のはいり込めない世界か・・・・」                     
                                        
            *           *               
                                        
     陽子、岩場を背に眠っている。                     
     ふっと目を醒ます。                          
     横に杏子が眠っている。                        
     陽子、杏子の肩に寄り添って、目を閉じる。               
     杏子、気付き、陽子の肩に手をおき、目を閉じる。            
     抱きあうように眠る二人。                       
                                        
○朝日が昇る。                                 
     神殿を見つめている陽子と杏子と健一。                 
                                        
○岩山の上                                   
     エアースクリューのエンジンがかかる。しがみつく様な三人を引っ張って、エ
     アースクリューが、岩山から飛び出す。                 
                                        
○神殿上空                                   
     エアースクリューが飛んでくる。                    
     その前方に、雲霞の大群の様な、兵士達の浮遊メカが、集結してくる。   
 健一「わっ! ダメだこりゃ!」                        
 杏子「かまうか!」                              
     エアースクリュー、大群のなかに突っ込んでいく。            
     と、大群は道をあけ、なんの攻撃もせずに、エアースクリューを通す。   
 健一「あん?」                                
 杏子「行くのみ!」                              
 陽子「うん」                                 
     神殿の扉が開く。                           
     エアースクリュー、飛び込んでいく。                  
                                        
○神殿の広間                                  
     金色に輝く、レダの女神が立っている。                 
     仏像というより、リアルで官能的なインドの女神像に似ている。      
     半裸の体の腰には剣……。                      
     その手に、銀の指輪が輝いている。                   
     エアースクリュー、飛び込んで来る。                  
     急ブレーキがかかる。                         
     前方に、三つ壁の屋敷の小姓頭が立っている。              
 小姓頭「よくぞ、ここまで、来られました。しかし、あの指輪を手に入れる者は、ただ
     一人・・・・最後の試練が待っております。」                
     いきなり、小姓頭の小さな体が内側から弾け飛び、ゴンの体が現われる。  
     ゴンは、まさかりを持っている。                    
     身構える杏子。                            
     健一が、はちまきをして、包丁を両手にもち、進み出る。         
 健一「ここは僕に任せて、君達は指輪を・・・・・ 」                 
 杏子「(溜め息)無理だよ。」                         
 健一「うるさい。女は黙ってろ! このまま見せ場なしで終わってたまるかってんだ。
    行けったらいけよ!」                          
     健一、包丁を、曲芸のようにくるくる回しながら、            
 健一「さあ、でかいの! 三枚おろしに料理してやらあ。」            
     ゴン、まさかりを振り降ろす。                     
     健一、かろうじてかわす。                       
     更に、振り降ろされるまさかり。                    
     健一の包丁が、はじき飛ばされる。  (19へつづく)                 

(仮題)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー
            その17
                          ストーリー 首藤剛志
                          脚本    首藤剛志

○森B                                     
     陽子達四人が走って来る。                       
 杏子「伏せろ!」                               
     四人、倒れこむ。                           
     頭上を、様々な浮遊メカに乗った兵士達が飛んでいく。          
     ザクッ、ザクッと足音を響かして、蟻のような歩兵隊が進んでくる     
 杏子「こっち!」                               
     四人、岩陰に隠れる。                         
     兵士達、通り過ぎていく。                       
     フッと息を吐く一同。                         
     最後部にいた陽子が、ふと後ずさる。                  
     何かが手に触れる。                          
 陽子「ん?」                                 
     振り返る。                           
     白蝋化した裕子が立っている。                     
     悲鳴をあげそうになる口を、辛うじて自分の手の平で押さえる。      
     杏子と晶子、健一も、ガックリとうなだれている。            

○原野                                     
     重い足取りで、四人は歩いていく。                   
 N 「それから、何日も旅は続きました。                    
                                        
○雪山                                     
     雪の中を歩く四人。                          
                                        
○崖                                      
     四人は綱をつたわって降りていく。                   

                                        
○激流の川                                   
     四人はいかだに乗って進んで行く。                   
     四人の服や鎧はボロボロである。                    
                                        
○岩山の上                                   
 N 「そしてとうとう……」                        
     四人は、岩陰から首を出す。                      
     レダの街が見える。                          
     無数の六角形の枠で構成されている街???               
     まるで、蜜蜂の巣の中のように、中央に聳える神殿も、木からぶら下った蜂の
     巣に似ている。                            
     街では、頭部が昆虫の半裸の男達が、重い荷を背負って働いている。    
     空には、警備の浮遊メカが、せわしなく飛び回っている。         
                                        
○岩山の上                                   
 杏子「とっても忍び込める感じじゃないね。いっき、いっきで行くしかないよ。こりゃ
    ・・・・・ 」                                
 晶子「けど、どうやってあそこまで?」                     
 杏子「あれ」                                 
     と、飛んでいるエアスクリューをさす。                 
                                        
○街(夜)                                   
     エアスクリューを止めて、兵士が二人、警備をしている。         
     壁の陰に隠れている健一が、ライターに火を点ける。           
 兵士A「?」                                 
     兵士Aは、Bに何事か話して、火の方向へ来る。             
     いきなり物陰からムチが伸び、兵士Aの首にからまり、地面に叩きつける。 
     健一が棍棒で、兵士Aをぶっ叩く。                   
     杏子、指でOKサイン。                        
     兵士Aが消えた方向を気にしているBの肩が、ポンポンと叩かれる。    
     振り向くBの顎に、晶子の飛びげりが決まる。              
     エアスクリューに駈けよる陽子達四人。                 
 晶子「運転出来そう?」                            
 杏子「うん、アクセルとブレーキと・・・・バイクが出来りゃ、簡単だね。」      
 陽子「わたし・・・・ダメ。自転車も乗れない。」                  
 健一「オレ、実は、三輪車もダメって感じ。」                  
     杏子と晶子は溜め息をつく。                      
 杏子「(晶子に)あんたは?」                         
 晶子「50ccのバイクなら・・・・」                         
 杏子「上等、OK。重いのは私に掴まんな。」                  
    と、健一を手招きする。                        
 健一「いいの? じゃ」                            
     健一、杏子の背に抱きつき、腰に手をやる。               
     杏子、ゾクッと震え上がる。                      
 杏子「このッ、変なとこ触るな・・・・・ ちゃんと胸にしがみつけ・・・ あっ・・・・」    
 健一「なお更、結構、けっこう」                        
     と、しがみつく。                           
 杏子「しょうない・・・・行くよ。」                        
     杏子、エアスクリューを発進させる。                  
     晶子、肩をすくめて、陽子に、                     
 晶子「あんたが女の子でよかった・・・・・ さあ、しっかり掴まって・・・・・ 」      
 陽子「うん」                                 
     晶子、エアスクリューのアクセルをひねる。               
     その時、倒れていた兵士Bが、陽子の体に飛びかかる。          
 陽子「キャーッ!」                              
     晶子のエアスクリュー、陽子を残して飛び上がる。            
 晶子「しまった!」                              
     晶子、エアスクリューを反転させ、今にも陽子に槍を突き刺そうとする兵士B
     に体当たりする。                           
     エアスクリューは、兵士ごと壁にぶつかる。               
     エアスクリュー大破する。                       
     一瞬早く、エアスクリューから手を離し着地した晶子は、陽子に駆け寄り、抱
     き上げる。                              
 晶子「大丈夫?」                               
 陽子「ごめん、また足でまとい・・・・」                      
 晶子「いいってこと・・・・ん?」                         
     音もなく近付いてくる白い人影。                    
     ゼンが立っている。                          
     陽子、すくむ。                            
 晶子「ここは私が引き止めるわ。さ、早く逃げるんだ。              
 陽子「でも・・・・・ 」                              
 晶子「ん、もう。でもとストが多すぎると、迷惑するのは国民の私達・・・・行くの!」 
 陽子「うん」                                 
     陽子、走り出す。                           
     晶子、弓をかまえてゼンに向けて撃つ。                 
     ゼンはびくともしない。                        
 晶子「!」                                  
     更に弓を撃つ。                            
     ゼンは、冷ややかに笑いながら近づいてくる。              
 晶子「こ、こないで・・・ 」                           
     後づさりながら、弓を撃つ。                      
     もう、ゼンの体には、無数に矢が刺さっている。             
     しかし、平然と晶子に近づいてくる。                  
 ゼン「お前は、わたしから逃げられぬ・・・・・ 」                  
     ゼン、晶子を抱きしめる。                       
     ゼンにつき立っていた矢が、ゼンと晶子の間で、音をたてて折れていく。  
     晶子の手から、弓がゆるりと落ちていく。                          「キャーッ!」                (18へつづく)


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