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「夏休み最後の日、盆踊りあるだろう、その夜肝試し、やらないか?」
「え、夏休み始まったばかりなのに、お盆の事を考えているのか?」とほおずき。
「今夜でもいいんじゃないか」と隆。
「え、今から、肝試し?笹やんどうしたんだよ?」と驚いた表情でかんぴょうは隆を見ました。
隆は、夏休みの終わりまで、肝試しの事を考えるなどガマンできなかったのです。それなら早く肝試しを終わらせた方がいいと咄嗟に思ったのです。隆とかんぴょうとほおずきは顔を見合わせました。骨壺を開けた時、3人とも逃げ出したことが心に突き刺さっていて、お骨堂に行くことだけは避けたいという想いは一緒でした。
「肝試しは、お盆だからいいんだよ。絶対に盆踊りの夜だよ。」
隆もかんぴょうもほおずきもチャボの勢いに負けて、盆踊りの夜に肝試しをすることになったのです。夏祭りは、夏休みの扉を開ける夜でもありました。
夏休みは、座禅とラジオ体操で始まり、お寺の境内で野球をしたり缶蹴りをしたり、本堂でかき氷を食べたり、裏山にくわがたやかぶと虫を捕りにいったりして過ごしました。肝試しのことなどすっかり忘れて、青空に入道雲に緑の銀杏の葉が似合う夏休みは、蝉の鳴き声の中で楽しく過ぎていきました。ラジオ体操のカードにつけられる印鑑が一杯になる頃、お寺の境内には盆踊りの舞台が設置された。盆踊りの夜、つまり肝試しの夜がやってきたのです。夕暮れとともに盆踊りの音楽が、スピーカーから流れ出し、浴衣を着た老若男女が集まってきました。夕焼けが闇に照らされ、蝉の声は秋の虫の声に変わってきていた。
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