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翌日、如の息子の腎臓移植が行われた。適合するかどうかの可能性は50パーセントだったが、祖父と孫ということでぴったりとあい手術は成功した。ぎりぎりの時間で、30分遅れていたら、命を落としていたかもしれない危機的な状況だった。 |
れくいえむ
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「それで……、言いにくいんだけど……」 |
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おっぺちゃんが亡くなったという事実は、隆の気持ちを思いっきり暗くした。酔うといつも静かに笑っていたおっぺちゃん、何気なく仕事をカバーしてくれたおっぺちゃん、時々経験からくる想い言葉を語っていたおっぺちゃん。これからもっと一緒にお酒を飲みたかったのにと思うと自然と涙が出てきた。朧月が、小川の傍に咲いていた雪割草を照らしていた。電車を乗り継ぎ、北千住につき、見慣れた風景が広がる山谷に入り、明日のジョーの像が哀しそうに笑っている涙橋から隆は川面をじっと見ていた。そして珍しく感情に任せて大きな声で「ばかやろう」と叫んだ。隆は、川沿いを歩いて、居酒屋津軽に向かった。津軽の建物は、黒と白の幕で包まれ、息を潜めていた。結局身寄りのないおっぺちゃんの遺体を美里が引き取り、安息の地になったのである。線香の香りが早春の風が運んでくる。一段落したのか店の外は静かである。隆が、店の中に入ると義行は、ともかくとして聡と美恵がいたのである。隆は、驚いた表情で二人を見ていた。 |
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この夜、綾はいつものようにカウンターで津軽料理を作っていた。そこへ警官が来て、おっぺちゃんの死を告げた。おっぺちゃんのポケットにくしゃくしゃになった「津軽」の名刺があったので訪ねてきたらしい。それしか手がかりがなかったのである。おっぺちゃんは、建設現場の前を通ったとき、少年に向かって鉄板が落ちてきたのである。 |
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「今日は、本当にきつかった。まいったなぁ。もう7時じゃんか。」 |




