かすみ荘にて

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俺たちの明日

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「私…………」
「何も言うなよ。裸一貫からやり直す俺についてきて欲しいんだ」
恵子の瞳から涙が溢れていた。初夏の陽射しが射している。

「あの時みたいに写真をとりませんか。あの老夫婦にシャターを押してくれるように頼んできますよ」
内田は、バックに入れていた小さなカメラを持って老夫婦にシャッターを教えてくれるように頼んだ。そして4人は、竜馬と慎太郎が眠る墓の前であの時のポーズを思い出しながら写真を撮った。
「こんどいつ会えるかな。ここで別れよう」
龍が、三年坂を降りきった所で言った。
「ありがとう」
聡がはにかみながら龍に右手を差し出した。龍も右手を差しだし握手をした。龍と康之は、遠ざかっていく聡と恵子の後ろ姿を見ていた。


龍は内田と京都の駅前で別れ、東京で途中下車をして渋谷の道玄坂に向かって歩き出した。由美子が働いているという『人妻倶楽部』に向かったのである。
「御指名はありますか」
受付の男が慇懃に言った。龍は、聡からもらったカードを出した。
「空蝉なら昨日で店をやめましたが」
「どこに行ったかわかろませんか?」
龍の言葉に受付の男は首を傾げた。龍は、店を後にして大学にむかった。夢や希望で溢れている笑顔とすれ違いながらキャンパスのベンチに座った。何だか由美子が校舎から手を振って出てきそうな気がした。初夏の陽射しは、あの頃と同じように若葉に反射した。

ちょっとした刺激を求めて
迷路の中に振り込むことがある
大人になるってどういうことですか

翌日、龍達は清水寺の裏手にある護国神社に行った。経路には18年前と同じように白い瓦に竜馬に対する想いを綴った青春の落書き並べてあった。18年前、龍、聡、康之、恵美の4人で1枚の白い瓦に自分達の夢を綴ったのである。あの日から18年が過ぎていた。笹倉竜馬と中岡慎太郎の墓で4人は手を合わせた。4人とも無言で石でできたベンチに座り京都の町を見ていた。

「俺、由美子に会ったよ」
聡が、独り言の様に呟いた。
「え、…………」
龍は、突然の言葉に驚いた。
「彼女、信じられないことだがここで働いているんだ……」
聡は、セカンドバックから由美子から貰ったカードを龍に渡した。龍は、空蝉と書かれた文字を険しい表情で見ていた。

「何だか俺達迷路の中で迷っているようだな」
聡が、ぼんやりと眼下に広がる京都の町を見ながら呟いた。
「そろそろ帰りますか?」
内田が振り返ると呆然とした顔で立っていた。
「どうした?」
聡が、振り返ると言葉を失った。恵子が立っていたのである。
「もう1度やりなおせないか。」
聡が、恵子を直視した。

翌日、龍達は清水寺の裏手にある護国神社に行った。経路には18年前と同じように白い瓦に竜馬に対する想いを綴った青春の落書き並べてあった。18年前、龍、聡、康之、恵美の4人で1枚の白い瓦に自分達の夢を綴ったのである。あの日から18年が過ぎていた。笹倉竜馬と中岡慎太郎の墓で4人は手を合わせた。4人とも無言で石でできたベンチに座り京都の町を見ていた。
「俺、由美子に会ったよ」
聡が、独り言の様に呟いた。

「え、…………」
龍は、突然の言葉に驚いた。
「彼女、信じられないことだがここで働いているんだ……」
聡は、セカンドバックから由美子から貰ったカードを龍に渡した。龍は、空蝉と書かれた文字を険しい表情で見ていた。
「何だか俺達迷路の中で迷っているようだな」
聡が、ぼんやりと眼下に広がる京都の町を見ながら呟いた。
「そろそろ帰りますか?」
内田が振り返ると呆然とした顔で立っていた。
「どうした?」
聡が、振り返ると言葉を失った。恵子が立っていたのである。
「もう1度やりなおせないか。」
聡が、恵子を直視した。

「私…………」
「何も言うなよ。裸一貫からやり直す俺についてきて欲しいんだ」
恵子の瞳から涙が溢れていた。初夏の陽射しが射している。

「人間、生きているといろんな事があるんだな。逆境になると風までも逆風になるんだな」聡が煙草に火をつけた。
「もし、恵子さんがもう1度やり直そうと言ったらやり直せるか?」
龍が、聡の目を見て言った。

「努力してみるさ。心にわだかまりはあるかもしれないが。でも恵子は、恋をしているんだ、もう俺達はもとには戻れないよ」
「明日、竜馬のお墓に行きませんか。もう1度あそこに行ってみましょうよ」
内田は、何も言うことができず突然突拍子もない事を言った。もしかしたら18年前の自分達を取り戻せるのではないのかと思ったのである。

「それは、面白そうだな。気分転換に行ってみようぜ」
龍が、聡を見た。聡は、無言で水割りを飲んでいた。
「竜馬の生きた時間をとっくに追い越したんだ。もし竜馬が40代を生きるとしたらどう生きていたのか考えてもいいんじゃないか?」
龍が、煙草に火をつけて聡を見た。
「行ってみましょう」
康之が、持っているグラスを聡のグラスにぶつけた。
「行ってみるか………」
聡は、重い口を開いて龍と康之を見た。

「おっさんになったなぁ」
龍は、康之を見て目を丸くした。

「それより、早く中に入って下さいよ。とにかく二見さんの様子が変なんですよ…」龍は、康之にせきたてられるようにして部屋の中に入った。
「おじゃまします」
龍が、キッチンにいる康之の奥さんの知恵に挨拶をした。康之は、旅館の跡取りになったのだが親が元気なうちは別居という事でマンションを借りていたのである。
「噂の笹倉さんですね」
知恵がエプロン姿でかわいらしく笑った。康之に付いてリビングルームに行くと聡が、ソファーに座って水割りを飲んでいた。

「よう」
龍が、聡に声をかけると聡は寂しそうに笑った。
「何があったんだ?」
「…………」
聡は、複雑な表情で水割りを飲んだ。龍だけには強がっていたいという自分と今置かれている立場を話したいという自分が複雑に交差した。そして暫くしてから意を決したように龍を見た。

「会社が倒産した上に恵子に裏切られたよ………」
聡は、やっとの事でそう言うとまた水割りを飲んだ。龍と康之は何も言えず顔を見合わせた。まさか恵美が不倫するなどと夢にも思っていなかった。
「そうか………………」
龍が、そう言ったきり口を噤んだ。どんな言葉を投げかけても軽く感じられたのである。

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