全労SY青年部週報

新聞輸送と労働組合でみじかに起こった事をまとめていきたいとおもいます。

全体表示

[ リスト ]

 「あの状態で大事故にならず、よく一人で救出できましたよ」

 10月28日未明、湾岸高速道路上り、浦安インターチェンジ付近。
 Tくんが高速道路上で同業者の救助にあたった様子を、道路公団の方々はそう振りかえった。
 その日、Tくんは房総地方の朝刊共同輸送の配送を終了して、芝浦営業所に帰る途中だった。ディズニーランドを左にカーブを過ぎると、新聞を輸送する同業者がウインカーを点灯して追い越し車線で自爆するように停車しているのを発見した。

 Tくんは、「自爆しているのか?同じ新聞を運んでいる同業者で、無関係だと思えない」と、路側帯に停車し同業者の様子を見てみることにしたのだ。
 車両は、下請け業者のようで朝日新聞を配送し終わったあとのようだと分かる。
 中の様子をしばらく見ていると、頭がピクリとも動かす気配もなく「死んでいるのでは」と思ったが、次の瞬間には動いてくれた。

 「生きている!」

 彼は、救急車が来る気配もないため、少しでも早く運転手を救出しなければと思ったという。
 しかし、ここは高速道路上であって、未明の平日とはいえ高速で通り過ぎる大型トラックや普通車がビュンビュン通っている。中には、追い越し車線に車がまさか停車しているとは気付かない運転手たちが急ハンドルを切ってよけていく車も数台ある。

 そんな中、Tくんは思い切って追い越し車線のトラックに駆け寄り、窓越しをこぶしで2、3回強くたたくと運転手は目を明けたようだった。
 彼は引き続き声をかけるが、運転手は焦点の定まらない目を向けて「大丈夫です」と反応するものの、状況を判断できていない様子だった。ただ「うー」とか「あー」とか言うだけなのだ。エンストした車両の警告音がけたたましくなり続けるが、それも運転手はまったく分かっているようではない。
 Tくんは、状況を判断できない運転手を助手席に移して自ら運転席につき、ハンドルを握ったのだった。

 路側帯に車を寄せ、助手席にいる運転手に声をかけ続けているうちに、道路公団の方がパイロンや発炎筒をつけて、後方の安全を確保してくれていたのだった。
 Tくんにとって、それが運転手と自分とが「助かった」と思った瞬間だった。

 一方、救助を行ったTくんが芝浦営業所に連絡したのは、その頃だった。
 連絡を受けた芝浦営業所の担当職制は、運転手が意識不明であることや高速道路上であることを聞きつけ、直ちに救急車の手配を行い、応援要員2名を現地に向かわせ状況の確認を急いだ。

 応援に駆けつけたSくんは、当時の状況を次のように話す。
 「浦安インターチェンジ入り口から乗ったけれど、何よりも交通量がものすごい。そのため、高架上にある道路が通行の振動で大きく揺れ続けているんです。高速で車がけたたましく通っている状況でした。Tくんにはとにかく『よくやった』と声をかけてやりたかった」

 救急車両には、意識が戻りかけている運転手の姿が見える。病院の搬送先さえなかなか決まらない高速道路上で、一人の命がかくして救助されたのだ。

 その後、11月5日、会社側はTくんに対し、今回の救助活動の功績をたたえて社長賞を授与した。私たちの仲間に、このような困難な状況でも冷静に判断し人命救助にあたった人がいることを誇りに思いたい。


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事