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昨今アメリカの弱体化が惹起されていますが、今日はサミュエル・P・ハンチントンの理論に基づいてアメリカ「帝国」について考えてみました。

■サブプライムローン問題によりアメリカ経済は破綻寸前だという声を良く聞きます。それに伴いアメリカのパワーが衰えてきているとも捉えることができ、今世界は新しい世界の扉を開こうとしているのではないでしょうか。
■文明は大きく分けて、中華文明、日本文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、東方正教会文明、西欧文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明となる。他論はあるが、世界はこの8つの文明によって成り立っていると言っていいだろう。
■ハンチントンによれば、冷戦時代は政治やイデオロギーによって国家間の協力関係や敵対関係が決まり、世界の国々はおおまかに「自由世界」、共産圏、第三世界という3つのグループに分かれていた。だが現在は、文化ないし文明という要素によって国家の行動が決定される傾向が強まり、国家は主に世界の主要な文明ごとにまとまっている。すなわち、西欧文明、イスラム文明、東方正教会文明、中華文明と、それぞれの文明ごとに国家のグループができているのである。つまりは、現在出現しつつある世界において、国々の主な違いはイデオロギーや経済、政治ではなく、文化・文明の違いであるということである。
■また、冷戦時代におけるグローバルな力の構造は2つの超大国によって二極化し、2つの超大国の影響力は他のすべての国家のそれをはるかにしのいでいた。しかし現在ある世界の力の構造はもっと複雑で、グローバルな超大国はたった1つしかなく、他にいくつかの主要な地域大国が存在している。これはつまり、「一極・多極世界」であるとハンチントンは言う。


[参照]
◎一極世界…1つの超大国があり、その他に主要な大国はなく、多数の小国が存在する状態。だから超大国は他の国からの協力をほとんど受けることなく一方的な行動をとり、主要な国際問題を効率的に解決することができる。そして、他の小国同士がどんな関係を結んでも超大国の行動を阻止することはできない。
◎二極世界…冷戦体制下のように2つの超大国が存在し、その二国の関係が国際政治を支配する状態。このシステムでは、他の国家は超大国が競合するなかでそのどちらにつくか、あるいは中立を守ろうとする。
◎多極世界…同等の力をもついくつかの大国が存在し、さまざまなパターンでたがいに協力したり競争したりする世界。このシステムでは、重要な国際問題を解決するためには大国が協力し合うことが必要になる。


■一極・多極世界では何かと不都合なことが多い。まず、二極世界ではソ連というもう一つの超大国から護ってくれる番頭さんとして、多くの国がアメリカを歓迎した。しかし、一極・多極世界では唯一の超大国は他の大国にとっては脅威となるし、脅威であると見なされる。従って、多くの地域大国は自らの支配する地域にアメリカが介入することを望まないとしだいに表明し始めており、そういう国の数は年々増えているのが現状である。
■またハンチントンは、アメリカの官僚たちはきわめて自然に、まるで世界が一極システムであるかのように考え、行動する傾向にある、と指摘する。その通りだろう。現にアフガン侵攻やイラク戦争の際のアメリカの振舞い方を見ても納得できる。そして、他の国々に、アメリカの原則、習慣、制度の普遍的な正当性について説教をたれ、他のすべての国もそれを採用すべきだとして押し付けようとする。イラク戦争の時の話で例えてみると、アメリカはイラクに普遍的な民主主義を与えようとし、自分たちが慈悲深い親切な支配者だと考えていた。しかしイラクはアメリカの介入を拒否し、これにアメリカは怒ってイラク侵攻を吹っ掛けたが世界的に非難轟々の始末。だからハンチントンはこのようにアメリカは世界が単極だという妄想の上で他国・他地域に関与することはやめた方がいいと指摘しているのだ。
■「外交」を文化の面から見れば、協調関係が生まれやすいのは文化を共有する国家間であり、敵対関係が生じやすいのは文化が著しく異なる国家観である。パワーという点では、アメリカとナンバー・ツーの地域大国は、それぞれの地域における大国の支配を限定することに共通の利益を持つ。アメリカが日本との軍事同盟を強化し、日本の軍事力の適度な増強を支援することによって中国を牽制したのは、その具体例である。アメリカとイギリスとの特別な関係は、ヨーロッパの統合によって生じたパワーに対する対抗勢力となっている。さらにアメリカはウクライナと緊密な関係を築くことで、ロシアの勢力拡大を阻止しようとしている。ブラジルがラテンアメリカにおける支配的な国家として浮上すると、アメリカはアルゼンチンとの関係を大幅に改善させ、アルゼンチンをNATOの域外同盟国に指名した。また、アメリカはサウジアラビアと緊密に協力し、ペルシア湾におけるイランのパワーに対抗しており、南アジアではそれほどうまくいっていないものの、パキスタンと協力してインドに対するパワーのバランスを保とうとしている。これらすべてのケースにおいて、他国との協調は地域大国の影響力を封じ込めるという共通の利益にかなっているといえる。
■私はハンチントンの言う「一極・多極世界」は30年50年後には終焉を迎えると確信をする。現在、アメリカ覇権主義に対抗して<中国−ロシア間の二国間会議><中国−ロシア−インド間のプリマコフ・ドクトリン><中国−インド間の二国間会議><ドイツ−フランス−ロシア間のモスクワ会議><イラン−サウジ−イラク間のイスラム諸国連合>など、他にもあるがアメリカ覇権主義に対抗する様々な動きが水面下であるのは確かである。そんな時に右翼が主張する「隣国とは手を切って真の独立国となるのだ」という選択はとてもじゃないが頭がいい選択とは思えない。まして日本は文明での枠組みにおいて孤立している中で、隣国ともアメリカとも手を切ると主張するなんて愛国者でも何でもないと思うのですが、皆さんはどう思いますか?

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