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「ごらん、ワトスン君、空はすっかり秋の色のようだよ。」 「どうしたんだい、ホームズ君。君にしては珍しいじゃないか、君は空を見上げて感傷に浸るような男じ ゃなかったはずだぜ。」 「ワトスン君は相変わらず手厳しいね。僕だって人間さ。 たまには自然物を眺めて気を休めるときだってあるよ。 毎日犯罪心理学の考察をしているわけにもいけないんだからね。脳細胞の休養さ。」 「いや、君の人間臭さが垣間見えてとても興味深かったんだ。」 「そうかい?まあ君もこっちに来てタバコでもやりたまえ。 『集中力の欠如は想像力の欠如にも劣る』とは、かの人類学者ピート・ブラッドスンの著作にあるんだ よ。ちょっと、そこのパイプを取ってくれないか。熱めの紅茶も一緒に頼むよ。 それから― そうだな、音楽も欲しいところだ。選曲は君に任せるよ。」 「なら『Rubber Soul』はどうだい?」 「さすがはワトスン君だ。君は僕の心理を読み取っているようだよ。持つべきものは親友だねえ。」 「実は最近ずっと聴いてなくてね。僕も久し振りに聴いてみたくなったんだ。」 「それならちょうどいいじゃないか。 ときにワトスン君、君はこの作品を聴いてイメージするものはなんだい?」 「そうだねえ・・ビートルズというバンドの成熟、だね。」 「ふむ。その意見は否定もしないが肯定もできないな。異論もあろうが僕は彼らの成熟はこれより後2年 先だと考えている。『Magical Mystery tour』以降さ。 つまりそれまでのビートルズは実験を軸とした斬新な音作りを進めてきたんだ。 この『Rubber Soul』もそうだよ。細部までじっくり聴きこめば、まだまだのびしろがあることに気付 かされる。一つづつ例を列挙していたらきりが無いがね。 何といえばいいか・・・『定まってない』と言うかね。」 「じゃあ君は、この作品はあまり評価していないのかい?」 「いや、違うんだ。むしろ『Rubber Soul』の最大の魅力はそこにある。 テープ操作や重ね録りなどで完璧に作りこまれた作品でもなく、完璧なバンド・アンサンブルを聴かせ るわけでもない。 適度なバンド感によりグループの手作業を感じさせ、また、その中に創意工夫をうまく盛り込んでいる んだ。これは彼らの持つ奇跡的なバランス感覚だね。後は純粋に、メロディが美しい曲が多い。」 「確かに『Michelle』等は素晴らしいね。」 「そうだね。でも、ジョン・レノンの書いた曲にも美しいものが多いんだ。 『ノルウェイの森』『In My Life』『Girl』『Nowhere Man』辺りだね。 彼はこの作品以降、ここまでわかりやすいようなメロディは殆んどといっていいほど発表しない。 例外もあるがね。ビートルズのメロディ・メーカーといえばポールだが、実はジョンもそれに負けない 才能を持っていたという事実がここにはあるのさ ―おっと、せっかくの休養が音楽論議で台無しに なるところだったね。しばらくは静かにこの傑作を堪能しようじゃないか。話はそれからだよ、ワトス ン君」
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あいあい、アルトです。「ラバー・ソウル」といえば、アルト。「ラバー・ソウル」はFab4の幼年期の終わりと申せませう。その最後の純粋さが至る所にみられます。以後、ロックの構造改革を意識的に進めていくわけですが。Fab4の「郵政民営化」前夜ともいえますか(いえない)?アルトのベストは「ユー・ウォント」と「ウェイト」ですが。
2005/9/3(土) 午後 9:16
アルトさんおはようございます。まさにご指摘の通りで、この作品の魅力はその純粋加減なのかな、と思います。確かにロックの構造改革(笑)ビートルズはポップス界の自民党か??どうなる総選挙!!・・・彼らは大衆に圧倒的な支持を受けたが、果たして小泉内閣は??
2005/9/4(日) 午前 10:14 [ t13*56*61 ]
さらにもう一つ。僕自身のベストは、『You Won't See Me』『In My Life』ですかね。この2曲は特に素晴らしい。それと、この時期のシングル『We Can Work It Out』もグレイト!!『In My Life』と『We Can Work It Out』って、続けて録音されたそうなんです。1965年10月18日〜22日。なんてことだ!!
2005/9/4(日) 午前 10:25 [ t13*56*61 ]
アルトです。「ウィ・キャン・ワーク」はアルトの心の一曲でもあり、嬉しい限り。ポール来日公演でこの曲をやったとき、もちろん下のパートでハモリました。アコギ一本で、カッコ良くて、泣きました。ポールとハモれるなんて?ラバー・ソウルに収録されてても良かった?!
2005/9/4(日) 午後 8:48
ポール本人の『We Can Work It Out』を生で聴くなんて!!素晴らしい経験をされたのですね・・・。僕もよくアコギでジャガジャガ弾いたりします。アルトさんの心の一曲のように、僕にとってもこの曲はビートルズの中でも、一、二を争う大名曲ですねえ。やはりこの曲のキモはミドルでのジョンとポールのハモリですね!メジャーとマイナーコードの使い方もばっちり決まって何故か泣けます。。。
2005/9/5(月) 午前 6:58 [ t13*56*61 ]
う〜ん、とてもいい話をされてますな。お二人の会話を聞いて勝手に嬉しがっています(笑)。「ラバーソウル」の頃はバンドとしてのケミストリーが絶頂だったのではないかと個人的に思っています。そしてジョンの声もこの頃が一番好きです。「We Can…」はポールの楽観的思想とジョンの悲観的思想が適度に混ざり合い、曲として肯定的な色合いを引き出している素晴らしい曲だと思います。ジョージによるテンポアップのアイディアもグッド!
2005/9/7(水) 午後 10:21 [ アサタカ ]
tchnr862さんこんばんは。さすがにお詳しいですね!!『We Can Work It Out』におけるジョージのワルツテンポのアイデア、あれがとっても効いてますよね。そしてまさにtchnr862さんがおっしゃるポールの楽観的思想とジョンの悲観的思想、ここが一番の聴き所となってると思われます。Dのコードでひたすら明るい展開をみせるポールに対し、ミドルではBmを巧みに使用してひねりを加えるジョン。(長くなりそうなので↓に続きますw)
2005/9/7(水) 午後 10:55 [ t13*56*61 ]