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「おはよう、ホームズ君。今朝は随分寝坊じゃないか。」 「昨夜は18世紀中頃の犯罪記録を体系化するのに時間を費やしていたものでね。 ワトスン君こそ昨日は夜遅くまでマーヴィン・ゲイの『悲しい噂』を聴き込んでいたようじゃない か。」 「確かにその通りだよ。でも何故わかったんだい? 迷惑がかからないように出来るだけ音量を下げて聴いていたのだが・・」 「簡単な事さ。第一に、君は最近やけに60年代のモータウン・サウンドにご執心だ。 第二に、先程から君は新聞を読みながらも、無意識的に左手で机を叩いてリズムを取っていた。 そのリズムはかなり独特のものである事はすぐにわかる。 30秒ほど観察させてもらったが、そのリズムこそ、『悲しい噂』でのキーボードが提示し続けるリフ のリズム・パターンなんだ。」 「なるほど、君の観察力には恐れ入るよ。」 「そんなこともないがね。 それより、僕としては君の『悲しい噂』についての研究結果を御教授頂きたいものだ。 話してみたまえ。」 「そうだね、僕個人としての意見では、当時のモータウンの雰囲気を捉えたリズム感が伝わっていると思 うが、これが大衆に支持されるかどうかについては疑問を持たざるを得ないな。」 「ほう、ワトスン君も今朝はなかなかうまいものだね。 時代性を論じるくだりなどは堂に入ったものだよ。 確かに当時のモータウンのサウンドの進化については目を見張るものがあった。 この楽曲などはその例の最も顕著なものであることに違いない。 全体的に以前よりも楽器の鳴りが抑え目であるが、その分だけ洗練されているね。 特にドラムス、ベース、キーボードが素晴らしいグルーヴを作り上げている。 華やかなサウンドであり続けたモータウンが、この曲では違った一面を見せ始めたんだ。」 「でも、聴き手はそのサウンドの以前との差異に戸惑ったとは言えないかい?」 「それについては、君の意見は残念ながら的を外しているのだよ、ワトスン君。 この楽曲については67年に全米2位という記録が残されているんだ。 結局はこの洗練されたサウンドに大衆も魅了されたということさ。 今、洗練という表現を使用したが、ここでのマーヴィンのボーカルもまさにそれに当てはまる。 この、緊張感に包まれた彼の声はどうだい?我々の心の中をかき乱すような表現力だ。 同時期に発表されている彼のデュエット・ナンバーで聴く事ができる穏やかなボーカルとを対比してみ るのも面白いと言えるよ ―そろそろ朝食にしないか、ワトスン君。 すまないがハドスン夫人を呼んでくれたまえ、気の利いた卵料理でも食べて、遅く起きた時間を取り戻 さないといけないからね」
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うーん…しかしこの独特の楽曲評論にはいつも恐れ入ります。「悲しい噂」はワトスン君が”大衆に支持されるかどうかについては疑問を持たざるを得ないな”と言うように、僕も初めて聴いた時は「?」でした。でも魔力というか、なんというか惹きつけるんですよね。
2005/6/30(木) 午後 0:53 [ アサタカ ]
おや、どもアルトです。相変わらずサイコーな、内容で、とてもグーですよ!なんでこんなおかしいのかなぁ?おかしいなぁ。でもあんま期待かけても大変でせうから、ほどほどに次も期待しております。ぴーす。
2005/6/30(木) 午後 9:10
tchnr862さん、お読み頂きありがとうございます。実は僕も最初、この曲は??でした(笑)でもある日突然・・このグルーヴに参ってしまいました。マーヴィンの声は大好きです。しかしブログ更新ってけっこう大変ですよね(笑)
2005/7/1(金) 午前 5:57 [ t13*56*61 ]
アルトさんおはようございます。お褒め頂きありがとうございます。僕はシャーロック・ホームズ・シリーズが好きなもんで、その文体を真似させていただいている訳です。A・C・ドイルがホームズを書いたのが1900年頃なので、ビートルズやビーチボーイズを聴いている訳がないのですが(笑)・・・ちなみにホームズは超一流のボクサーなんだとか。
2005/7/1(金) 午前 6:11 [ t13*56*61 ]