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「おはようホームズ君。今日も暑くなりそうだね。」 「うむ。僕やワトスン君のような善良な一般市民にとっては明らかに危険な季節が到来したというものだ ね。」 「ホームズ君、君には悪いが僕は君の言う事が理解できない事が多いよ。どういったことだい?」 「それはだね、人の心理の奥底に潜む邪悪な本能は気温の上昇に比例して活発になるということさ。 過去の凶悪な事件を思い出してみたまえ― 『ウィステリア荘』事件、『オレンジの種』事件、他にも 挙げたら枚挙に暇が無いが、暑い季節に数多くの犯罪が行われているのだよ。 この、犯罪心理と気温の比例に関しては、以前ロンドン・レキップ紙に小論文を発表したこともあるの だが、我々にとっては憂慮すべき問題だと思うよ。」 「なるほどねえ。一層の自衛が必要という事だね。」 「その通りさ。君も気を付けたまえ。このような日は家で美しい音楽を楽しむに限るよ。 時にワトスン君、君は最近『ペット・サウンズ』にご執心の様だが、そのおかげで僕はここのところ 『サージェント・ペパー』を聴き直しているんだ。実に久し振りだが、なかなか悪くないよ。」 「僕にとっては、ビートルズの中でも一番の名作だと思っているよ。ペパーというコンセプト、アルバム 全体の構成、楽曲の質等、非の打ち所がないね。」 「うむ、ワトスン君の今挙げた点は、実に世論に同調した意見だね。 だが僕の評価は君達とは少し異なる。コンセプトの点については、後にジョン・レノンが認めているよ うに、後付けの感は否めない。『サージェント・ペパー・リプライズ』なんかはあからさまにコンセプ ト・アルバムである事を強調しているような楽曲だが、この曲自体がアルバム制作の最終局面で録音さ れているという事実は、ほとんど強引にコンセプト・アルバムとして発表したという印象を与える。 結局、アンコール・トラックとして非常にうまくはまった『A Day In The Life』がアルバム制作最初 期に録音された事を考慮に入れると、ほぼ信じられないような偶然によってアルバムの構成がうまくま とまったのだという方が事実に近いようだ。 難解なジグソー・パズルを幸運にも一発で解いてしまうようなものさ。」 「なるほどね。確かに君の論説にもうなずけるところはあるようだ。 でも、楽曲の質については文句の無いところだろう?」 「私見では、何曲かの楽曲については疑問を感じるものもある。だがこれについては個人の嗜好の範囲内 なので割愛するがね。 アルバムを構成するという要素を外してみると、『She's Leaving Home』が最も優れているように感じ る。」 「ホームズ君にしては意外だね。『A Day In The Life』だと思っていたが・・」 「確かに『A Day In The Life』は素晴らしいよ。あの驚きの展開と想像力、そして夢見心地なアルバム の中で最後があの曲なんて、うますぎて気味が悪いほどさ。 でもね、前述のとおりアルバムを構成するという要素を外せば、『She's Leaving Home』は純粋に、そ して普遍的な美しさがあるよ。メロディの芳醇さといったら、ビートルズの全作品の中でも指折りさ。 それにコーラス部でのジョンとポールの掛け合いも感動的なものだ。」 「アレンジメントに関してはどうだい?」 「うむ、この曲はだね、ジョージ・マーティンのアレンジではないのだよ。 それでもこのあからさまともいえそうな感傷的なアレンジには全面的に賛成するよ。 見事な手際だ。ただ、この曲をジョージ・マーティンならどうアレンジしたかについては些か興味はあ るがね ―だいぶ暑くなってきたね、ワトスン君。こういう時はあくまでも穏やかな気持ちで、イ ンペリアル・トカイワインを楽しむに限るというものだよ」
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アルトです。へぇ、ジョージ・マーティンのArr.でなかったんですか。ポール単独ってこと?スマイル制作中、ブライアンにポールが同曲を弾き語ったのは有名な話ですよね。ちょっと自慢もあったんかしら?アルトはFab4は、「ラバー・ソウル」派ですね。あいかわらず、ホームズ・ネタ、サイコーですヨ!!
2005/7/20(水) 午前 0:48
she's leaving home…いいなぁ…いや、いいなぁ…。涙が出ます。ジョンの「バイバイ」という声も胸をかきむしるほど切なくて美しいです。
2005/7/20(水) 午前 0:59 [ アサタカ ]
アルトさんこんにちは。この曲はマイク・リーンダーという方のアレンジメントです。いい仕事をしたな、リーンダー。ところでお話の中の、ブライアンにピアノ弾き語りを聴かせたって言う話、興奮物ですよ。聴いてみたいなあ〜ポールのピアノ一本で。ちなみにそのときポールはブライアンに「急いだほうがいいぞ」と諭したとか・・?「スマイル」完成を急げと?ペパーの波に乗り遅れるなって事かしら??
2005/7/20(水) 午後 2:58 [ t13*56*61 ]
こんにちはtchnr862 さん。そうなんです。この曲におけるジョン・レノンの佇まいがナイスですね。ポールの曲における、ジョンのコーラスって味があるものが多い気がする。『Hey Jude』、『恋を抱きしめよう』『I'm Down』・・・。なんというか、異様な存在感。そうそうこの曲、歌詞もいいですね!!
2005/7/20(水) 午後 3:08 [ t13*56*61 ]