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第一次大戦で抜群の戦功をあげた実在の人物、アルヴィン・ヨーク軍曹の伝記映画です。名優ゲーリー・クーパーが初めてアカデミー主演男優賞に輝いた作品でもあります。



<物語>テネシー州の片田舎で生まれたヨーク(ゲーリー・クーパー)は酒飲みの無頼漢だったが、あることをきっかけに信仰の道に入る。やがて戦争が起こり、彼は宗教と戦争の矛盾に悩むことになるが、戦争は自由を守るために無価値ではないことを知り武勲をたてる・・・。


感想は・・・傑作でした。


まず、主役を演じてオスカーを獲得したクーパーをはじめ、キャストが皆素晴らしかったです。ヒロインのジョーン・レスリー、パイル神父役のウォルター・ブレナン(本作ではアカデミー助演男優賞にノミネート)、クーパーの母親役のマーガレット・ウィチャリー・・・。特にクーパーは、大根疑惑があったとは思えないほどの好演で、その魅力を存分に発揮しています。


弱冠16歳にして、当時40歳だったクーパーの相手役を務めたレスリーも輝いていました。初登場シーンでの彼女の美しさにはクーパーならずとも目を見張るでしょう。『』ではこずるいマネージャーを演じていたジョージ・トビアスも、クーパーの軍隊での友人役を好演しています。


戦争映画として扱われることの多い作品ですが、実際に戦争が勃発するのは後半になってからで、戦闘場面そのものは少なめです。クーパー演じるヨークは、いわゆる良心的兵役拒否者でありながら、射撃の腕前は天才的という設定(ほとんどゴルゴ並み)。彼がたった一人で百何十人ものドイツ兵を降伏させてしまうシーンは、ユーモラスですらありました。


第二次大戦中の作品のため、やはりプロパガンダ的性格は濃厚にあります。あのルーズベルト大統領も本作を非常に気に入り、映画のヒットを喜んで実在のヨークをホワイトハウスに招待するほどでした。しかしそうしたイデオロギー性を十分に認識していれば、基本的にはヨーク軍曹という特定の人物に焦点を絞ったストーリーなので、さほど気にはならないと思います。


「見事な作品だ」「映画の才人(ハワード・ホークス)が、まるで絵ハガキを一枚一枚めくるように親切に演出しています」(淀川長治)
「珠玉の作品・・・情愛深い聖書の美徳と見事な銃撃シーンを両立させ、同志愛や汚れなきロマンス、そして1対1の殴り合いが満喫できる」(ギャレット・シャフィン・キレイ)



巨匠ハワード・ホークス監督だけあって、演出面も完璧でケチのつけようがありません。印象的なシーンも多く、映画的魅力に溢れているので、単なる国策映画として片付けてしまうのは勿体ない作品です。



        

「アメリカ映画」書庫の記事一覧

閉じる コメント(13)

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見たいと思いながらまだ見ていない作品です。このブログを読んで、予告編を見て、更にその気持ちが大きくなりました。
レスリー16歳、クーパー40歳。普通に考えれば、親子でも可笑しくない年齢差なのに、ちゃんと夫婦に見えるところが凄い、二人とも美しいですね。

2009/3/27(金) 午後 9:04 alf's mom

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こんばんは。
「ヨーク軍曹」は好きな作品です。
敵を撃つ時に、奇声(?)を発して相手を呼び出すシーンは、この作品を紹介する時によく使われるシーンですね。
クーパーが大根だとはよく言われていますが、どうなのでしょうね。プライヴェートの映像を見ると実際の話し方もあんな感じですし、私はナチュラルな演技をする人だと感じています。(役によって演技を変えて、いかにもなオーヴァーアクトをする方が演技派と呼ばれていますね。)
「クーパーは大根で…」みたいな事を言っている最近の若い評論家や映画通のタレント(某落語家など)の発言を聞くと、「昔の評論家が言っている事をなぞっているだけでしょ。」と反発したくなります。
御存知かもしれませんが、こんなエピソードがありますね。
クーパーと共演していたイングリッド・バーグマンが撮影の休憩中、二人で雑談をしていて、監督が撮影をスタートさせているのにクーパーは話続けていて、バーグマンが「この人何?」と思ったら、それはすでにセリフだった…。それだけ普段の話し方と演技の話し方が同じ人だと…。(本当の話か分かりませんが…)

2009/3/27(金) 午後 11:39 [ - ]

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alfmomさん
クーパー、レスリー、ブレナン・・・とにかくキャスティングからして抜群でしたね。そして映画史の巨人ホークスによる寸分の隙もない演出。これは一見の価値ありだと思います。

2009/3/27(金) 午後 11:52 [ user t ]

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bigflyさん

>クーパーと共演していたイングリッド・バーグマンが撮影の休憩中、二人で雑談をしていて、監督が撮影をスタートさせているのにクーパーは話続けていて、バーグマンが「この人何?」と思ったら、それはすでにセリフだった…

この話は僕も何かで読んだことがあります。おっしゃるように、クーパーの場合、演技巧者というよりはナチュラル派といったほうが近いでしょう。しかし本作を見る限り、少なくとも大根役者とは思えませんよね。

2009/3/28(土) 午前 1:10 [ user t ]

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かなりの高得点ですね!本作は、近所のレンタル屋さんにも置いてあるので今度見てみます。

2009/3/28(土) 午前 10:56 [ Jack ]

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Jackさん
これはオススメです。戦争映画というよりは、ある種のヒューマニズムものとして見るのが正しい作品だと思います。

2009/3/28(土) 午前 11:27 [ user t ]

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予告編を見た限りでは主人公が戦争を経験しそのPTSDに悩んでいるのを妻が必死に癒そうとしている感じ?
まだ本編は見た事は有りませんが、そんな風に感じました。
とても大根役者には見えませんね。
素のままに演技出来るタイプだから誤解されたのかも。

2009/3/29(日) 午前 2:19 マリア・アデレード・ルイス

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マリアさん

>主人公が戦争を経験しそのPTSDに悩んでいるのを妻が必死に癒そうとしている

いえいえ、本文中にも書いたように、戦争が勃発するのは後半になってからなので、主人公がPTSDに悩まされたりするシーンはないです(信仰と戦争の矛盾に悩まされる場面ならありますが)。
ともあれ、クーパーの演技者としての代表作ではあります。

2009/3/29(日) 午後 0:08 [ user t ]

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この映画も観ていないです。
いい映画のようですね。
16歳と40歳というのもすごいですね。

2009/3/30(月) 午後 10:22 シーラカンス

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シーラカンスさん
これも名作だと思います。ちなみに、クーパーがオスカーを受賞したのは本作と『真昼の決闘』の2本だけなんです。

2009/3/30(月) 午後 11:27 [ user t ]

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米軍の自走対空機関砲の名になった軍人だね。生産中止になったけど・・・

2009/4/2(木) 午前 7:42 [ esu**i123 ]

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esupaiさん
そうですね。ちなみに彼自身は、本作を見て「very natural」と言ったそうです。

2009/4/2(木) 午前 11:55 [ user t ]

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u​s​e​r​ ​t​さん、コチラもとても気になってしまったのでレスです。
「ヨーク軍曹」、私の大好きな作品ではないですか。
「平原児」や「ヴェラクルス」のクーパーが好きな私は「こういう戦争映画が見たいなー」と思っていましたらハワード・ホークス監督。ドンピシャです。
ゲイリー・クーパーの背中から滲み出る哀愁も、ホークス監督にかかれば燃えたぎる翼のよう。
ブレナン爺さんは何時の時代も頼もしいです。
「暗黒街の顔役」とか「赤い河」とか、ホークス監督が撮る男は本当粋でカッコイイ。素敵です。

「罠」というとロバート・ワイズ監督の?
アレも好きな作品なんですよー。ロバート・ロッセンの「ボディ・アンド・ソウル」とか

2014/1/28(火) 午後 6:54 [ すかあふえいす ]


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