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サミュエル・フラー監督、バーバラ・スタンウィック、バリー・サリヴァン主演の西部劇です。 <物語>1890年代。連邦保安官として司法長官の下で働くグリフ・ボネル(バリー・サリヴァン)は、2人の弟とともに、郵便強盗犯を逮捕するためアリゾナ州トゥームストンにやってくる。この一帯は40人のガンマンを従える大牧場主の女傑、ジェシカ・ドラモント(バーバラ・スタンウィック)が支配しており、強盗犯は彼女の手下の一人だった。一方、ジェシカの弟ブロッキー(ジョン・エリクソン)は、無法の限りを尽くした挙句グリフの協力によって逮捕されるが・・・ 感想は・・・傑作だと思います。一般的には「異色作」として名高い映画ですが、実際に見てみると、バリー・サリヴァン扮する凄腕ガンマンの生き様や風俗描写など、意外なほど西部劇らしい味わいを感じさせる作品でした。 とはいえ、個性的なストーリーやパンチの効いた演出はやはりフラー監督独自のもの。ちなみにカメラマンは、『北国の帝王』や『ロンゲスト・ヤード』など一連のロバート・アルドリッチ監督作で知られるジョセフ・バイロックです。 大勢の男を従えた女ボスが登場し、主人公と急接近していくという展開は、フリッツ・ラング監督、マレーネ・ディートリッヒ主演『無頼の谷』との共通性も感じさせます。冒頭のシーンをはじめ、サリヴァンが敵に向かって悠然と大またに歩いていく有名なシーンなど、名場面も数多くありました。 主演の2人(サリヴァンとスタンウィック)がそれぞれに印象的なキャラクターで記憶に残りますし、町の保安官兼スタンウィックの子分を演じたディーン・ジャガー(『日本人の勲章』、『西部魂』)も、やや屈折した役柄ではありますが好演していたと思います。 あと、ちょっと実験的なところがあるのも特徴です。序盤には(目の悪い人物の視点に立ってぼやけた視界を映し出したりなど)「視覚的遊び」のようなシーンがいくつか見られるのですが、ストーリーが徐々にシリアスになっていくにつれてそうした要素は影を潜めていきます。 「バーバラ・スタンウィックはこの映画が大好きだと言い、バリー・サリヴァンも同意見だった。撮影現場にいた者すべてがこの映画を好きになった」サミュエル・フラー 「ハリウッド西部劇のクリシェに挑み、フランス・ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちを熱狂させた傑作」中田秀夫 「どの場面にもどのカットにも、きわめて豊かな創意があふれ、演出のアイディアがふんだんに詰めこまれた映画である」ジャン=リュック・ゴダール 「表面上これは西部劇だが、最初のカットからもう、これが《普通》のアメリカ西部劇とは似ても似つかぬものであることが見てとれる・・・彼(フラー)はストーリーを、実験的な、他と異なるやり方で物語る」マーティン・スコセッシ 「女王バーバラ・スタンウィックにつかえる40人の拳銃使いが、隊列をなした騎馬の群れとして画面を横切る瞬間の塵埃がすごい・・・モダニズムとは無縁のフラーの現代性が、見るものを戦慄せしめる」蓮實重彦 「サム・フラーはジャンルの約束事をゴムのように引っ張って、切れる寸前で止めてみせる。その緊張感と倒錯感がたまらない。しかも女王バーバラ・スタンウィックの美しさときたらどうだろう」加藤幹郎 以下ネタバレ ラストの唐突なハッピー・エンドには少し面食らってしまいました。スタンウィックが、自分の弟を殺したサリヴァンを走って追いかけていくんですよね。フラー自身は当初スタンウィックを生かすつもりはなかったそうなのですが、これはこれで映画的な幕切れかなとは思います。
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