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フリッツ・ラング監督の西部劇。史上初めてテーマソングを使用した西部劇としても知られています。



<物語>婚約者べスを強盗に殺されたカウボーイ、ヴァーン(アーサー・ケネディ)は復讐の旅に出る。頼りは、仲間割れで撃たれた強盗の片割れが死ぬ間際に口にした、「チャカラック」という場所。やがてオルター・キーンという女(マレーネ・ディートリッヒ)の存在にたどり着いたヴァーンは、その恋人である銃の名手、フレンチー(メル・ファーラー)に近づくが・・・。


感想は・・・なかなか面白かったです。これもかなり異色な西部劇で、出だしではよくある復讐ものかと思わせておいて、ディートリッヒの登場あたりからどんどんと脱線していきます。話の焦点が、主人公(アーサー・ケネディ)による復讐譚から、ディートリッヒとメル・ファーラーのカップルにいったん移ってしまうんですよね(終盤ではちゃんと引き戻されますが)。


ちなみに、「チャカラック」というのはディートリッヒとファーラーが仕切っているならず者の巣を指す暗号のことで、彼女はならず者達の稼ぎの1割を受け取りつつ彼らに隠れ家を提供しています。ケネディの彼女を殺した犯人はそのならず者のうちの一人というわけなのですが、ややこしいのは、ディートリッヒとファーラーは金と引き換えに隠れ家を提供しているだけなので、殺しの件については全く知らないということです。ケネディはファーラーの脱獄を助けて彼の友人となり、まるでスパイのように「チャカラック」に入り込んで真犯人を探り出そうとします。ここで彼は、ディートリッヒに惚れたふりをしてファーラーとの間に摩擦を起こしたりするので、見ていてヒヤヒヤさせられますね。90分足らずの上映時間でありながら、今までに見た中で最もまわりくどい復讐ものウエスタンでした。


役者では、ケネディは好演していましたが、ディートリッヒとファーラーのコンビはちょっと微妙かもしれません。当時51歳でありながらヒロインを演じるディートリッヒはともかく、ファーラーのフレンチーはいくらなんでもミスキャストすぎます。ひょろりと背の高いスマートな優男で、とても猛者どもを束ねる強者には見えません。西部男というより、二枚目のマジシャンか何かみたい(^^;


全体として、短い時間の中に色々と詰め込みすぎたきらいはあるものの、凝ったストーリーや意外な展開は確かに新鮮だったので、興味を持たれた方はぜひ一度挑戦してみてください。


あと、僕自身はすっかり失念してしまっていたのですが、ゴダールの『軽蔑』の中に、ブリジット・バルドーがフリッツ・ラング(本人)に対して「西部劇の『無頼の谷』は良かった」と言い、ラングに「『M』の方がいい」と返されるシーンがあるそうです(笑)。



・・・とここまで書いて放置しておいたのですが、再見したら、あら不思議、ファーラーのマジシャンのような手付きでさえ特に気にならないではありませんか(笑)。というか、あらすじを知ったうえで見直してみたら、オフビートな部分も意外と楽しめたんですよね。思わず☆を一つ増やしてしまいました。今では本作、もしやカルト映画の傑作ではないかと思い始めております。

閉じる コメント(8)

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ラングが西部劇ですか・・。話が凝ってるというところはラングらしいですね。最近同監督の『飾窓の女』を見たのですが、もう完璧にノックアウトされました。今度『緋色の街/スカーレット・ストリート』を近々に見る予定です。

2009/1/23(金) 午後 2:51 [ Jack ]

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「かなり異色」といのがラングらしいですね。レンタルリストには入れてるので近い内に観ようかなと。
『軽蔑』のシーンは先日再見した時にニヤリとしてしまいました(笑

2009/1/23(金) 午後 4:47 [ - ]

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Jackさん
ラングの西部劇は他にも何作かあるようですが、本作の場合なんといっても主演女優がディートリッヒですし、さらにはゴダールから高く評価されたことなども手伝って、知名度は最も高いんじゃないでしょうか。
ストーリーはやっぱりちょっと変わってますね。特にキーンという女、主人公の復讐という話の本筋からすれば結構どうでもいい存在のはずなのに、(演じているのがディートリッヒだからかもしれませんが)やたらと重点的に描写されるんです。しかも肝心の強盗殺人犯ときたら全く臆病な男で、他のならず者たちに助けを求めたりしたあげく、復讐に燃える主人公を尻目にあっさりとキーンの恋人に撃ち殺されちゃったりします。
でも決して悪い映画ではありませんよ。前半はともかく、後半の二転三転する展開などはかなり楽しめました。
そういえば、『飾り窓の女』も昔見て良かった記憶があります。『スカーレット・ストリート』は未見ですが。

2009/1/23(金) 午後 10:11 [ user t ]

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YAZさん
正直、前半はちょっと微妙かもしれません。特にディートリッヒ演じる女ボスの過去が思い入れたっぷりに描かれる部分では、いったい本筋と何の関係があるんだよ、とついツッコミを入れたくなってしまいました(笑)。でも後半の展開は意外と面白かったです。
ご覧になりましたら、ぜひ感想を聞かせてください。

2009/1/23(金) 午後 11:47 [ user t ]

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わたしも「軽蔑」のラング本人がコメントするシーンが印象深いですね。確かに「M」の方が名作だったとラングに同感したものの、肝心のこの「無頼の谷」は実は未見です。

2009/1/24(土) 午前 6:54 ヒッチさん

西部劇は久しく見てないなあ・・・・

2009/1/24(土) 午後 0:08 おっちゃん&ばっちゃん

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ヒッチさん
おっしゃるように、僕も『M』は学生時代に見て傑作だと思った記憶があります。『無頼の谷』も悪くはないですけどね。

2009/1/25(日) 午前 0:28 [ user t ]

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かわしりさん
たまにはご覧になってみるのも良いかもしれませんよ。特に1950年代の西部劇は、傑作・秀作・異色作の宝庫だと思います。

2009/1/25(日) 午前 1:00 [ user t ]

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