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戦後股旅映画の代表的傑作。
<物語>渡世人の沓掛時次郎(中村錦之助)は、一宿一飯の義理で六ツ田の三蔵(東千代之介)を斬る。三蔵は息をひきとる時、女房おきぬ(池内淳子)と幼い息子の太郎吉のことを時次郎に託す。時次郎は2人を連れて故郷の沓掛村へと向うが・・・。
ストーリーの中心は時次郎とおきぬの純愛です。その部分では、全く似て非なる映画ではありますが、例えば成瀬巳喜男の傑作『乱れ雲』を思い出してしまいました。惚れる相手が未亡人で、しかもその夫の死に主人公が深く関わっていること、そして最後に2人が結ばれないことなどが共通しているからです。どちらも、幸せに結ばれないことがあらかじめ定められた出会いを描いているんですよね(結ばれたとしても、余計に後味の悪い話になってしまいます)。
正直、こうした特徴を持つ作品のストイックさ、せつなさは見ていて少し苦しいのですが、本作の場合は時代劇としての芸術的完成度が非常に高いため、そういう次元を遥かに超えてしまっている面があります。主演の中村錦之助をはじめとする出演陣の熱演、今でも新鮮なカメラワークなど見所も多く、評判通りの堂々たる名作でした。
ただ、けっこう異色な要素もあるんです。その代表が、序盤では勢いよく画面をさらっておきながら、あっという間に殺されてしまう主人公の弟分・朝吉(渥美清)の存在ですね。彼の存在は原作にはなく、あくまでも脚本の創作だそうですが、そのお笑い的なキャラクターがやや映画の中で浮いているという指摘もあったようです。個人的にはあまり気にはなりませんでしたが。
時代劇に抵抗のない方ならば、一度は見ておいて損のない作品だと思います。
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好きな作品です。調子にのって、ひとりで敵地に斬り込んで、惨殺されるおっちょこちょいの渥美清。コメディアンの渥美が演じたからか、よけいに強い印象を残しました。
2009/2/5(木) 午後 9:31 [ 鉄砲弥八 ]
加藤泰監督の股旅もの観れてないです。
この頃からローアングルだったんでしょうか。
げすな話ですが、「沓掛時次郎」で思い出すのは、昔TVでやってた「てなもんや三度笠」の藤田まことの「あんかけの時次郎」を思い出します。
2009/2/5(木) 午後 11:09
鉄砲弥八さん
おっしゃるように、渥美清、序盤で殺されてしまうわりには印象に残りますね。彼以外のキャラクターがみな基本的にシリアスなので、なおさらかもしれません。
2009/2/6(金) 午前 0:26 [ user t ]
シーラカンスさん
実は、加藤泰監督の作品を見たのはこれが初めてなんです。彼のローアングルは有名らしいですね。本作は彼の代表作のひとつだけあって、かなり効果的に用いられていたと思います。
2009/2/6(金) 午前 0:27 [ user t ]
私が勝手に決めている「中村錦之助の傑作股旅3部作」の一本です。
2009/2/6(金) 午前 3:19
おはようございます。加藤泰監督は私の尊敬する監督の一人です。
「瞼の母」「緋牡丹博徒・お竜参上」「ざ・鬼太鼓座」是非見てください。黒沢の10倍素晴しい!!それにしてもこの頃の錦之助はいいですよねえ。
2009/2/6(金) 午前 6:50
この作品も、加藤泰という監督も初めて知りました。まったく無知な人間です。勉強になります(趣味だけど・・笑)。
まあ先に、とにかくまずは『乱れ雲』を観たいと思っていますが、そののち、いつか比較して観てみたいです!
2009/2/6(金) 午後 6:07
genteelさん
3部作のうち、まだ見ていないのは『瞼の母』です。
2009/2/6(金) 午後 9:38 [ user t ]
狼少年さん
黒沢の10倍ですか!よっぽどお好きなんですね。中村錦之助に関しては、昔見た『宮本武蔵』シリーズ、『関の弥太っぺ』などで良さは認識していました。
2009/2/6(金) 午後 9:44 [ user t ]
緋牡丹博徒・花札勝負も加藤監督でしたよね、DVDでみましたが、スクリ−ンで見てみたいですね。
2009/2/7(土) 午前 0:33 [ koukou ]
このあたりの東映任侠映画は手薄で観ているものが少ないです。この作品も未見です。興味ありますね。日活か大映の別の沓掛時次郎を昔テレビで見たことがありますが、記憶が定かではありません。
2009/2/7(土) 午前 8:46
スピノザさん
僕も加藤泰作品は初鑑賞でした。
あと、『乱れ雲』と共通点があるといっても、『英雄〜HERO〜』と『切腹』のような引用関係は全くないですよ。たまたま類似点があったというだけのことです。念のため。
2009/2/7(土) 午前 11:42 [ user t ]
koukouさん
おっしゃるように、この監督の映画はスクリーンに映えそうですね。
2009/2/7(土) 午前 11:43 [ user t ]
ヒッチさん
沓掛時次郎、ちょっと調べてみたところ、少なくとも5回以上は映画化されています。昔は定番ものだったんですね。
2009/2/7(土) 午前 11:45 [ user t ]
映画「遊侠一匹」を取り上げてくださって、ありがとう。子役の太郎吉を演じている中村信二郎(当代の中村錦之助)さんのお家とは母の代からお付き合いがありますし、私は2歳のときから東映の黄金期の作品をほとんど観てます。ラストシーンが良いですね。雷蔵さんの時次郎より錦ちゃんのほうがこの役は合ってると思う。
2009/5/28(木) 午後 6:04 [ kom*baq ]
komabaqさん
初コメありがとうございます。
関係者の方でしたか!
時次郎ものはまだ本作しか見ていないので、他作品と比較することは出来ませんが、確かに素晴らしかったです。おっしゃるように、中村錦之助が好演していましたね。
2009/5/29(金) 午後 9:55 [ user t ]
関係者というほどでは・・・。先の錦之助襲名披露パーティーでもこの映画の名場面が流され、司会のNHKの葛西アナが太郎吉があくびをするシーンで「中途半端であくびになってません」と解説し、場内爆笑。信二郎くんの好演に何度も泣いた作品ので複雑な思いでした(笑)。彼は父を早く亡くし、錦之助の実の甥なので「おじちゃんがいるから寂しくないや」というセリフにはグッときたものです。錦之助の股旅物ではマキノ監督のリメーク版「弥太郎笠」が絶品で、これも森一生監督で雷蔵が撮ってます。錦之助の股旅物は「おくんなさい」を「おくんなはい」と発音するところに他者にない色気があるのです。
2009/6/1(月) 午前 10:16 [ kom*baq ]
komabagさん
そんなことがありましたか・・・。錦之助作品では、他に『宮本武蔵』シリーズなどが印象的でしたね。機会があれば、本作以外の股旅ものも見てみたいと思っています。
2009/6/3(水) 午後 6:35 [ user t ]