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ラオール・ウォルシュ監督、ジョエル・マクリー、ヴァージニア・メイヨ主演。bigflyさん、栗田さんも言及されていた西部劇の名作です。 <物語>銀行強盗や列車強盗をくり返して牢に入っていたウェス・マクイーン(ジョエル・マクリー)は、仲間の手引きによって脱獄に成功した。その後、東部からやってきた開拓者の父娘と知り合い、娘のジュリー・アン(ドロシー・マローン)に心惹かれるが、再びならず者たちと組んで最後の列車強盗を企てるはめになる。一味のなかにいた女コロラド・カーソン(ヴァージニア・メイヨ)と親しくなったマクイーンは、仲間の裏切りにもかかわらず列車強盗に成功するが・・・ 感想は・・・これは傑作です。ラオール・ウォルシュ監督が自作『ハイ・シエラ』(1941)を西部劇に置き換えてリメイクした作品で、ストーリーも『ハイ・シエラ』とほとんど同じなのですが、個人的にはこちらの方が気に入りました。 『ハイ・シエラ』が、主演であるハンフリー・ボガードの個性を反映してハード・ボイルドかつちょっと切羽詰まった雰囲気の映画となっているのに対し、本作はジョエル・マクリーの個性を反映してか、より哀切で深い人間味を感じさせる作品になっていると思います。 悪く言えばより感傷的ということになるのかもしれませんが、これがストーリー上の細かな変更点や、ウォルシュ監督の演出力、そして主演2人の表現力などによって、まさに映画史上の名作に仕上がっているんですよね。 出演者では、(もちろんマクリーも素晴らしいですが)特にヒロインを演じたヴァージニア・メイヨの好演が強く印象に残りました。西部劇のヒロインとしては間違いなく史上有数のキャラクターであり、本作が彼女の代表作とされているのも納得です。 また、有名なラストと並んで『ハイ・シエラ』から最も大きく変更されたのが、もう一人のヒロインのキャラクターでしょう。『ハイ・シエラ』でジョーン・レスリーが演じた娘があくまでもただの(?)娘だったのに対し、この映画でドロシー・マローンが演じたジュリー・アンは、指名手配中のマクリーを金のために売り飛ばそうとするような悪女として描かれています。 マクリーは彼女に死んだ恋人の面影を見て、一時は結婚を考えるほど惚れ込んでいたわけですから、これはかなりのショックです。必然的に、見ている側の気持ちも、彼女とつかみあいをしてまでマクリーを守ったメイヨに大きく傾いていきます。こうした変更点が効果的だったことも、本作が傑作となった理由のひとつでしょう。 「『死の谷』のすばらしさは私を卒倒させた」淀川長治 「ラオール・ウォルシュが西部劇監督としての腕前を遺憾なく発揮した一篇。討伐隊に追いまくられる無法者ジョエル・マクリーが腐れ縁のあばずれ女ヴァージニア・メイヨとようやく結ばれ、新しい人生を夢見るが・・・というお話は珍しくもないが、逃げていくのがコロラドの大渓谷なのが異色で、その壮大な景観が圧倒的な魅力」双葉十三郎 「非情な壁と化す死の谷という舞台を得ることで、古典悲劇のような簡潔な構図が大きく情念を揺すぶるものへと変化していく。それにしてもウォルシュの時のヴァージニア・メイヨは、何でこんなにいいのだろう」筒井武文 「『死の谷』のヴァージニア・メイヨは本当に素晴らしい。男性に庇護されるだけの弱いヒロインではない。・・・西部劇で銃を持って戦うヒロインを決定づけたのは、『死の谷』のヴァージニア・メイヨではないか」川本三郎 「“壁の花”に終ることの多かった西部劇のヒロインが、この作品で、明確な自己主張をみせた」増淵健 以下ネタバレ |

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