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ジョン・スタージェス監督、カーク・ダグラス、アンソニー・クイン主演の西部劇。いわゆる「決闘三部作」(日本の映画会社がつけた宣伝惹句ですが)の最終作としても知られている作品です。



<物語>オクラホマ州の小さな町。妻を何者かに殺された保安官マット(カーク・ダグラス)は、残された馬の鞍に“CB”の文字を見つける。間違いなく旧友でガンヒルの大牧場主、クレイグ(アンソニー・クイン)の物だった。マットはガンヒルに行き、犯人の一人がクレイグの息子リック(アール・ホリマン)であることを突き止める。復讐心を捨て、マットはリックに法の裁きを受けさせようとするが・・・


感想は・・・久しぶりの鑑賞になりますが、やはり秀作でした。カーク・ダグラスとアンソニー・クインという重量級のスター同士の対決がメインの映画で、完成度もかなり高いです。


本作の特徴としては、まず第一に先住民差別の問題を扱っていることが挙げられます。ダグラスの妻がインディアンに設定されているのです。デルマー・デイヴィス監督の『折れた矢』(1950)以来、西部劇のひとつの流れとなったテーマですね。


ストーリー的には、ガンヒルの町に住むほとんどの人間が敵というなかで、犯人を自分の町まで汽車で連行しようとするダグラスの行動が中心となります。彼は汽車が来る時間まで犯人とホテルに立てこもることになるわけですが、このあたりの展開はデイヴィス監督の『決断の3時10分』(1957)を思い出させました。周囲を敵に囲まれているというシチュエーションも、途中で女性が訪ねてくる点も同じなので、これはむしろオマージュと呼ぶべきかもしれません。


ついでに言えば、「主人公がたった一人で見知らぬ町に乗り込み、困難な状況と戦う」という基本線は、スタージェス監督自身の代表作『日本人の勲章』(1954)と同じですし、強い父親(アンソニー・クイン)とダメな息子(アール・ホリマン)の関係性は、アンソニー・マン監督の『ララミーから来た男』(1955)やウィリアム・ワイラー監督の『大いなる西部』(1958)を彷彿とさせます。


過去の名作群と共通のモチーフが数多く含まれた映画ではありますが、もちろんオリジナリティがないわけではありません。ダルトン・トランボ(『拳銃魔』、『カウボーイ』、『ローマの休日』)による引き締まった脚本とスタージェスの冴えた演出、そして出演陣の好演のおかげで、十ニ分に魅力を感じさせる作品となっています。特にダグラスとクインの熱演、そしてラストの決闘は記憶に残るものでした。



         

参考文献

このブログではよく、記事中に批評家や著名人のその映画に対するコメントを引用しています。これは一体なにかというと、主として「僕がその映画に興味を持つきっかけとなった」文章なんです。
当然のことですが、いわゆる超有名作でもないかぎり、その映画のことを初めて知る方も多いわけですよね。なので、その映画を誰が、どのように高く評価しているのか(ほんの一部ではありますが)ひと目で分かれば便利だと思ったのです。


以下は、それらの引用文献と、引用はしていなくても僕が映画選びの参考にしたことのある文献の一覧表です。



芦原伸『西部劇を読む事典』生活人新書
新井達夫『フィルムノワールの時代』鳥影社
上島春彦『レッドパージ・ハリウッド 赤狩り体制に挑んだブラックリスト映画人列伝』作品社
アンドレ・バザン『映画とは何か その社会学的考察』美術出版社
エマニエル・レヴィ『アカデミー賞全史』文藝春秋
逢坂剛・川本三郎『大いなる西部劇』新書館
逢坂剛・川本三郎『誇り高き西部劇』新書館
逢坂剛・川本三郎・菊地秀行・永田哲朗・縄田一男・宮本昌孝『西部劇への招待』PHPエル新書
川本三郎『アカデミー賞〜オスカーをめぐるエピソード〜』中公文庫
川本三郎『ハリウッドの神話学』中公文庫
川本三郎『ハリウッドの黄金時代』中公文庫
川本三郎『ハリウッド大通り』ちくま文庫
川本三郎『ロードショーが150円だった頃』晶文社
川本三郎編『映画監督ベスト101』新書館
川本三郎編『映画監督ベスト101 日本篇』新書館
サミュエル・フラー『映画は戦場だ!』筑摩書房
児玉数夫『娯楽映画の世界 西部劇』教養文庫
ジャン=リュック・ゴダール『ゴダール全評論・全発言I』筑摩書房
スティーヴン・ジェイ・シュナイダー編『死ぬまでに観たい映画1001本』ネコ・パブリッシング
スティーヴン・ジェイ・シュナイダー編『501映画監督』講談社
スティーヴン・ジェイ・シュナイダー編『501映画スター』講談社
遠山純生編『フィルム・ノワールの光と影』エスクァイア マガジン ジャパン
蓮實重彦『映像の詩学』ちくま学芸文庫
蓮實重彦『映画 誘惑のエクリチュール』筑摩書房
蓮實重彦『ハリウッド映画史講義 翳りの歴史のために』筑摩書房
蓮實重彦『映画論講義』東京大学出版会
筈見有弘監修『外国俳優大事典』芳賀書店
藤崎康『戦争の映画史 恐怖と快楽のフィルム学』朝日選書
藤原帰一『映画のなかのアメリカ』朝日選書
双葉十三郎『外国映画 僕の500本』文春新書
双葉十三郎『外国映画 ハラハラドキドキ ぼくの500本』文春文庫
マイケル・ヘンリー・ウィルソン編『孤高の騎士 クリント・イーストウッド』フィルムアート社
増淵健『西部劇映画100選』秋田書店
村上由見子『イエロー・フェイス ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』朝日選書
村上由見子『ハリウッド100年のアラブ 魔法のランプからテロリストまで』朝日選書
安原顯編『映画の魅惑 ジャンル別ベスト1000』メタローグ
安原顯編『ジャンル別映画ベスト1000』学研M文庫
山田宏一『新編 美女と犯罪』ワイズ出版
山田宏一『何が映画を走らせるのか?』草思社
山根貞夫編『官能のプログラム・ピクチュア』フィルムアート社
小松弘・山本哲士ほか『フリッツ・ラング』文化科学高等研究院出版局
小松弘・山本哲士ほか『フィルム・ノワール』文化科学高等研究院出版局
吉田広明『B級ノワール論 ハリウッド転換期の巨匠たち』作品社
淀川長治『淀川長治映画塾』講談社文庫
淀川長治『淀川長治 映画ベスト1000』河出書房新社
淀川長治・蓮實重彦編『シネクラブ時代』フィルムアート社
淀川長治・蓮實重彦・山田宏一『映画千夜一夜』中央公論社
和田誠『シネマ今昔問答』新書館
和田誠『シネマ今昔問答・望郷篇』新書館
和田誠・川本三郎・瀬戸川猛資『今日も映画日和』文春文庫

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サミュエル・フラー監督、バーバラ・スタンウィック、バリー・サリヴァン主演の西部劇です。



<物語>1890年代。連邦保安官として司法長官の下で働くグリフ・ボネル(バリー・サリヴァン)は、2人の弟とともに、郵便強盗犯を逮捕するためアリゾナ州トゥームストンにやってくる。この一帯は40人のガンマンを従える大牧場主の女傑、ジェシカ・ドラモント(バーバラ・スタンウィック)が支配しており、強盗犯は彼女の手下の一人だった。一方、ジェシカの弟ブロッキー(ジョン・エリクソン)は、無法の限りを尽くした挙句グリフの協力によって逮捕されるが・・・


感想は・・・傑作だと思います。一般的には「異色作」として名高い映画ですが、実際に見てみると、バリー・サリヴァン扮する凄腕ガンマンの生き様や風俗描写など、意外なほど西部劇らしい味わいを感じさせる作品でした。


とはいえ、個性的なストーリーやパンチの効いた演出はやはりフラー監督独自のもの。ちなみにカメラマンは、『北国の帝王』や『ロンゲスト・ヤード』など一連のロバート・アルドリッチ監督作で知られるジョセフ・バイロックです。


大勢の男を従えた女ボスが登場し、主人公と急接近していくという展開は、フリッツ・ラング監督、マレーネ・ディートリッヒ主演『無頼の谷』との共通性も感じさせます。冒頭のシーンをはじめ、サリヴァンが敵に向かって悠然と大またに歩いていく有名なシーンなど、名場面も数多くありました。


主演の2人(サリヴァンとスタンウィック)がそれぞれに印象的なキャラクターで記憶に残りますし、町の保安官兼スタンウィックの子分を演じたディーン・ジャガー(『日本人の勲章』、『西部魂』)も、やや屈折した役柄ではありますが好演していたと思います。


あと、ちょっと実験的なところがあるのも特徴です。序盤には(目の悪い人物の視点に立ってぼやけた視界を映し出したりなど)「視覚的遊び」のようなシーンがいくつか見られるのですが、ストーリーが徐々にシリアスになっていくにつれてそうした要素は影を潜めていきます。


「バーバラ・スタンウィックはこの映画が大好きだと言い、バリー・サリヴァンも同意見だった。撮影現場にいた者すべてがこの映画を好きになった」サミュエル・フラー
「ハリウッド西部劇のクリシェに挑み、フランス・ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちを熱狂させた傑作」中田秀夫
「どの場面にもどのカットにも、きわめて豊かな創意があふれ、演出のアイディアがふんだんに詰めこまれた映画である」ジャン=リュック・ゴダール
「表面上これは西部劇だが、最初のカットからもう、これが《普通》のアメリカ西部劇とは似ても似つかぬものであることが見てとれる・・・彼(フラー)はストーリーを、実験的な、他と異なるやり方で物語る」マーティン・スコセッシ
「女王バーバラ・スタンウィックにつかえる40人の拳銃使いが、隊列をなした騎馬の群れとして画面を横切る瞬間の塵埃がすごい・・・モダニズムとは無縁のフラーの現代性が、見るものを戦慄せしめる」蓮實重彦
「サム・フラーはジャンルの約束事をゴムのように引っ張って、切れる寸前で止めてみせる。その緊張感と倒錯感がたまらない。しかも女王バーバラ・スタンウィックの美しさときたらどうだろう」加藤幹郎



以下ネタバレ



ラストの唐突なハッピー・エンドには少し面食らってしまいました。スタンウィックが、自分の弟を殺したサリヴァンを走って追いかけていくんですよね。フラー自身は当初スタンウィックを生かすつもりはなかったそうなのですが、これはこれで映画的な幕切れかなとは思います。

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フリッツ・ラング監督、ランドルフ・スコット、ロバート・ヤング主演の西部劇。ラング監督の西部劇は全部で3作ありますが(『地獄への逆襲』、『無頼の谷』)、本作はそのうちの2作目に当たるものです。



<物語>1861年。ウエスタン・ユニオン電信会社は、オマハからソルトレイクシティーまで、電柱を建てて通信網を延長しようとしていた。お尋ね者のショー(ランドルフ・スコット)は、追手を逃れる途中、重傷を負って倒れているウエスタン・ユニオンの技師長、クレイトン(ディーン・ジャガー)を助ける。全快したクレイトンは建設事務所に帰るが、そこではいつの間にかショーが雇われていた・・・


感想は・・・秀作でした。時代背景は南北戦争直前、主役は西部で電線を引く仕事に従事する男たち、そして悪役はインディアンに化けて彼らを妨害する南部人と、非常に興味深い点が多かったです。


役者ではランドルフ・スコットが良かったですね。彼の出演作を見るのはこれで2本目になりますが、好演していました。彼とディーン・ジャガー、そしてロバート・ヤング演じるインテリの東部男という3人組の友情に、彼らの牛を盗んだり、仕事を妨害したりするスコットの昔の仲間たち(リーダーはスコットの兄)が絡んでくるストーリーです。当然、スコットは友情と肉親の情の間で板ばさみになります。


ただちょっと余分かなと思ったのが、スリム・サマーヴィル(『西部戦線異状なし』)演じるコックの存在。時おり出てきてはドタバタ・ギャグをくり返すコメディ・リリーフなのですが、はっきり言ってこの映画ではモロに浮いていました(笑)。


「西部劇でありながら、十二分にラング的な異色作となった」増淵健
「フリッツ・ラングは西部と西部劇の本質をわかった上で映画を作っていたと思います」山本哲士



以下ネタバレ



最後にスコットが兄と対決し、殺されてしまうのはかなり意外でした。スコットの仇を討って生き延びるのは、およそ西部劇のヒーローには似つかわしくないロバート・ヤングなんですよね。これは当時の西部劇としては少し異色なラストだと思います。

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ジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレーシー主演の現代西部劇。ホワイトハウスでの上映回数第2位の超名作です(ちなみに第1位は『真昼の決闘』、第3位は『カサブランカ』、第4位は『ローマの休日』)。


製作はドーリ・シャリー。ニコラス・レイ、ジョゼフ・ロージー、ロバート・アルドリッチらを監督デビューさせたことで知られる人物です。



<物語>第二次大戦終結直後の1945年。列車に乗ったひとりの男(スペンサー・トレーシー)が、カリフォルニアの砂漠の中にある片田舎、ブラック・ロックの駅に降り立つ。彼には左手がなかった。何もないこの小さな町でよそ者の噂はすぐに伝わり、町のボス(ロバート・ライアン)や保安官が疑心暗鬼で男の目的を探り始める・・・


感想は・・・傑作でした。太平洋戦争中に起きた日系人差別の問題が扱われており、ある意味ではかなりの問題作だと思います。


ジョン・スタージェス監督といえば、『荒野の七人』や『大脱走』など娯楽活劇のイメージが強いですが、本作はちょっと毛色の異なった作品です。派手なアクションや撃ち合いはほとんどなく、登場人物たちは田舎町を歩き回り、会話中心でストーリーが進んでいきます。


そのストーリーも、いわゆるスモールタウンの暗黒面、隠された秘密が徐々に暴かれていくもので、西部劇というよりはモロにフィルム・ノワールといった印象です。


キャストも好演していました。特に主演のトレーシーは、本作でカンヌ映画祭・最優秀演技賞(主演女優賞の該当者はなし)を受賞、同時にオスカーにもノミネートされており、名実ともに代表作の一つとなっています。


他の出演者も錚々たる顔ぶれです。人種差別主義者で、町のボス的存在の男にロバート・ライアン。ライアンの子分に、リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインの『北国の帝王』コンビ。さらに、トレーシーを手助けする老人にウォルター・ブレナン。飲んだくれの保安官にディーン・ジャガー・・・。紅一点のヒロイン、アン・フランシスは本作で初めて見ました。


「熟練した演技と演出の光る緊迫したサスペンスの中に、人種間の寛容さというメッセージをストレートに出している。しかし、意図はともかく印象的なのはスペンサー・トレーシーだ。聖人ぶったところを見せず、これほど見事に本質的な善良さを出せる俳優は、ほかにない」エドワード・バスコンブ
「(スタージェスの)最高傑作は現代版西部劇『日本人の勲章』だろう」川本三郎
「これは、現代活劇でありながら、スタージェスの西部劇よりも面白い」蓮實重彦



間違いなく一見の価値ある作品です。それにしても、日本人差別が題材の名作であるにもかかわらず、日本版DVDが未発売なのは意外でした。



以下ネタバレ



        



この映画、実はそもそも邦題がネタバレなんですよね。トレーシー演じる男は退役軍人で、イタリア戦線で自分の命を救って死んだ日系人の勲章を、田舎町に住む彼の父親に届けるためにやってきたのです。しかしその父親は、真珠湾攻撃の直後にライアンら差別主義者たちに殺されていた・・・。真珠湾攻撃後、日系人たちが強制収容などの差別を受けたのは周知の事実ですが、そうした狭量な人種的偏見を批判し、民主的な価値観を称揚した傑作だと思います。

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