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トリュフォー、ゴダール、ロメールらヌーヴェル・ヴァーグの旗手たちに多大な影響を与えた、サシャ・ギトリ監督の代表作。Jackさんの記事を読んで、僕もたまには古典をとりあげようと思い(笑)、未見だった本作を棚の奥から引っぱり出してきました。
<物語>大家族の一員の少年は、ある日、家の小銭を盗んだことがバレて食事を抜かされる。しかも、その食事のキノコが毒キノコであったために一家は全滅、彼は一夜にして孤児となってしまう。以後ホテルのボーイなど様々な職を経て、モナコのカジノで詐欺師として成功した男が、カフェで回想録を執筆する・・・といった奇想天外なストーリー。
感想は・・・面白かったです。評判どおり、モロにヌーヴェル・ヴァーグのルーツ的な印象を受けました。上映時間の大半は、主演でもあるギトリ自身のナレーションによって進行していくのですが、これはナレーションで進行する映画の先駆けとなったようです。
80分足らずの作品でありながら見所は多く、それぞれ別の女と組んで行う宝石泥棒とカジノでの詐欺(?)や、伯爵夫人との関わり、そして終盤からラストにかけての何とも意外な展開など盛りだくさんでした。全体的に独特のエスプリが効いていて、なかなか魅力的な映画だと思います。それにしてもギトリの芸達者さには本当に驚かされました。フランス版のチャップリンという感じさえします。
ただ、どうしても気になったのが字幕量の多さ。とにかくギトリによるナレーションがひたすら延々と続くので、初見ではさすがにちょっと辛く感じてしまいました。日本での初公開時には、ナレーション部分は弁士の徳川夢声による日本語吹き替えだったそうです。
付録の小冊子には、トリュフォーがギトリを敬愛し、ギトリが亡くなる直前に遺作のフィルムをチェックしている姿の写真を事務所に飾っていたことや、スタッフやキャストを直接画面に登場させて、クレジットを使用せずにギトリのナレーションで紹介する本作のスタイルを、ゴダールが『軽蔑』で模倣したことなども紹介されていました。
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