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ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演。青年時代のリンカーンを描いた伝記的作品にして、アメリカを代表する名優フォンダの出世作です。



<物語>イリノイ州ニュー・セレムでささやかな雑貨屋を営んでいたエイブラハム・リンカーン(ヘンリー・フォンダ)は、人々にすすめられて州議会選挙に立候補した。しかし愛し合っていたアン・ルトレッジに先立たれた後、彼はスプリング・フィールドに出て法律事務所を開く。独立記念日の夜、警吏スクラブ・ホワイトの殺害事件が起こり、犯人として寡婦アバゲイル・クレイ(アリス・ブラディ)の息子、マットとアダムが逮捕される。怒り狂って兄弟をリンチにかけようとする群集をなだめた彼は、クレイ兄弟の弁護を引き受けるが・・・


感想は・・・秀作でした。若い時代のリンカーンの、脚本家による創作を交えた物語です。


序盤における独立記念日でのお祭り騒ぎから、弁護士として冤罪の兄弟を救うクライマックスを経て、リンカーンが丘の上に登ってゆく有名なラストシーンに至るまで、全編がジョン・フォード監督らしい詩情あふれるタッチで綴られていきます。ちなみに、裁判のエピソードは実話を下敷きにしているそうです。


主演のヘンリー・フォンダがまさにハマリ役で、のちにアメリカを代表する偉人となる人物を、絶妙なバランス感覚で好演していました(この役は、当初タイロン・パワーが演じる予定だったそうです)。フォンダ自身が、最も楽しかった出演作(1948年時点)として本作の名を挙げているのも納得です。ただ実際のリンカーンに似せようとかなりメイクしているため、顔がちょっと不自然な気もしますが(^^;


リンチ批判のメッセージは『牛泥棒』(1943)でもくり返されることになりますし、20年後の『ワーロック』(1959)には、本作と同じようにフォンダが留置所に押しかけた暴徒を鎮めるシーンがあるなど、後のフォンダ作品につながる要素も数多く見受けられました。


静かな感動を与えてくれる映画であり、リンカーンという人物を通じてアメリカの理想を謳いあげた古典的名作として、一見の価値はあると思います。


「アクションを通じて勇気を、堕落に染まる脅威下で高潔を表現するのは比較的容易であるのに比べ、それらの特質を、単に存在するものとして、表現するにも一人の男のほんのわずかな言葉と立居振舞と内面演技で、しかも未来の大人物として納得の行くように暗示しつつ示すのは、簡単なことではない。『若き日のリンカン』ではそれが物の見事に達成されているのだ」「フォードは『若き日のリンカン』で、芸術家として成熟の域に達したと言えよう。つまり、フォードは自分のテーマを見つけたのであり、それにふさわしい表現に必要な技術を完璧に身につけたのだった」リンゼイ・アンダーソン
「月並な物語を、『駅馬車』を撮りあげたばかりのジョン・フォードがヘンリー・フォンダを主役にすえて、間然するところのない傑作に仕立て上げた。画面の的確さ、物語の簡潔さ、人物造形の自然さ、巧まざるユーモア。エイゼンシュテインも絶賛した!」中条省平

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