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ジャック・ターナー監督、ロバート・ミッチャム主演。フィルム・ノワールの古典的名作です。



<物語>カリフォルニア州の小さな町ブリッジポートでガソリン・スタンドを経営するジェフ・ベイリー(ロバート・ミッチャム)の元に、賭博場経営者ウィット・スターリング(カーク・ダグラス)の手下が訪れる。ジェフは、恋人アン(ヴァージニア・ヒューストン)と共にウィット邸に向かいながら、アンに過去のいきさつを語りだす。
・・・数年前、ニューヨークの私立探偵だったジェフは、ウィットの情婦キャシー(ジェーン・グリア)を連れ戻す仕事を引き受けた。彼女はウィットを殺そうとしたうえ、4万ドルを奪って逃げたのだという。ジェフはキャシーをアカプルコで見つけるが、そのまま彼女の虜となってしまう・・・


感想は・・・秀作だと思います。「カルト・ムーヴィーとして今なお絶大な人気を誇っている」だけあって、確かに見応えのある映画でした。


まず、ジャック・ターナー監督の演出や、ニコラス・ムスラカ(フィルム・ノワールを代表するカメラマンの一人)による撮影が高品質です。余韻を残すラストなど名シーンも多く、全体として非凡な出来だと思います。ただ、一部ストーリーが必要以上に入り組んでいるのは、ちょっと賛否の分かれるところかもしれません。


役者では、元探偵を演じるロバート・ミッチャムがなかなか良かったですね。本作は、彼のタフガイとしてのキャラクターを決定づけた作品としても知られています(原作者ダニエル・マンワリングはハンフリー・ボガートの主演を望んでいたそうですが、この映画はミッチャムで正解だったのではないでしょうか)。


そして、彼を翻弄するファム・ファタールに扮したジェーン・グリア。かなりの悪女で、悪さだけなら今までに見てきたノワール・ヒロイン中1、2を争うほどなのですが・・・この人には、どうもイマイチ映画的魅力を感じなかったというのが正直なところです。


むしろ、ミッチャムの現在の恋人役ヴァージニア・ヒューストンや、最後に重要な役目を果たす聾唖の少年を演じたディッキー・ムーアなど、脇役陣の方が個人的には印象に残りました。


「もし、“最もフィルム・ノワールらしい映画を1本だけ挙げよ”という問があったとしたら、『過去を逃れて』と答えるかもしれない。それ程、あらゆるフィルム・ノワール的な要素が詰め込まれている」筒井武文
「フラッシュバック、ファム・ファタール、込み入った筋が生み出す迷路的雰囲気・・・ノワールの典型的名作」吉田広明
「ロバート・ミッチャム出演のフィルムノワールとしては、(『さらば愛しき女よ』よりも)むしろこちらの方を積極的に推したい。・・・自分の情事が発覚したと知るや、脅してきた相手を平然と撃ち殺し、愛人を次々と裏切り、嘘に嘘を重ねる悪女をジェーン・グリアが見事に演じていた」鈴木啓二



このジャンルでは古典中の古典ですし、一見の価値はあると思います。

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