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サミュエル・フラー監督の初期作品。



<物語>ニューヨークの地下鉄を舞台にスリを働くスキップ(リチャード・ウィドマーク)は、車中でキャンディ(ジーン・ピータース)という女の財布をスリ取る。ところが財布の中には、共産国スパイの機密フィルムが入っていた・・・。


感想は・・・これには驚きましたね。傑作でした。マーティン・スコセッシが本作を気に入っているとのことですが、それも納得です。


まず、フラー自身による脚本と演出からして独特な面白さがあります。特にクローズアップを多用した演出は特徴的でしょうが、今見てもかなり新鮮な気持ちで見ることが出来ました。小道具の使い方など、とにかく色々と感心させられる要素が多かったです。


役者にもケチの付けようがありません。抜け目のないスキップ役のウィドマークはもちろん、何といってもピータースが魅力的です。本作のヒロイン候補にはマリリン・モンローなどの名前も挙がっていたそうですが、これはやはりピータースで正解だったと思います。さらに、情報屋の老婦人を演じたセルマ・リッターの哀愁漂う演技も秀逸でした。


ただ冷戦初期の作品であるためか、反共的な姿勢はかなり徹底しており、スパイ側を除くほぼ全ての登場人物が共産主義に強い嫌悪感を抱いています。それだけ当時のアメリカでは、共産主義が危険視されていたということなんでしょうね。


「わたしを打ちのめした最初の映画の一本」(マーティン・スコセッシ)
「私は今でも『拾った女』こそ、フラーの代表作だと信じている。そのストーリー展開、出没する人間たち、大都会の裏通りの描写ひとつを取り上げても上出来なフィルムノワールである」(新井達夫)
「冷戦初期の現象のひとつ、反共スパイものの流行は、1本の傑作『拾った女』を生み出した。この映画は、ダイナミックなスタイルと、犯罪者の生気ある描写のおかげで、B級の域を超えた。監督のサミュエル・フラーは創意に富んだスタイルを展開し、すべてのシーンに新鮮な発想の映像を盛り込んでいる」(マーティン・ルービン)



そういえば、フラーは『気狂いピエロ』にも顔を出していました。彼の作品を見るのはこれで5本目になりますが、個人的には本作が一番ストレートに面白かったです。

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