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サミュエル・フラー監督の出世作です。映画史上初めて朝鮮戦争を扱った作品で、開戦直後に製作されました。
<物語>朝鮮戦争の最中、分隊が全滅しただひとり奇跡的に生き残ったザック軍曹(ジーン・エヴァンス)。負傷した彼は、戦争孤児に助けられて戦線を後退する。彼はやがて敗残兵の一団と合流しその指揮を執ることになるが、古寺に立てこもった彼らを狙撃兵が襲う・・・。
感想は・・・傑作だと思います。低予算ではありますが、まさに作り手の意欲が伝わってくる作品でした。
本作の特徴としては、戦争映画でありながら全体の戦局は一切描かず、あくまでも一分隊の描写に焦点を絞っていることが挙げられます。明らかに後の同監督作品、『最前線物語』の原型であり、おそらくこの手の戦争ものの元祖と呼べるのではないでしょうか。
また、フラーには第二次世界大戦で勲功を立てた過去があり、そこかしこに彼自身の経験の深さを感じさせるセリフや描写が散見されました。一団のメンバーに黒人や日系人を含めたりするあたり、さらには彼らと朝鮮人捕虜の対話などには、元新聞記者らしいジャーナリスティックな指向性も感じとれます。
終盤の銃撃戦をはじめ、印象的なシーンも数多いです。個人的には、見終えた後、なぜかジョン・カーペンターの初期秀作群に出会ったときのことを思い出してしまいました。個人的にはフラーの方をより高く評価しているのですが・・・B級映画なのに力作であること、かつラストが印象的な点などが共通していたためでしょうか。
「観客たちに、戦争っていうのは、彼らが新聞で読んでいるようなものじゃないんだということを、知ってもらいたかったんだ」サミュエル・フラー
「(フラーに対して)君の『鬼軍曹ザック』はどこの撮影所でも映写して見ている。ありとあらゆる監督、脚本家、プロデューサーどもがこの映画を5、6回は見てるんだよ。君がこれを10日で仕上げたなんて誰にも信じられないんだ」ダリル・F・ザナック
「われらがサム・フラーの傑作。戦争機械であることと、生身の人間であることの間に生じる亀裂を、感傷を排したハードボイルドかつ繊細なタッチで描くことにかけて、フラーの右に出る者はいまい」藤崎康
ちなみに、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』におけるインディの相棒の少年の名「ショート・ラウンド」は、本作の冒頭でザックを助け、以後行動をともにする韓国人少年の呼び名からとられており、スピルバーグ達がフラーにオマージュを捧げたものだそうです。
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