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ヘクト=ランカスター・プロ製作、トニー・カーティス、バート・ランカスター主演、ショービジネス界の裏側を描いた社会派フィルム・ノワールの名作です。 <物語>成功を夢見る若きプレス・エージェントのシドニー・ファルコ(トニー・カーティス)は、ニューヨークのショービジネス界に絶大な権力を振るう新聞コラムニスト、J.J.ハンセッカー(バート・ランカスター)のために口八丁手八丁で記事のネタを集めていた。ある日ハンセッカーから彼の妹スージーとジャズギタリストの仲を裂くよう依頼されたファルコは、策略をめぐらしてギタリストのスキャンダルを捏造するが・・・ 感想は・・・これはかなりの傑作だと思います。いわゆる業界内幕ものですが、トニー・カーティスとバート・ランカスターが2人揃って悪役というのがまず珍しいですし、『マダムと泥棒』で知られるアレクサンダー・マッケンドリックの演出、ジェームズ・ウォン・ハウの撮影、そしてエルマー・バーンスタインの音楽と、全てが1級品でした。 原作は、後に『北北西に進路を取れ』、『ウエスト・サイド物語』、『サウンド・オブ・ミュージック』などの脚本で有名になるアーネスト・レーマン。脚本は、米左翼演劇の名作『ウェイティング・フォー・レフティ』の作者でありながら、赤狩り時には友好的証人となってしまったクリフォード・オデッツ。 映画の実質的な主役はプレス・エージェントのトニー・カーティスで、ストーリーは主に彼の行動を追うことによって進んでいきます。彼はランカスター扮するコラム二ストの走狗であり、実に小賢しい人物なのですが、演じたカーティスがこの役にハマッていて、何とも上手いんです。彼の演技が、この映画に説得力を持たせることに大きく貢献していると思います。 コラム二ストのバート・ランカスターもなかなかの存在感でした。彼のメガネ姿というのも珍しいですね。 コラムニストは、政治家や財界首脳と高級レストランなどで食事をしながら情報を入手し、それを記事に書くことによって業界の動向を左右するという、アメリカ・ジャーナリズムに特有の存在です。その中でも悪名高い一人が、まさに本作におけるランカスターのモデルであり、ブロードウェイのゴシップ・コラム二ストとして有名だったウォルター・ウィンチェルなんですね。それにしても、本作や『ローラ殺人事件』で描かれたコラム二ストたちの強大な権力には本当に驚かされます。 「ジャーナリズムもので、コラム二ストとプレス・エージェントをこれほど客観的にとらえた作品はなかった。・・・ニューヨークを描いた映画のなかでも屈指の一篇である」(双葉十三郎)
「まず、トニー・カーティスがすばらしい。そして、エルマー・バーンスタインとチコ・ハミルトンのジャズに乗せ、ジェームズ・ウォン・ハウのカメラがとらえたマンハッタンはミッドタウンの闇、赤狩りの犠牲となった脚本家クリフォード・オデッツの歯切れのよい台詞、そしてなによりもうれしくなるくらいに傲慢なバート・ランカスター、すべてが夜の闇と悪の魅力にあふれ、すばらしい」(藤原帰一) |

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