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ロバート・ワイズ監督、ハリー・ベラフォンテ、ロバート・ライアン主演。黒人歌手ハリー・べラフォンテが、自らの独立プロ、ハーベル(ハリー・ベラフォンテを縮めた名前)で製作した、「最後のフィルム・ノワール」とも呼ばれる名作です。 <物語>法廷侮辱罪で失職した元警官デイヴ・バーク(エド・べグリー)は、生活費欲しさに銀行強盗を計画、2人の男を仲間に引き入れる。前科者の南部人アール(ロバート・ライアン)と、酒場の黒人歌手ジョニー(ハリー・ベラフォンテ)である。しかし、アールは人種差別主義者、ジョニーの方も黒人に差別的な白人を憎む男だった・・・ 感想は・・・これは見応えある傑作した。 3人の負け犬が銀行強盗で人生の巻き返しをはかるが、そのうちの一人(ロバート・ライアン)による黒人差別がきっかけとなって破滅していく・・・という、犯罪ものに人種問題を絡ませたストーリー。ベラフォンテは当時のハリウッド映画における黒人の扱われ方に不満を持っていて、それが本作を製作する大きな動機となったそうです。 原作(ウィリアム・P・マッギヴァーンの『明日に賭ける』)を改変しつつ脚色したのはエイブラハム・ポロンスキー。彼は赤狩りのブラックリストに載せられていたため、ベラフォンテの友人で黒人作家のジョン・O・キレンスが「フロント」の役割を果たしました。 出演陣も良かったです。まずはロバート・ライアンですが、かつて殺人罪で服役し、今は情婦(シェリー・ウィンタース)のヒモとして暮らしている鬱屈した中年男を好演しています。対するベラフォンテも、賭博で身を持ち崩し、愛する妻子とは別居を強いられている黒人青年の像を繊細に表現。その他、2人を犯罪に引き込む元警官役エド・べグリー、ライアンの近所に住む主婦を演じたグロリア・グレアムらも印象的でした。 もちろんロバート・ワイズ監督の演出も、それぞれの人物像をこの上なく的確に描き出しています。 「犯罪映画の大傑作である。繁栄の時代に乗り遅れた男たちのあがき。アメリカの片隅の真実。ワイズといえば『ウエスト・サイド物語』、『サウンド・オブ・ミュージック』が有名だが、彼の本領はこうした真夜中の都会ドラマにこそ発揮される」(水野晴郎) 「『拳銃の報酬』は重要なことを劇的に、しかも説教臭なく述べている。脚本は感覚的に鋭く、挑発的だがバランスがとれている」(ロバート・ライアン) 「ジョゼフ・ブランの撮影がズバ抜けて見事」(植草甚一) 個人的には、『罠』に次いでお気に入りのワイズ作品となりました。 以下ネタバレ 終盤、ライアンとベラフォンテは巨大なガス・タンクの上で互いに銃を向け合い、同時に発砲。タンクは爆発、炎上します。そして翌朝の現場では、どちらが黒人か白人かも分からないほど焼け焦げた死体が2つ発見されることに・・・。人種差別を痛烈に皮肉った名ラストですが、ここには、当時のアメリカに蔓延していた核戦争恐怖の心情も同時に反映しているそうです。
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