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ロバート・シオドマク監督、バート・ランカスター、エヴァ・ガードナー主演。へミングウェイの短編「殺し屋」を原作に『裸の町』のマーク・へリンジャーが製作した、フィルム・ノワールの古典的名作です。 <物語>小都市のガソリン・スタンドに勤めるスウェード(バート・ランカスター)という男が、ある日2人の殺し屋に射殺された。警察はこの事件に冷淡だったが、保険会社の調査員レアダン(エドモンド・オブライエン)が興味を持ち、被害者の周辺から話を聞きだしていく・・・ 片田舎に2人の殺し屋が現れ、元ボクサーの男を殺す相談をしていた。それを聞いた若者が男の下宿に知らせに行くが、彼はすっかり観念していて逃げようともしない・・・映画は、有名な原作そのままの内容を最初の10数分で全て語り終えてしまいます。それ以降は脚本家による創作で、原作では詳述されなかった男の過去を、複数の人々の回想を通して描いていくわけです。 脚本を書いたのは、主としてジョン・ヒューストンだと言われています(クレジットにはアンソニー・ヴェイラーとありますが、実際にはヒューストンがシナリオの大半を書いたとのこと)。彼は監督も手掛ける予定でしたが、プロデューサーのへリンジャーと衝突したために降板。結局はロバート・シオドマクが監督を務めることになりました。ちなみにへミングウェイは、ヒューストンが脚本を書いたことを知らないまま、自分の小説から生み出された映画の中で出来がいいのは『殺人者』だけだと、ある日彼に打ち明けたそうです。 感想は・・・やはり傑作でした。 監督のロバート・シオドマクは、ナチ政権下のドイツからフランスをへてアメリカに亡命した名匠です。特に本作は、ドイツ表現主義映画の陰影の深い映像が、「ハリウッド的に様式化され、洗練されて・・・フィルム・ノワールのスタイルと造形美を決定的なものにした」作品として知られています(そのモノクロ美学は、2人の殺し屋がやってくる冒頭シーンを見ただけでもよく分かります)。 主演のランカスターは当時33歳で、本作が映画デビュー作です。かなり哀れな役柄ではあるものの、既に好演を見せています。翌年には早くも自らのプロダクションを設立し、プロデューサーとしても成功していくことになるのは周知の通りです。 共演のエヴァ・ガードナーも、この映画で一躍スターとしての座を確立しました。彼女の美しさ、そしてランカスターを死へと追い込むファム・ファタールぶりは圧巻です。 狂言回し的な保険調査員を演じる、エドモンド・オブライエンもなかなかだと思います。 「ヘミングウェイの有名な短篇から出発して、フラッシュバックの技法を駆使し、メロドラマとフィルム・ノワールが寸分の隙もない演出で合体する。ランカスター=ガードナーのカップルも魅力的」中条省平 「冒頭、二人の殺し屋がどこかの小さな町に降り立ち、殺風景な食堂に入ってくる印象的な場面から・・・重苦しい緊張と不安が、いささかも弛緩することなく、全編をつらぬいている」吉村和明 アカデミーの監督賞、脚色賞、編集賞などにもノミネートされており、非常に完成度の高い作品でした。
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