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ジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレーシー主演の現代西部劇。ホワイトハウスでの上映回数第2位の超名作です(ちなみに第1位は『真昼の決闘』、第3位は『カサブランカ』、第4位は『ローマの休日』)。 製作はドーリ・シャリー。ニコラス・レイ、ジョゼフ・ロージー、ロバート・アルドリッチらを監督デビューさせたことで知られる人物です。 <物語>第二次大戦終結直後の1945年。列車に乗ったひとりの男(スペンサー・トレーシー)が、カリフォルニアの砂漠の中にある片田舎、ブラック・ロックの駅に降り立つ。彼には左手がなかった。何もないこの小さな町でよそ者の噂はすぐに伝わり、町のボス(ロバート・ライアン)や保安官が疑心暗鬼で男の目的を探り始める・・・ 感想は・・・傑作でした。太平洋戦争中に起きた日系人差別の問題が扱われており、ある意味ではかなりの問題作だと思います。 ジョン・スタージェス監督といえば、『荒野の七人』や『大脱走』など娯楽活劇のイメージが強いですが、本作はちょっと毛色の異なった作品です。派手なアクションや撃ち合いはほとんどなく、登場人物たちは田舎町を歩き回り、会話中心でストーリーが進んでいきます。 そのストーリーも、いわゆるスモールタウンの暗黒面、隠された秘密が徐々に暴かれていくもので、西部劇というよりはモロにフィルム・ノワールといった印象です。 キャストも好演していました。特に主演のトレーシーは、本作でカンヌ映画祭・最優秀演技賞(主演女優賞の該当者はなし)を受賞、同時にオスカーにもノミネートされており、名実ともに代表作の一つとなっています。 他の出演者も錚々たる顔ぶれです。人種差別主義者で、町のボス的存在の男にロバート・ライアン。ライアンの子分に、リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインの『北国の帝王』コンビ。さらに、トレーシーを手助けする老人にウォルター・ブレナン。飲んだくれの保安官にディーン・ジャガー・・・。紅一点のヒロイン、アン・フランシスは本作で初めて見ました。 「熟練した演技と演出の光る緊迫したサスペンスの中に、人種間の寛容さというメッセージをストレートに出している。しかし、意図はともかく印象的なのはスペンサー・トレーシーだ。聖人ぶったところを見せず、これほど見事に本質的な善良さを出せる俳優は、ほかにない」エドワード・バスコンブ 「(スタージェスの)最高傑作は現代版西部劇『日本人の勲章』だろう」川本三郎 「これは、現代活劇でありながら、スタージェスの西部劇よりも面白い」蓮實重彦 間違いなく一見の価値ある作品です。それにしても、日本人差別が題材の名作であるにもかかわらず、日本版DVDが未発売なのは意外でした。 以下ネタバレ この映画、実はそもそも邦題がネタバレなんですよね。トレーシー演じる男は退役軍人で、イタリア戦線で自分の命を救って死んだ日系人の勲章を、田舎町に住む彼の父親に届けるためにやってきたのです。しかしその父親は、真珠湾攻撃の直後にライアンら差別主義者たちに殺されていた・・・。真珠湾攻撃後、日系人たちが強制収容などの差別を受けたのは周知の事実ですが、そうした狭量な人種的偏見を批判し、民主的な価値観を称揚した傑作だと思います。
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