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2009年06月

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ジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレーシー主演の現代西部劇。ホワイトハウスでの上映回数第2位の超名作です(ちなみに第1位は『真昼の決闘』、第3位は『カサブランカ』、第4位は『ローマの休日』)。


製作はドーリ・シャリー。ニコラス・レイ、ジョゼフ・ロージー、ロバート・アルドリッチらを監督デビューさせたことで知られる人物です。



<物語>第二次大戦終結直後の1945年。列車に乗ったひとりの男(スペンサー・トレーシー)が、カリフォルニアの砂漠の中にある片田舎、ブラック・ロックの駅に降り立つ。彼には左手がなかった。何もないこの小さな町でよそ者の噂はすぐに伝わり、町のボス(ロバート・ライアン)や保安官が疑心暗鬼で男の目的を探り始める・・・


感想は・・・傑作でした。太平洋戦争中に起きた日系人差別の問題が扱われており、ある意味ではかなりの問題作だと思います。


ジョン・スタージェス監督といえば、『荒野の七人』や『大脱走』など娯楽活劇のイメージが強いですが、本作はちょっと毛色の異なった作品です。派手なアクションや撃ち合いはほとんどなく、登場人物たちは田舎町を歩き回り、会話中心でストーリーが進んでいきます。


そのストーリーも、いわゆるスモールタウンの暗黒面、隠された秘密が徐々に暴かれていくもので、西部劇というよりはモロにフィルム・ノワールといった印象です。


キャストも好演していました。特に主演のトレーシーは、本作でカンヌ映画祭・最優秀演技賞(主演女優賞の該当者はなし)を受賞、同時にオスカーにもノミネートされており、名実ともに代表作の一つとなっています。


他の出演者も錚々たる顔ぶれです。人種差別主義者で、町のボス的存在の男にロバート・ライアン。ライアンの子分に、リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインの『北国の帝王』コンビ。さらに、トレーシーを手助けする老人にウォルター・ブレナン。飲んだくれの保安官にディーン・ジャガー・・・。紅一点のヒロイン、アン・フランシスは本作で初めて見ました。


「熟練した演技と演出の光る緊迫したサスペンスの中に、人種間の寛容さというメッセージをストレートに出している。しかし、意図はともかく印象的なのはスペンサー・トレーシーだ。聖人ぶったところを見せず、これほど見事に本質的な善良さを出せる俳優は、ほかにない」エドワード・バスコンブ
「(スタージェスの)最高傑作は現代版西部劇『日本人の勲章』だろう」川本三郎
「これは、現代活劇でありながら、スタージェスの西部劇よりも面白い」蓮實重彦



間違いなく一見の価値ある作品です。それにしても、日本人差別が題材の名作であるにもかかわらず、日本版DVDが未発売なのは意外でした。



以下ネタバレ



        



この映画、実はそもそも邦題がネタバレなんですよね。トレーシー演じる男は退役軍人で、イタリア戦線で自分の命を救って死んだ日系人の勲章を、田舎町に住む彼の父親に届けるためにやってきたのです。しかしその父親は、真珠湾攻撃の直後にライアンら差別主義者たちに殺されていた・・・。真珠湾攻撃後、日系人たちが強制収容などの差別を受けたのは周知の事実ですが、そうした狭量な人種的偏見を批判し、民主的な価値観を称揚した傑作だと思います。

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輸入版DVD

今までに記事にしてきた輸入版(アメリカ版)DVDのリストです。輸入版DVDは、いつ日本版が発売されてもおかしくないような名作に限って紹介していきたいと思っています。


・『夜の人々』(1949)

・『裏切りの街角』(1949)

・『日本人の勲章』(1955)

・『胸に輝く星』(1957)

・『ゴーストタウンの決斗』(1958)

・『西部の人』(1958)

・『拳銃の報酬』(1959)


『夜の人々』、『裏切りの街角』、『日本人の勲章』、『胸に輝く星』、『ゴーストタウンの決斗』、『拳銃の報酬』、の6本は僕の個人的な映画オールタイム・ベスト100に入るほどの傑作ですし、『西部の人』も「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されている名作です。

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アンソニー・マン監督、ロバート・ライアン、アルド・レイ主演。アンソニー・マン唯一の戦争映画であり、いわゆる「小隊もの」の代表的名作としても知られている作品です。



<物語>1950年9月6日、朝鮮戦争勃発から2か月が過ぎ、国連軍は北朝鮮人民軍の攻撃に圧倒されていた。ベンソン中尉(ロバート・ライアン)率いる歩兵小隊は、大隊から離脱し、最前線で孤立する。消耗し、車両を失った彼らは、モンタナと名乗る歴戦の軍曹(アルド・レイ)の運転するジープと遭遇し、ジープを調達。だがモンタナは、戦闘のショックで心神喪失状態の「大佐」(ロバート・キース)を連れ帰ることに執着し、任務を優先するベンソンと激しく対立する。結局モンタナと「大佐」は小隊に合流、小隊は、忍び寄る敵兵、砲火、地雷原、見えない狙撃兵らの脅威と闘いながら進んでいく・・・


感想は・・・なかなかの秀作でした。


最前線で孤立した一小隊が、味方の陣地である高地まで撤退する行程を坦々と描いた作品です。低予算で製作され、戦争映画としてはやや地味めな作風でありながら、全編にマン監督一流の演出力が冴え渡っています。


脚本を書いたのは、赤狩りでハリウッドを追放中だったベン・マドウ(『アスファルト・ジャングル』、『大砂塵』、『許されざる者』)。撮影はアーネスト・ハラー(『風と共に去りぬ』、『西部の人』)、音楽はエルマー・バーンスタイン。


封入の冊子によれば、原題の「Men in War」(戦争の中の男たち)が全てを物語っているとのこと。英語では「Men at War」(戦争に臨む男たち)という言い方のほうがより一般的ですが、「at」が自発的参加を示唆するのに対し、「in」は否応なしにそこに巻き込まれていることを暗示するそうです。


キャストではやはりライアンとレイの好演が目立ちました。彼ら2人の心理的対立がこの映画のドラマの中心となっています。


また本作には、戦場での恐怖から神経障害を引き起こし、体も硬直してしまって自由のきかない大佐が登場します。これは「シェルショック(塹壕恐怖)」といって、特に第一次世界大戦中のヨーロッパ戦線において、塹壕の中で長時間を耐えねばならなかった兵士たちの間で発症したことから名づけられたものです。



「『最前線』は私の会心作です。すごく気に入っている。地雷原の行軍と高地の攻撃・・・、アルド・レイとロバート・ライアンの信条的対立・・・」アンソニー・マン
「歩兵映画の名作。・・・次々と兵員を失っていくなかで、この戦争は何のための戦いなのかと自問自答するロバート・ライアンの荒んだ表情や・・・射殺された北朝鮮兵の身につけていた家族の写真、地雷の恐怖、見えない狙撃兵、火炎放射器という戦争機械・・・といった一つひとつの細部に、戦争の無益さ、おぞましさが映り込んでいる」藤崎康

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ニコラス・レイの監督デビュー作にして、いわゆる「ボニー&クライド」ものを代表する古典的名作です。ヌーヴェル・ヴァーグ系の監督たちに大きな影響を与えた映画としてもよく知られています。


もともと本作は、映画会社RKOの新しい製作主任にリベラルで進歩的な映画人、ドーリ・シャリーが就任したことから企画が実現したものでした。しかし1947年9月に映画が完成した後、RKOは(反共愛国主義者でもある)大富豪ハワード・ヒューズによって買収され、シャリーは退社、その余波で本作は長い間オクラ入りにされてしまいます。ようやく公開にこぎつけたのは、既にレイ監督が4作目『孤独な場所で』の撮影にとりかかっていた1949年11月のことです。



<物語>不況の嵐がアメリカ全土に吹き荒れていた1930年代の南部、ミシシッピー。チンピラのボウイ(ファーリー・グレンジャー)は仲間と脱獄し、彼らの用意した隠れ家でキーチ(キャシー・オドネル)という娘と出会う。ボウイは仲間と銀行強盗を働いて大金を手に入れるが、その後キーチと恋に落ち、2人で隠れ家に身を潜めることになる・・・。


感想は・・・やはり傑作でしたね。実はこれで2度目の鑑賞(ほぼ10年ぶり)になるのですが、全く色褪せていませんでした。まさにニコラス・レイの才気が充溢した作品だと思います。


同系統の作品としては、当ブログでも既に紹介した『拳銃魔』や、本作のリメイクでもある『俺たちに明日はない』などが特に有名ですが、テイストはそれぞれかなり異なっています。


『拳銃魔』も傑作でしたが、こちらはヒロインが主人公を悪の道に引き込む典型的なファム・ファタールである上に、拳銃に対するフェティシズムが強調され、臨場感を重視した強盗シーンが繰り返し描かれたりなど、どちらかといえばクールな印象の作品でした。それに対して、本作『夜の人々』は極めて繊細かつロマンティックなメロドラマ。悪いのはヒロインやヒーローではなく、むしろ彼らを誤解し翻弄する周囲や社会の方なのです。このあたりは一長一短で、人によって好みの分かれるポイントかもしれません。


出演陣もとても良かったです。特に主役カップルを演じたファーリー・グレンジャー(『夏の嵐』、『見知らぬ乗客』など)とキャシー・オドネル(『ララミーから来た男』など)の好演は特筆すべきもので、ほぼ間違いなく彼らのベスト・アクトだと思います。グレンジャーの強盗仲間に扮したハワード・ダ・シルヴァやジェイ・C・フリッペンをはじめ、脇を固める面々の演技にもケチのつけようがありません。


「フィルム・ノワールの作品群にあって、おそらくこの作品ほどロマンティックな魅力と人間的ぬくもりに満ちた感動的な映画もまずないだろう」(桑野仁)
「映画史上、最も美しいエモーショナルなシーンに満ちたレイの傑作」(水原文人)
「これが処女作とは信じられないニック・レイの天才ぶりが遺憾なく発揮され、高貴な愛の悲劇に仕上がった」(中条省平)
「レイの青春映画なら、有名な『理由なき反抗』よりもこの監督デビュー作のほうが数段すばらしいフィルムだ」(鈴木布美子)



残念ながら日本版DVDは未発売ですが、名作中の名作なので時間の問題かと。
わりと反響の大きかった『死ぬまでに観たい映画1001本』という本に掲載されている映画の中から、当ブログに記事のあるものをリストアップしてみました。


 1、『犯罪王リコ』(1930)マーヴィン・ルロイ

 2、『或る夜の出来事』(1934)フランク・キャプラ

 3、『とらんぷ譚』(1936)サシャ・ギトリ

 4、『ヨーク軍曹』(1941)ハワード・ホークス

 5、『牛泥棒』(1943)ウィリアム・A・ウェルマン

 6、『ローラ殺人事件』(1944)オットー・プレミンジャー

 7、『殺人者』(1946)ロバート・シオドマク

 8、『ストレンジャー(ナチス追跡)』(1946)オーソン・ウェルズ

 9、『過去を逃れて』(1947)ジャック・ターナー

10、『拳銃魔』(1950)ジョゼフ・H・ルイス

11、『ウィンチェスター銃’73』(1950)アンソニー・マン

12、『地球の静止する日』(1951)ロバート・ワイズ

13、『真昼の決闘』(1952)フレッド・ジンネマン

14、『裸の拍車』(1953)アンソニー・マン

15、『拾った女』(1953)サミュエル・フラー

16、『復讐は俺に任せろ』(1953)フリッツ・ラング

17、『雨月物語』(1953)溝口健ニ

18、『日本人の勲章』(1955)ジョン・スタージェス

19、『ララミーから来た男』(1955)アンソニー・マン

20、『成功の甘き香り』(1957)アレクサンダー・マッケンドリック

21、『西部の人』(1958)アンソニー・マン

22、『肉屋(LE BOUCHER)』(1969)クロード・シャブロル


今のところ全部で22本ですね。もちろん大半が優れた作品だとは思いますが、個人的には、アンソニー・マン監督ならば『胸に輝く星』や『遠い国』の方が、ロバート・ワイズ監督ならば『』や『拳銃の報酬』の方がさらに好みです。

』も選外でしたが、2005年8月4日に北ドイツ放送「NDR」(公営テレビ)が発表した「ドイツ映画ベスト100」では、『カリガリ博士』、『メトロポリス』、『M』、『嘆きの天使』、『フィツカラルド』、『マリア・ブラウンの結婚』などの名作を軒並み抑えて8位にランクイン。本国での評価は相変わらず高いようです。

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