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ロバート・シオドマク監督、バート・ランカスター主演。同じ監督・主演コンビによる『殺人者』と並び称される、フィルム・ノワールの古典的作品です。 <物語>スティーブ・トンプソン(バート・ランカスター)は久しぶりに故郷のロサンゼルスへと帰ってくる。彼は元妻のアナ(イヴォンヌ・デ・カーロ)と再会するが、彼女はギャングであるスリム・ダンディー(ダン・デュリエ)の情婦となっていた。地元の現金輸送会社に護衛係として復職したスティーブは、家族や親友のラミレス刑事(スティーヴン・マクナリー)ら周囲の忠告を無視してアナと会いつづけるが、とうとうスリムに密会の現場を見つかってしまう。彼はとっさにその場をごまかそうと、自らが護衛を勤める現金輸送車を襲う計画をスリムに提案する・・・ 感想は・・・傑作だと思います。のちにスティーヴン・ソダーバーグ監督がリメイクしたり、『ゴダールの映画史』に引用されたりもした名作だけあって、かなり上出来なノワール作品でした。 「バート・ランカスター扮する男が、ファム・ファタールとの出会いををきっかけに破滅への道を辿る」という点は『殺人者』と全く同じですが、事件を調査する保険調査員という狂言回しが立てられていた前作とは異なり、この映画では基本的に(回想シーンも含めて)ランカスター自身の視点からストーリーが語られていきます。 駐車場で、ナイトクラブで、道端で、ドラッグストアで、部屋で、そしてラストのコテージでと、この種の映画にしては主人公とヒロインが語り合うシーンが多いのも特徴です。それにしてもランカスター、初期作品でも既にかなりの好演をみせています。 ヒロインを演じたイヴォンヌ・デ・カーロはカナダ出身の女優で、元舞台のダンサーだった人です。美しさの点では『殺人者』のエヴァ・ガードナーにやや及ばないものの、個人的には十分に健闘していると思いました。 ヤマ場となる強盗計画の場面では、ダン・デュリエ(『ウィンチェスター銃’73』、『夜の道』)演じるボスを始め、細かい犯行計画を建てる知恵者の老人や、爆薬を扱う元薬剤師の男、逃走車を用意する役目の男など、個々のギャングたちのキャラクターが巧みに描き分けられています。このあたりの描写は、翌年の『アスファルト・ジャングル』などにも影響を与えているのではないでしょうか。 バーテン役のパーシー・ヘルトン(『罠』)や主人公の家族など、脇役の面々もなかなかいい味を出していました。 もちろん、ドイツ表現主義の流れを汲むシオドマク監督によるムードある演出や、名手フランツ・プラナー(『ローマの休日』、『大いなる西部』)による端正な撮影も本作の大きな見所でしょう。 あとこの映画、実はトニー・カーティスのスクリーン・デビュー作でもあるんですよね。イヴォンヌ・デ・カーロのダンス相手としてちょっとだけ登場します。
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