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ジョン・ヒューストン監督、オーディ・マーフィ主演の戦争映画。アメリカ南北戦争の戦場を舞台にした、スティーヴン・クレインの同名小説を映画化した作品です。



<物語>1862年、南北戦争。北軍の新兵ヘンリー(オーディ・マーフィ)は戦友たちの前では強がっているが、実際は初めての戦場に怯えきっていた。やがて本物の戦場に直面した彼は、ついたまりかねて逃げ出してしまう。しかし北軍の疾病兵達の行列に遭遇し、ヘンリーは自分の臆病さを恥じて連隊に戻る決意をする。「勇者の赤いバッジ」=「名誉の負傷」を得るために・・・


感想は・・・秀作でした。


ヒューストンが本作を監督した裏には、アメリカ映画は「本当の戦場」を描いていないという苛立ちがあったそうですが、確かに一兵士の目線から見た戦場が極めて克明に描写されていたと思います。原作からとったセリフを生かした一人称の独白も印象的です。


この映画が特異なのは、やはり何と言っても実際の第二次大戦の英雄、24個もの勲章を与えられてアメリカ全国に知られたオーディ・マーフィ(『夜の道』)に、南北戦争で敵前逃亡する男という臆病な役柄を演じさせたことでしょう。


その他、原作のスティーヴン・クレインが南北戦争の体験者であることはもちろん、監督のジョン・ヒューストンも第二次大戦中にドキュメンタリー撮影のため戦地を経験していますし、マーフィ以外の出演者もかなりの割合が元従軍兵士です。


いわゆる声高な「反戦映画」ではありませんが、人と人とが殺しあう戦争の空しさを静かに訴えてくる作品でした。また、同胞同士が殺し合い、両大戦を合わせたよりも遥かに多くの戦死者を出した(北軍約36万人、南軍約25万8000人の合計約61万8000人。それに対し、第一次大戦での米軍の戦死者は11万5000人、第二次大戦では約31万8000人)南北戦争の傷が、アメリカにとっていかに深いものだったかということにも改めて思い至らされます。



「一人前の兵隊になりたいという願望と戦場から逃げ出したいという誘惑、戦争への懐疑と敵への憎悪など、兵士の内面をよぎる矛盾した心情を描き出す。これはもう、『黄金』とならぶヒューストンの傑作と呼ぶべきだろう」藤原帰一
「ヒューストンが映画作家だった事実を想起させる唯一の作品がこれだ。実際、ひとは、もの言わぬオーディ・マーフィの表情のクローズアップに涙している自分を訝らずにはいられない」蓮實重彦
「“小品性”(上映時間69分)ゆえに、この映画はヒューストンの最高傑作とさえ呼べる出来ばえを示している」藤崎康



        

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