伊勢 おいないな 日記 〜サラリーマンの写真集〜

神風の 伊勢の浜荻折り伏せて 旅寝やすらむ 荒き浜辺に 「万葉集より」

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 徒然に温泉の記事を2回書いたら、ふと・・・ある温泉が脳裏に浮び、代休の 1/26(火) 朝からそそくさとカメラとチビてっつんと共に調査に出かけた(^^!。
 チビてっつんは、温泉好きなので嬉しがっていた・・が・・・この温泉が彼の想像を超えた(下回る?)温泉であることはこの時点で知るはずはない・・・(^^;!。

 出かけた先は、三重県津市白山町南家城(JR東海名松線 家城駅から徒歩10分)雲出川の右岸、家城神社(旧名:諏訪神社)の裏手にある岩石の中から湧き出る霊泉「こぶ湯(諏訪の湯)」である。
この湯を汲み取り諏訪神社で祈念して塗れば瘤(こぶ)が落ちると言われ、病に効くと知れ渡り、飲料や入浴用に地元の方のみならず、遠方からこの霊泉を汲みに訪れる人が絶えることない名泉である。

 伊勢から高速道路(伊勢道)に乗り、嬉野インターチェンジで降り、そこから30分ほど走ると目的地に到着する。 自動車以外の交通機関としては、JR名松線(めいしょうせん)があるが、昨年の台風被害で一部廃線となっているが、目的の家城駅(いえきえき)までは開通している。乗客も少なくディーゼルの1車両であるが、なにぶん本数や周囲で時間をつぶすことを考えると自動車が便利である。

 家城神社に到着したら、まずは参拝である。
 家城神社は、元諏訪神社で地元神々が合祀され名が地区名に変更された地元氏神様である。 一般参拝する場所が室内であるところが珍しい。 拝殿の中に地元議員さんのポスターが貼ってあり、現在津市では、市議員選挙期間でこの近辺でも選挙カーが拡声しながら「よろしくお願いします。」と走っており地元信仰心厚く祀られる神であるのがよくわかる。

 参拝を済ませた後は、こぶ湯に向かう参道を少々歩く。「こぶ湯」は、家城神社境内にある。
 家城は、都から伊勢へ仕える斎王が通ったのであろう旧街道沿いの村で、「万葉集」では「波多横山」と言う地名で登場するが 『波多横山』 の正確な地はあくまでこのあたりのことであろうと言う説の域である。

「波多横山」であるが、万葉集でこう読まれている。

 『 河上乃 湯津盤村二 草武左受 常丹毛冀名 常處女煮手 』
 〜 十市皇女参赴於伊勢神宮時見波多横山巌吹除]刀自作歌 〜

 現代語では
「河上の 湯都磐むらに 草むさず 常にもがもな とこおとめにて」
(かはのへの ゆついはむらに くさむさず つねにもがもな とこをとめにて)

 〜 川のほとりの 神々しい岩の群に 草が生えず清らかなように 何時までも変わることなくあって頂きたいものです 永遠の若い乙女のままで 〜
 と、十市皇女(とおちのひめみこ)を励ますために付き添いの官女が詠んだ歌である。

 十市皇女は、古代日本を二分した争い「壬申の乱」の渦中に巻き込まれた皇女で、父は天武天皇(大海人皇子)、母は額田王で、大友皇子の妃(妻)にあたる。
 壬申の乱は、十市皇女にとって父方と夫方の争いで父である天武天皇の勝利で終わる。夫が亡なくった後、十市皇女は伊勢へ参詣する(675年)。
 伊勢参詣の理由は定かではないが、日本書紀には、大来皇女(おおくのひめみこ)が伊勢斎宮(斎王)となり伊勢へ群行した時期であり、従者として行かれたとも戦勝報告や戦利品の奉納等、参詣理由は多く推測されるが、真実は定かではない。

 万葉集に残るこの歌は、悲しみに浸る皇女に、いつまでも若く美しい永遠の乙女でいてほしいという女官の気持ちを詠んだものだと伝えられる。
「波多横山」は、三重県津市のこの周辺と考えられ八太、井関、大仰、波瀬、熊本県や10を上る候補地があるが、どこも確証はなく謎(神話)とされている。

 伊勢と都(奈良)を結び斎王群行が通った旧街道が、この地であると推測するもう一つの理由として日本書紀にある雄略天皇3年(459年:古墳時代以前)の出来事も興味深い。この点は、以前に書いた記事を参照してもらいたい。

『 皇女森(皇女の森:こうにょのもり;こうじょのもり)  宇治乃奴鬼神社跡 』
    http://blogs.yahoo.co.jp/t20_in_ise/trackback/1715954/50653310

 雄略天皇の第二皇女、稚足姫皇女【かたらしひめのひめみこ:栲幡姫皇女 たくはたひめのひめみこ とも書かれる】が神宮の斎王として仕えていた雄略天皇3年4月、阿閇臣国見(あへのおみ)に湯人(※ゆえ:斎王の禊ぎ係)の廬城部連武彦(いほきべのむらじたけひこ)と密通して妊娠したと讒言(ざんげん:目上の人に事実をまげて伝えること)された。
 雄略天皇は、使者を伊勢に遣わして皇女を訊問したが、皇女は密通の事実を否定し帝の逆鱗に触れることを恐れ、神鏡を持ち出し五十鈴川のほとりに鏡を埋め、自ら命を絶った。
 天皇の使者は、五十鈴川のほとりで蛇のように虹の立つところがあり、その場所(下中村)の近くで皇女の亡骸を見つけ、虹の下を掘ると神鏡があった。
 皇女の亡骸を調べると腹の中には水のようなものがあり、その中に氷(白石)があったので密通の濡れ衣が晴れたと言われる。讒言した阿閇臣国見は、廬城部連武彦の父(廬城部連枳筥喩:いほきべのむらじきこゆ)に討たれている。

※湯人:皇子や皇女などの養育を担当し、もく浴させる婦人たちを束ねる頭といわれる。

 ここまで読んでいただけると(^^!気づかれると思うが訪れた霊泉の名前は「こぶ湯」!! 神に仕える斎王の湯人の名は「いほきべのむらじきこゆ」!!!。
 廬城(いほき)は、今の家城、こぶ湯とは、筥喩(こゆ)の名前から来ていると容易に推測されるであろう。
 前述の万葉集 歌にでてくる「湯都磐むらに」という言葉の湯にも興味がわくところである(^^!。

 難所を通る神の道、伊勢本街道は、その過酷さと都の返還という、時代の流れとともに開けた道を主街道としていった。大きな川で伊勢湾に注ぐ雲出川のあるこの地は古くから利用されていたと考えられ、ましてや100人もの隊列(群行)を組み伊勢に向かう斎王の列を癒すに充分な広さ、豊かさがあったのであろう。
 近世には初瀬(はせ)街道として整備され同じ地域である白山町川口には、聖武天皇(740年)が伊勢国に行幸された際、河口頓宮(かわぐちとんぐう)に10日間滞在された記録があり、河口頓宮は、別名 関の宮 と称されこの地に関所が置かれたのを物語っている。それだけこの周辺は、重要な街道拠点だったのであろう。 (JR名松線に関の宮という駅名有り)

 都を出た斎王が、不思議と沸く霊泉の元、禊を行っても不思議はないが、あくまでも神話の世界。想像と推測である。(^^;それが歴史の面白い所である。(^^!!

 訪れた「こぶ湯」であるが、岩の間から自然にチョロチョロと湧き出る水温16℃のアルカリを多く含むメタホウ酸イオン水との説明書きがあり、御老輩の方々が、お湯を汲む順番を待たれ、慣れた地元の方は、空の入れ物だけ置いて順番を待たれている。。

 湯は2ヶ所から湧き出ており飲料用として使われるのは、川原から高い場所の岩の間で、川原に湯が溜まった場所にも湧き出ているが、これは川の水が混ざっているため飲用には適さないようだ(写真6枚目うっすら湯の花が見える)。
また、湯が溜まるように掘られた人一人分の場所は、石器時代に石で削られたと言われている。

 冬のこの時期、湯温16℃でも暖かく感じる(外気は5℃)。湧き出る湯は、温泉特有の硫黄の臭いがする。
 チビてっつんは 「玉子の臭いがする(^^)」と手をつけては「くさい・・;」と正直な意見を言い。「この湯に入るの??恥ずかしいやん。。」と率直な意見を述べていた(笑。
 私は「この湯に入ったら凍えるし神様のもんやで入ったらいかんわなぁ。不思議やろ^^。」とほのぼのとした、時間を過ごせた。

 汲み上げもせず、古来のまま湧き出、薄めることのない源泉「こぶ湯」。
 さすがにいつまでたっても硫黄の臭いが手に残り、水を汲む老人が「あんたらも汲んできない。」と言ってくれましたが、汲める順番はいつになることやら(笑。 「写真撮らせてくださいね。」と数枚撮影し「こぶ湯」を後にしました。
 で、チビは当然この手の温泉には満足できず「あたたかな温泉につれてけ!!」ということで伊勢本街道沿いにある姫石の湯(奈良県)へ・・・・行ったのですが休館日でした 苦笑(−−; と言うことで昼飯をかっぱ寿司(105円回転寿司 鉄道のおもちゃが寿司を運ぶ)にすることでニコニコ顔を取り戻したのでした。。(苦笑

 伊勢に仕える斎王とゆかりある地「こぶ湯」。伊勢へ向かう旧街道には沢山の歴史と物語が残っている。

 そして現在、毎年訪れる三重県多気郡明和町斎宮で行われる斎王祭りでは出演者が募集されている。
           http://saioh.sub.jp/izen/28/boshu/saioh.pdf

 めったに着られない衣装だろうし、沢山のカメラマンにレンズを向けられるからいい経験できるかも(^^!。 応募採用されたら連絡くださいね。専属カメラマンしますので(笑。



              歴史と物語が残る 伊勢の地へおいないな ☆ミ


「伊勢への街道 (別街道 脇道)」書庫の記事一覧

閉じる コメント(21)

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斎王群行。。。ロマンがありますねぇ

選ばれし皇女は若くして伊勢へ赴くにあたりどの様な心境であったことでしょう。。。。
http://blogs.yahoo.co.jp/tyuuyounomiti

2010/1/29(金) 午前 5:24 tetsukujira

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タイトルから昆布茶を連想していましたが、おっとどっこい歴史の話だったんですね。
身近な処で、歴史を深く知るのは楽しいと思います。
お子さんのご機嫌も直って良かったですね〜 じゃないと、次から一緒に出かけてくれないかも知れませんから。

2010/1/29(金) 午前 7:14 tor*0*1017

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すみません。前記事編集したんで(^^;; うちは基本自然児教育してますから大丈夫(^^。水槽の魚も獲ってきたのが泳いでます。とらさん

2010/1/29(金) 午前 7:20 tetsukujira

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神がかってますから まぁ 想像以上でしょう。 みちさん

2010/1/29(金) 午前 7:29 tetsukujira

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いろんないわれがあるこぶ湯、何か興味が沸きますね〜
私は子どものころは温泉は全部硫黄の臭いがするものと思っていました(笑)
北海道は硫黄泉が多かったから・・・ポチ☆

2010/1/29(金) 午前 9:37 レイ

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チビてっつんくんの「はずかしいやん」に笑っちゃいました。
中々小さいのに「二代目てっつん」は大人っぽい反面やっぱり可愛い面もあり楽しいな。チビてっつんくん、一度おばちゃん(うーーん、おばあちゃんかも?)とデートしようか。ポチ

2010/1/29(金) 午後 4:12 こけうめ

家城神社とはまた山の中まで、ご苦労様でした。あそこはやはり車でしょ。名松線で行く勇気は私にはありません(笑)。こぶ湯の存在は知りませんでした。今度白山美杉方面に出かけたら寄ってみようと思います。ちびてっつん君の頑張りにポチ。

2010/1/30(土) 午前 2:27 [ 高橋 遊 ]

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池春さんのブログから訪問しました。
足跡だけ残して行きます。

2010/1/30(土) 午前 9:19 [ 出水の秀ちゃん ]

硫黄が香る温泉、入りた〜い。でも、ここは無理ですね。
ちびてっつん君の感想がかわいい♪

2010/1/30(土) 午前 9:28 織部宮

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なかなかの山中ですね。伝説の地にふさわしいです。またたくさんのお話楽しみにしています。今日もいい天気、きっと御伊勢さんもたくさんの人で賑わっているでしょうね。

2010/1/30(土) 午前 9:33 [ smidori1178 ]

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とても読みごたえのある、素晴らしい記事ですね♪で、今って、
白山町が津市なんだ〜?!と、おかしなことに感心してみたり^^;

6枚目(下から2枚目)の写真がとても不思議な雰囲気だと思いました。

2010/1/31(日) 午前 0:43 [ - ]

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伊勢志摩地方は 温泉数年前までかいむだったんですけど 海が近いんでえんせんが多いです(^^ れいさん

2010/1/31(日) 午前 6:55 tetsukujira

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和みますね。(^^ 良い空気持ってます。こけさん

2010/1/31(日) 午前 6:56 tetsukujira

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名松線どうなるんでしょうね。。。 たかはしさん

2010/1/31(日) 午前 6:57 tetsukujira

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了解! 秀さん

2010/1/31(日) 午前 6:59 tetsukujira

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この硫黄臭は とても自然を感じさせてくれます。おりべさん

2010/1/31(日) 午前 7:00 tetsukujira

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出歩きましょう。気分転換も必要ですよ(^^ みどりさん

2010/1/31(日) 午前 7:03 tetsukujira

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時間かかってます(笑 よしさん

2010/1/31(日) 午前 7:04 tetsukujira

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こんにちは、こちらはあいも変わらずお出かけがないので、ブログはアップしてません。 温泉好きですね〜わかります。そんなところにこぶ湯とやらがあるのですか。しりませんでした。高麗広の湧き水のように、気の遠くなるようなチョロチョロ出ですね。(笑)
姫石の湯は時々行きます。のんびりできますよ〜今回は残念でした。
我が家のおチビさんも温泉大好きです。こちらも2月ごろ温泉行きます。

2010/1/31(日) 午後 4:11 saa*o20

うちは、一泊というのがあまりできないので クラブやら習い事 不景気で (泣) ちょっと日帰りが多いです。 姫石の湯の館長さん 好い人ですよ 。 さーこさん

2010/1/31(日) 午後 6:56 tetsukujira


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