伊勢 おいないな 日記

神風の 伊勢の浜荻折り伏せて 旅寝やすらむ 荒き浜辺に 「万葉集より」

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『 ある時、天照(あまてらす)が忌服屋(いみはたや)に入って、機織り女たちに神御衣(かんみそ)を織らせていた時、弟の素戔嗚(すさのお)は、服屋(はたや)の頂(むね)に穴を空け、逆剥(さかは)ぎに剥いだ、天の斑馬(ふちうま)の皮を穴から落し入れた。
 それで、布を織っていた天の機織り女のひとりが、落ちてきた馬の皮を頭からかぶってしまい、あまりの驚きとおそれで機(はた)から転げ落ちてしまい、手から放り出した梭(ひ:機織り道具)で、おのれの秀処を突き刺して死んでしまった。
 それを目のあたりにした天照は、言の葉で言い直すことはできないと思ってか、おびえながら天の岩屋の戸を開いて中に入ると、しかと戸を閉ざして籠ってしまい、あたりは闇に包まれていった。』  〜記紀より (神話)〜
 
 今から二千年以上前、神話の世界から続く伊勢神宮。
 その偉大さと受け継がれし、重要なものは、神話から学ぶことができる。 
 衣服についての重要な話は、天照大御神と素戔嗚尊(スサナオノミコト)の文面からも読み取れる。 
 
 
 今回は、五月一日に執り行われた 「内宮所管社の神麻続機殿神社 (かんおみはたどのじんじゃ)」での 神御衣奉織始祭である。
 
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 神様の衣は、「神御衣(かんみそ)」と呼ばれる。
 伊勢神宮では、 神の衣替えにあわせた年二回、 5月と10月の春と秋2回、絹(和妙:にぎたえ)と麻(荒妙:あらたえ)を御料とともに、天照大御神にたてまつる神御衣祭(かんみそさい) が行われる。
 神御衣祭は、伊勢神宮に125社存在する社の中で、皇大神宮 (内宮)と皇大神宮の別宮である 荒祭宮 だけで行われる意義深い祭である。
 
 伊勢神宮の神御衣については、古くからの伝承が残り 〜倭姫命世記(やまとひめのみことせいき)〜には、
『 二千年以上の昔、皇大神宮(内宮)が伊勢の五十鈴の川上に鎮座すると、まずその大宮の辺りに八尋の機屋を建て、天棚機姫神(まめのたなばたひめかみ)の孫、八千々姫命(やちぢひめのみこと)に高天原でなされたように天照大御神の御衣(おんぞ)を織らせた。 「宇治の機殿」がそれである。
※ また、一説には 内宮が鎮座する前の伊雑宮のおられたとき、神服織社(はんはとりしゃ)を建てて大御神の衣を織られたとも記される。   』 
 と残っている。 また千三百年以上前にできた「大宝令」には、神嘗祭とともに神宮独自の祭で国家の常祀と規定されている。
 
 伊勢神宮では、この伝承が今も守られ、生き続け、天武天皇の御代に、紡績業が盛んであった松阪地区(櫛田川沿い:現、松阪市大垣内町、井口中町)へ神御衣の奉職地が移され受け継がれている。
 
 神宮で奉職される種類は、和妙(にぎたえ:絹)と荒妙(あらたえ:麻)の2種類があり、神社も2ヶ所に分かれ、
 「内宮所管社の神服織機殿神社 (かんはとりはたどのじんじゃ)」では、和妙(絹)が奉織され、
 「内宮所管社の神麻続機殿神社 (かんおみはたどのじんじゃ)」では、荒妙(麻)が奉織されている。
 ともに、内宮所管社という位置で、奉織する機殿(八尋殿:やひろどの)の守護神をお祀りし、境内には、別に末社八社がある。
 
 
 5月1日(秋季は10月1日)の朝(AM8:00和妙、AM9:00荒麻)、上記両神社において、織り始めを告げる神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)が行われ、内宮で行われる神御衣祭(かんみそさい)にお供えする和妙(にぎたえ・絹)と荒妙(あらたえ・麻)の反物が、6日間ほどで織り上げられる。
 5月13日(秋季は10月13日)の朝(AM8:00和妙、AM9:00荒麻)には、上記両神社において、無事に神御衣が織り上がったことを感謝する神御衣奉織鎮謝祭が行われ、反物は内宮へと護送されるのである。
 そして5月14日(秋季は10月14日)正午、伊勢神宮内宮(皇大神宮)と皇大神宮別宮 荒祭宮 にて神御衣祭が行われる奉職されたものが捧げられる。
 
 神服織機殿神社、神麻続機殿神社とも衣服に関係する神を祀ることから、アパレル関係者の参拝が多いそうだ。
 
 さて、神麻続機殿神社での神御衣奉織始祭は、なんとか時間内に到着でき、見せていただくことができた。
 地元の方は、ここを親しみを込めて「麻続(おみ)さん」「上舘(かみだち)」「上機殿(かみはたでん)さん」とも呼ぶ。
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 清めを行った、神職、織子(男性4名)が神前で御饌をささげ、祝詞を奏し 「清く美わしく奉織できますように」と祈念される。
 鳥居の正面に立つのが、八尋殿(織子が作業する機殿)で、向かって左側の小さいほうが神社である。
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 神に祈りが捧げられたあと、八尋殿へと神職たちはうつり、祈りとともに殿内に原料が運び込まれる。
 
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 昔は、松阪木綿 豪商三井家をうみ出した松阪地区にあるこの地。 原料の麻(木綿)は、近辺の御麻生園(みおふその)の生産品であったが、現在では、奈良県添上郡月ヶ瀬村の麻を用いている。
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  神服織機殿神社と違い八尋殿入り口と鳥居は、延長線上にある。 違いは謎。
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 これから数日、神様への神御衣が、カタン、コトンと音を立て、神聖な場所で清めを受けた方々の手で生地が織られていく。 
 古来から続く、感謝と祈り、そして文化。
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 あたりまえの事であった、古の文化が、目の前で見られることへ、私たちは感謝をしないといけないのであろう。
 
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 変わらぬ時と季節の流れ、受け継いでいく文化と心、伊勢という地に残る心と形、そして いにしえ から続く感謝の形。  雑踏もなく、変わらぬ時を感じる祭祀であった。
 
 
 
伊勢においないな☆ミ

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閉じる コメント(10)

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凄い写真ばかりありますね。
いつもながら厳粛な気持ちになりました!
ありがとうございます!

2011/5/4(水) 午後 1:20 [ Mituoka ] 返信する

松阪の往復で「神服織機殿神社」の看板だけは見るのですが、時期はまったく頭に入っていませんでした。

2011/5/4(水) 午後 6:32 ロト 返信する

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おはよう〜(^^♪
一人だけ背広姿の男性はアパレル会社の人なんでしょうね(*^_^*)☆彡ポチ☆彡

2011/5/5(木) 午前 9:39 レイ 返信する

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志村ふくみさんの本で「あらたえ、にぎたえ」を知って以来興味津々です。継承されるという不思議さがあることが、また不思議です。
ポチ☆!!

2011/5/5(木) 午前 9:50 あすか & もも 返信する

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実際に、此処で神御衣が織られているんですか?
深いですねぇ、全てがそのまま、本物のままなんですね。

2011/5/5(木) 午後 8:52 [ aisa ] 返信する

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ちょっと記事にも力入れました。(^^ かんたろうさん

2011/5/6(金) 午前 6:33 てっつん 返信する

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これからの時期、場所的に、蚊が多い場所です。 虫よけスプレー必需になりますよ。 ろとさん

2011/5/6(金) 午前 6:34 てっつん 返信する

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おそらく 原料を育てられた方でしょう。 れいさん

2011/5/6(金) 午前 6:35 てっつん 返信する

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機織りは、日本の昔話によく出てくるほど 身近な物 だったんですよね。。 あすかさん

2011/5/6(金) 午前 6:36 てっつん 返信する

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ぜひ見に行ってください。近いかな? あいささん

2011/5/6(金) 午前 6:37 てっつん 返信する

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