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SE250N+α 奮闘記
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鑑定

今日は珍しく…というか初めてお仕事のお話を。
私は今の場所に歯科医院を開業して13年になります。
場所は歓楽街のはずれ。
昔はとても華やかな街で近くに住んでいる方は皆ここに遊びに来たような所でした。
私が子供の時は街角のそこかしこで芸者さんが弾く三味線の音が聞こえる情緒あふれる所でした。
私の祖母は昔ここで料亭を営んでおり、その跡地に歯科医院を建てたのです。
今や昔、沢山あった料亭はみな無くなり華やかな芸者さんたちもいなくなりました。
歓楽街は今もありますが往時の風情はまったくありません。
風俗店のみ立ち並んでいます。
そんな場所なので事件が多いです。
私がここに住むようになってから発砲事件が2回、毎年のように変死体が川に上がり窃盗事件も多発します。
道向かいはヤ○ザさんの事務所で庭で天体写真を撮っていると張り込み中の刑事さんと目が合ったりします。
うちも今まで夜中にガラスを割られたり壁に穴をあけられるなどの被害を受けています。
子供を育てるには何とも凄い環境の場所ですね。
 
そんな場所柄でしょうか、今日は普通の歯医者さんはあまり経験しないだろうな…という事がありました。
忙しく診療していると突然、警察署からの電話。
「お宅の患者さんに○○さんと言う方はおられますか?」
「ええ、うちの患者さんです。」
「遺体で発見されましたのでご本人かどうか鑑定していただきたいのですが。」
驚きました。つい4年ほど前まで通われていた方です。奥様は一月ほど前に診ています。
いつも作務衣(さむえ)を着ていて目つきが鋭い方でした。
遺体で発見され、鑑定が必要な状態とはどういう事なのでしょう。
とにかくカルテやレントゲン写真を用意して警察署の方を待つ事にしました。
 
警察署の方は鑑識官らしい制服を着た方でした。
沢山の写真を抱えられています。
見せられた写真は…それはむごたらしい物。
腐敗が酷く顔はまったく分かりません。骨の上にかろうじて肉片がついている状態。
最初は真っ黒なので焼かれてしまったのかと思うほどでした。
かろうじて下あごに見覚えのある長いひげが残っており、
「ああ、○○さんと同じ髭だ。」と分かるぐらい。
早速歯の写真とうちのカルテ、レントゲン写真の比較をしました。
すべて一致しておりご本人に間違いないようです。
「これは確かに○○さんに間違いないようですね。」
そう言うと警察署の方は、
「やはりそうですか、それでは後で鑑定書にサインをしてください。」
「鑑定料も出ますので銀行口座もお教えください。」
びっくりです。こんな事でお金がもらえるんですね。
 
結局最後までどういう状況で亡くなられたのかは教えてもらえずじまいでした。
あの遺体の状態からして半年以上放置されていないと自然にあそこまで腐敗しないと思います。
奥様がいらっしゃるのにそんな事があるのか?
何か事件に巻き込まれ、殺されて埋められたのたのでしょうか?
ここの土地柄からそんな事も考えてしまいます。
そういえば…と、助手が
「○○さんが住んでいた隣にあるマンションに救急車とパトカーが止まっていましたよ。」
隣のマンションでの変死事件でしたか。
なんともはやです。
 
 

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