千門町【風流 寿曽我「工藤館対面の場」】(歌舞伎)
工藤左衛門祐経に殺された河津三郎祐泰の子、十郎・五郎の兄弟は、母の再婚先の曽我姓になり、艱難辛苦十八年を経て、十郎祐成・五郎時致と言う若武者に成長した。一方、源頼朝の重臣となった祐経は、栄ある巻狩奉行総奉行を仰せ付けられ、多くの武将が工藤館に詰めかけて祝宴が催された。兄弟は、この機会に乗じ、朝日奈らの執り成しにより、父の仇祐経との対面を果たすことができた。祐経は、この兄弟を河津三郎の遺児と悟り、殺害の顛末を語り聞かせ、「対面のその印」とばかり、巻狩場の通行手形を与える。兄弟は、潔く討たれる覚悟の祐経の本心に感じ入り、巻狩での再会を約して別れる。
清水川町【風流 鬼若丸乃鯉退治】(物語)
姫路より北西約二里の地点に書写山円教寺という西国二十七番目の寺があった。この寺の稚児鬼若丸(後の武蔵坊弁慶)は学問手習いなどなにもせず兵法の稽古に勤しんでいた。ある時、寺の小坊主達が大声で騒ぎ立てているので、鬼若丸が見に行くと、目の下八尺余りもある大鯉が暴れていた。それを見た鬼若丸は「何だ此れしきのもの俺ひとりで捕まえてみせる」と叫ぶと、大鯉の背にひらりと飛び乗り、短刀を振りかざし一突きでとらえた。後に鬼若丸は書写山を追われ比叡山に篭り、修行の後、源義経に従い、一生義経に尽くすという弁慶の幼少のころの一場面である。
若葉町【風流 信濃路紅葉鬼揃】(歌舞伎)
平維盛は信州戸隠山での鹿狩りの道中、紅葉狩りの祝宴をしている女性達に出会います。維盛は女性の誘いを受け、盃を重ねて女性達の舞に見とれているうちに寝入ってしまいました。そして、いつの間にか女性達も山中に姿を消してしまいました。すると夢の中に山神が現れ、女性達の正体は戸隠山の鬼女であることを告げ、維盛に神剣を授けます。維盛が目を覚ますと、先程の祝宴の席は跡形も無く、やがて雷鳴が轟き嵐が吹きすさぶ中、女性達は鬼女と姿を変えて維盛に襲いかかります。維盛は神剣を抜いて応戦し、激しい格闘の末、ついに鬼女達を討ち取るという新歌舞伎十八番の名場面です。
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