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〜「ところで、君はどう思っているんだね?」
東条英機は、にっこり笑って彼に問いかけた。〜
彼は、しばらく敬礼の姿勢のまま、硬直していたが、
すぐに機敏な動きで、今度は床に手を着いた。
「私は、関東軍の軍人であります。
いつ果てるともわからぬ、この命。
むしろ天皇陛下の為、お国の為に、喜んで命を差し出す覚悟でございます。
そのような身で、愛する人と結婚するのは、非常に重苦しいことではございますが、
私は、あの人の姿を忘れることができませんでした。」
今まで可愛がってくれた東条、もう私は軍の最前線に立たされても文句は言えまい。
彼は、覚悟を決めていた。
彼女にもう一度会いに行くと決めた日から。
「君には、私の娘のような人を是非…と考えていたのだがね、残念だよ」
東条の側近が、緊張している。
上官も、後悔の色を思い浮かべている。
彼は、もう終わりだな…
誰もがそう思った時だった。
「はっはっは」
東条が突然笑い出したのだ。
周囲の者は、皆唖然とした。
もちろん、彼も。
「だから、私は君が好きだ。結婚しなさい、その女性と。
なに、その人の妹の事は、妹の事。彼女と君には、関係のない事だ。
よし、一週間時間をやろう。
彼女と彼女の父上とお話をしてくるんだ。わかったな?」
東条は、そう言って、まだ床に手を着いている彼の肩をぽんぽん叩くと、
如何にも愉快だ、と言わんばかりに部屋を出て行った。
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1話から読みました。女性の側からの戦争時代モノは、また違った戦争を感じさせますね。続きを楽しみにしてます。
2006/3/20(月) 午前 7:03 [ tuk**a12*2 ]