SANDA

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映画『おくりびと』

おくりびと


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死に接する世界を積み重ね、夫婦のドラマとヒューマニズムを謳いあげた傑作だった

とある1シーン。
この職業についたばかりの主人公(本木雅弘)が、死後2週間の腐乱死体を納棺した
そんな職業に就いたとは知らない新妻(広末涼子)は、その夜に鍋料理を準備する。
テーブルコンロにかけられた鍋の横に食材となる生の鶏肉が置かれる。
その肉片を観て納棺の仕事を思い出した主人公。
突然の嘔吐・・・驚く妻・・・・
『どうしたの?・・・』
『美香・・・美香・・・』
妻の名前を呼び、震える体・・・
彼は彼の赴くままに妻の体をまさぐり
『いやだ・・・こんなとこで・・・どうしたの・・・』
『美香・・・美香・・・』
新妻が見せる白い下着が一瞬画面に映し出される。
微笑と共に優しい顔で夫を抱きしめる妻・・・・次のカットは二人が朝を迎えるシーン
今年、最も美しいと評したいラブシーンは
自然で全くエロチックを感じないこの映画のヒトコマだった

今年は家族や夫婦をテーマにした映画が多い気がする。
『歩いても歩いても』『ぐるりのこと』『アキレスと亀』・・・いずれも価値の高い映画だ
本作『おくりびと』でも新婚夫婦の蜜月と危機、そして再生が物語の一貫した流れとして
心地よい作品となっている。
そしてなんと言っても納棺師という職業が、この夫婦関係の話に大きく絡んでいく。
とここまで書くと夫婦物語だけのほうにも観れるが、
納棺師を通して語られる人の生と死の作家表現は、映画を観るものの心を熱くする。
『こんな映画を待っていました!』と叫びたくなった。

映画の物語性を活かす伏線は、さりげなく表現され、
その伏線が花咲く時は、思いもかけない出来事として
観客の心にインパクトを送る。
笹野高史が演じたあるオヤジはその典型的なキャラクターであった。
真面目なだけの映画でもない。笑いのペーソスも踏まえ、娯楽性も有している。
そして主人公が夫婦のあり方と納棺師という職業を通して、
人間的にも大きく成長していく物語はヒューマニズムの原点であるような気がする。

いくつかの棺おけの値段を語りながら、余貴美子が語る
『人生最後の買い物は他人が決めるのよね・・・』

妻を病死でなくした夫の山田辰夫は納棺師の手によって美しく施された妻の顔を観て、
納棺師への感謝をこめていう台詞
『あいつ、今までで一番キレイでした』

フグの白子を網焼きしながら山崎努が語る
『死ぬ気がないなら、食うしかない・・・食べよう・・・』
『・・・・』
『食うならうまいほうがいいんだよ・・・』
『・・・・』
『うまいんだよこれが・・・困ったことに・・・』
人間食うしかないよねなんていうのは、倉本聡のテレビドラマでもよく出てくるが
人間の生を表現する台詞として多用される。ここでも名台詞が作られたような気がした。

名優・山崎努は伊丹十三監督作品『お葬式』でも、葬儀にまつわる名作を残している
この映画でも職業差別を受けやすい納棺師という仕事のベテラン社長を見事に演じている
黒澤明が見出した名優は72歳を迎え、更に円熟した演技を披露する。
そして、小生が最も俳優陣で評したいのは主人公の妻を演じた広末涼子。
本作の滝田洋二郎監督がてがけた『秘密』でも彼女は好演したが、今回の作品では更に大きく羽ばたいた
『ぐるりのこと』の木村多江か、本作の広末か・・・
主演女優賞はどちらにも与えてあげたい気持。

インパクトのあるCGが使われたわけでもなく、豪華なセットや衣装があるわけでもない。
日本のある暮らしの一片を描いた作品に、小生は大きな拍手を送りたい
唯一、難をつけるとしたら田園で主人公がチェロを奏でるシーンの挿入が不要に思えた・・・

米国アカデミー賞に正式エントリーされ、モントリオール映画祭でグランプリを受賞
中国金鶏百花映画祭(中国のアカデミー賞)でも作品、監督、主演男優賞を受賞した

『おくりびと』
滝田洋二郎監督作品
出演:本木雅弘、広末涼子、余貴美子、吉行和子、笹野高史。山崎努
2008年 日本映画 130分
公式HP: http://www.okuribito.jp/statics/

閉じる コメント(20)

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新聞の批評で、主人公のご遺体を扱う手のしぐさがすばらしいというようなことが書いてありましたが、SANDA評ではいかがでしょうか?(最近映画見に行く時間がなくて・・・)

2008/9/28(日) 午後 6:06 [ らり坊 ]

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興味津々です。
笹野高史、シブ味があって欠かせない役どころですよね。
時間作って見に行きま〜す。

2008/9/28(日) 午後 11:47 [ メタボ ]

らり坊さま
そういうのは映画作りのこだわりのひとつ。
遺体を扱う手の動きがそう見えるのも、考えれば当たり前のことの気がします。当り前をどこまで当り前に映せるかはむつかしいところですね・・・どっちやねん・・・てか?

2008/9/29(月) 午前 10:14 SANDA

chu**gbさま
時間を作ってでも楽しめる映画だと思っています。
是非映画館でご覧ください。

2008/9/29(月) 午前 10:15 SANDA

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広末の演技に期待していました。それぞれの夫婦に歴史ありですよね。SANDAさんとお宅は如何ですか?

2008/9/29(月) 午後 4:36 [ zan**i200* ]

これみたいんですよね。ほんと。
早く時間を空けて行きたいです。

2008/9/29(月) 午後 10:59 momo

zanmai2007さま
夫婦の話はzanmaiさんのほうが、いい話が出てきそうです(^^)
この映画の広末はいいですよ〜・・・・(^^)

2008/9/30(火) 午後 6:01 SANDA

momoさま
早く行ってきてください(^^)
トラックバックにリンクでもなんでもござい・・・ってこれだけ言って、期待ハズレだったら殺されちまうな〜

2008/9/30(火) 午後 6:02 SANDA

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昨日行ってきました
評判通りで見に行って良かったです
納棺の儀式の時の映像と音楽が美しかった♪

2008/10/2(木) 午前 10:23 やす

やすさま
音楽は久石譲さんでしたね。
最近もっとも印象深い映画音楽を作るひとりです

2008/10/2(木) 午後 11:30 SANDA

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観てきました(^^) 家内と…

お薦めどおり、いい作品でした

役者も期待どおりでした
小生は「家族愛」と「社会」の両面を考え(反省)させられました

映画が終わった後も、二人の出会いはどうだったんだろう?
とか
美香の結婚前の職業は何だったんだろう?
と、楽しませてくれる映画でした。

2008/10/8(水) 午前 0:50 [ メタボ ]

churgbさま
いい作品とかんじていただき、うれしい次第です。
今のところ、この映画は今年の小生のベスト3に入っています!

2008/10/11(土) 午前 7:06 SANDA

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同じく、邦画の今年のマイベスト3の1本です。おそらく「No.1」となることでしょう。TBさせてください。

2008/10/18(土) 午後 4:44 fpd

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こんにちは!
納棺の様は本当に綺麗で見とれてしまいました。
こういう文化は素晴らしいと思います。

2008/10/20(月) 午前 11:29 かず

fpdさま
TBありがとうございました。
いまこの映画をベストワンにするかは悩んでいます。もうちょっと今年の映画を観てからですね・・・
いまのところ邦画では1位か2位なんですけどね・・・

2008/10/20(月) 午後 1:36 SANDA

かずさま
こういう文化は地方によっても差があるのだと思います。
その地方でいろいろな形式があるのでしょうね。
形は違えども、心が一緒であることがポイントかもしれません。

2008/10/20(月) 午後 1:40 SANDA

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いいんです。綺麗すぎて。
人の死は思う気持ちが100人が100人違う。
この映画で何を気付き、何を思うべきかをあらためて考えさせられた
映画です。実際の死者への扱い(魂が抜けた体)は携わる人、親族、友人、葬儀関係者、火葬場の人・・・によってがらっと変わるんです。何が一番大切か・・・。
ズバリ心、そのものです。
今自分が置かれている立場、人を思う気持ち・・・いろんなことを
考えると収拾つきません。
でも、自分のしていることを測るものがあるとするならば。・・・。

2008/12/29(月) 午後 9:26 [ iop*c* ]

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いまさらなんですが、
今日、この映画を見てきました。年末に割引券をもらったとき、このSANDA評が心にひっかかって、見にいきたいなぁ〜と思っていたところ、アカデミー賞までもらったので、託児(2400円!)を払ってでも見にいくことにしました。

仕草、言葉、背景、音楽、全て美しく上品で、目をそむけがちな「死」のテーマを、「生」の立場から静かに考えることが出来るような気がしました。

思い切って見に行ってよかったデス。

(確かに、川原でチェロは、不自然だなぁと思いました!)

2009/3/5(木) 午後 11:15 ふゆかごん

iop*c*さま
コメントありがとうございます。
『いいんです・きれいすぎて』
どこかに、きれいすぎたたという記事内容があるのでしょうか?

2009/3/7(土) 午前 6:50 SANDA

かいじゅうははさま
お!託児料払ってまで行きましたか!
ここの評価が記憶に残っていたということ。嬉しいものですな!

2009/3/7(土) 午前 6:52 SANDA

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