或るだいちゃんのブログ

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東・宮台対談 4

(前からの続き)
 
第4章
宮台:僕が男子学生に言うのは、「女の子と仲良くなる力」と「子どもと仲良くなる力」はよく似ているということ。
 
宮台:入れ替え不可能性は関係の履歴によってつくり出すしかない、すなわちコミュニケーションを重ね、関係性を深めることによってしか唯一無二のパートナーは見つからないものだと書いてあるんですが。
 
東:人生の必然性は自らつくっていくものであって、そのためにはどこかで必然性に囚われない決断を下すほかない。だから逆に、いちど決断したからといって、それに囚われる必要もないはずなんです。ダメだと思ったら他の選択肢に切り替えればいいし、なんどもトライアンドエラーを繰り返し、そこそこのところで「これが自分の人生だったんだ」と必然性の思考に切り替えればいい。というよりも、人間にはそういう生き方しかできない。これはあたりまえのことですが、どうもいまの日本には「一度失敗したらすべておしまい」みたいな思想が蔓延している。そしてその裏返しとして、運命信仰、必然性信仰といった「純粋主義」も根強い。しかし、子どもをつくるとは、まさにそういう純粋主義がフィクションであることを実感する経験ではないか。・・・子育てもまた、そのようなズレの積み重ねなんですよね。親が無意識に選択した行為が、子どもにとって必然になっていく。住居にしても学校にしても。
 
宮台:ひとは「偶発性」にさらされるほど、「恣意性」を意識せざるをえなくなる。そして「恣意性」を意識せざるをえなくなると、動かない土台の上に自分を構築したがるひとほど「不安」になる。そして「不安」になるひとほど「必然性」を求めるようになります。・・・なにもかも偶発的でいいんです。なにもかも適当でいいんですよ。
 
宮台:女の子だけじゃなく男の子にとってもバックドア問題は重要です。わかりやすくいえば「困ったときに助けてくれるひとがいるかどうか」なんです。「だれかに助けてもらえるかどうか」は「だれかを助けてあげられるかどうか」と表裏一体です。「愛されるかどうか」は「愛せるかどうか」と表裏一体です。シンプルと言えばシンプルなことで、「自分が幸せになろうと思えば、ひとを幸せにするしかない」「ひとを幸せにできる人間しか、幸せにはなれない」という基本公理です。
 
宮台:『おひとりさまの老後』は典型的な「いいとこどりの発想」です。ひるがえって考えれば、絆は絆コストとともにしかありえません。相互扶助は依存の危険ととともにしかありえません。依存を全面的に拒絶すれば自立が得られるかというと、それはちがいます。「チャレンジするにも余裕から」と言いましたが、帰還場所たるホームベースがあってこそ戦えるんです。
 
東:ロマンがなければ現実は動かない。ロマンチシズムを導入することこそがリアリズムであることがありうる。ロマンなんてないんだよ、と言い募ることがリアリズムであるわけではないのです。・・・特にロスジェネ以降は、これがリアルだ、これがおれたちの現実だ、だからもう夢なんてみていられない、という主張ばかりなんですね。大学院もリスクだし恋愛もリスクだと。なるほどそれは局所的に正しいのかもしれないけど、みなが同じ認識に到達すると、いわゆる合成の誤謬が起きて、社会のほうが何も動かなくなってしまう。・・・虚部を剥奪して実部だけを見ることで社会が語れてしまうという臆見が蔓延り、それをみんなが信じてしまうと、社会は本当にほどけてしまう。
 
宮台:むかしのひとたちは「絶対悪」など存在しないという考えが虚構であることを弁えていて、戦争などでの現実の体験を横に置いて、「社会とはこういうものだ」という寓意、−〈世界〉はたしかにそうなっているという気づき−を伝えることに熱心だったと思います。・・・どうも現在は、情報環境の全体が、ロマンチシズムの必要性、つまり全体性についての虚数的な構えをうまく伝承するように機能していません。
 
宮台:アングロサクソンは家族親族ユニットが相対的に小さく、ゲルマンやとりわけラテンは家族親族ユニットが相対的に大きい。すると、ラテンが家族親族ユニット内部の相互扶助によって調達する便益を、アングロサクソンは市場で調達することになるので、そのぶんアングロサクソンがネオリベに親和的に見えるというわけですね。しかし、・・・剥き出しの個人が市場でプレイしているなんてことは、アングロサクソンにおいてすら、ありえないわけです。・・・一九八〇年代に先進各国であった「共同体と市場の両立可能性」をめぐる議論がすっぽり抜け落ちていたせいで、日本ではアングロサクソン的なネオリベを、剥き出しの個人が市場でプレイすることだと勘違いしてしまった。
 
宮台:近頃の僕は「絆コストなくして、絆なし」という言い方をよくします。これにはふたつ意味があります。ひとつは、絆の便益にコストを払わずにタダノリできないよという意味です。もうひとつは、絆には良い面と悪い面が必ずあって、良い面だけを「いいとこどり」するのが難しい以上、是々非々で戦略的な工夫が必要になるという意味です。
 
宮台:複数のコミュニティへの所属は大切です。ある島宇宙ではトップだけど、別の島宇宙だとボトム。自分はできると思っていても、別のグループに行けばまったくできない。「世の中そんなものだよ」と教える絶好のチャンスです。
 
  以上、長々と引用させていただきましたが、他にも面白いところ、勉強になったところは沢山ありました。
 
  東浩紀氏は1971年生まれ、宮台真司氏は1959年生まれで、私はちょうどお二人の真ん中ぐらいの世代になります。特に宮台氏については、援交のフィールドワークをしている変な人という印象がありましたが、この本でまた少し見直しました(経歴面で私と接点があったことも今回初めて知りました)。
 
 

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おお、これも読んでいただいたのですね。色々と啓発される発言が多かったので、この本は私にとって意外な収穫でした。何か結論が出ているわけではないけど、考えるタネが豊富に詰まっている本ですよね。宮台のオレオレ感は相変わらずだけど、急所を突いたコメントもあるし、東はより面白い発言をたくさんしています。

2012/3/20(火) 午後 7:28 大三元

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コメント&トラックバック有り難うございます。
この本は本当に良かったです。
大三元さんのブログを見なければ、この本を多分読むことはなかったと思うので、感謝しております。

2012/3/22(木) 午前 1:55 [ だいちゃん ]

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