或るだいちゃんのブログ

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「大発見」の思考法

 
山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。
テレビでのインタビューなどの御様子を拝見すると、とても謙虚なコメントをなさっていますが、この数年間、有力候補としてリストに上がっていましたので、漸くこの時が来たかという感じがしました。

益川敏英教授(2009年ノーベル物理学賞受賞)と山中教授の対談本『「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子』(山中伸弥・益川敏英著、文春新書)を読みました。

私は、自然科学系の勉強は高校2年生の時でやめてしまいましたので、話の内容についていけるか心配でしたが、両教授がこの対談の中で語っている研究の「極意」は、我々普通のサラリーマンの世界でも適用できる話ばかりでとても興味深いものでした。
個人的備忘用として、本書から引用させていただきます。(表題は、私が勝手に付けました。)

【ネーミングは重要】
・「名前はとても大事ですね。これまでになかった新しい多能性幹細胞ですから、覚えやすく印象に残る名前にしないとだめだと思いました。(中略)「iPS細胞」と命名してから半年ほどあとに、アメリカの研究グループが、ほぼ同じことに成功して科学雑誌『Nature』に論文を発表したのですが、彼らはその論文の中で「iPS cell」という名前を使ってくれました。それで、この名前が定着したのです。」(山中教授)

【諦めることが重要】
・「僕は家で風呂につかりながら、「カッコ悪いけど、クォークが四種類あってもうまい理論は組み立てられません、という論文を書くことにしよう」と、心に決めたんです。(中略)そう決めて湯船から立ち上がった瞬間、「あっ!」と閃いた。「四つにこだわっていたからダメだったんだ。六つにしたらうまくいくじゃないか!」と。(中略)でも、それは偶然の閃きじゃないんだと思う。それまでに小林君と二人で、4元クォークモデルについてさんざん議論し、考え尽くしたから生まれた発想だと思う。」(益川教授)

【お風呂の効用】
・「机に向かっている時は、非常に細かい議論を積み重ねるような思考にはいいけれど、自由に枠を越えていくような発想がなかなか出来ない。お風呂やトイレなんかは、外から雑音が入ってこない状況の中に自分だけの世界があって、そこで自由に遊べるからインスピレーションが湧きやすいんじゃないかな。」(益川教授)

【科学疎外】
・「今のテレビは、外側のことはわかるけれど、中にどんな装置が入っていて、どういうしくみで動くのか、ほとんどの人にはわからない。ブラックボックス化しているわけです。皮肉なことに、科学が発展すればするほど、科学的な事柄が人々の生活から乖離していく、よそよそしくなっていくんですね。僕はこのことを「科学疎外」と呼んでいるんだけど。」(益川教授)

【基本は国語力】
・「科学の基本は国語ですよ。何にしてもすべて文章の言葉から入ってくる。読んでその世界が頭に思い浮かべられるかどうか。その力があれば、理解していける。そのあとは、吸収した知識を頭の中で思い描いて発展させていけるかどうか。数学は「計算するもの」というイメージがあるかもしれないけど、数式は基本的には言葉なんです。数式とは「かくかく、しかじかの関係がある」とか、「○○という事実を表している」ということを語っていて、そういうことを組み合わせて発展させていけば、答えになる。だから言葉が大事なんです。」(益川教授)

【仲間との自由闊達な議論が大切】
・「何か疑問が生じたとき、先生に質問すれば、すぐに正しい答えが返ってくるけれど、そこで議論は終わってしまう。でも、仲間同士でディスカッションすれば、答えが縦横に広がっていく。その過程で、それまで気づかなかった新しい発見をすることもある。」(益川教授)

【一歩踏み出す】
・「益川先生は(中略)進路などへの迷いを「フラフラ」と表現され、いろいろなことに憧れを持つのは良いことだと「迷い」を肯定していらっしゃる。」(山中教授)
・「だって、憧れを見つけなければ何も始まらないもの。(中略)憧れを見つけたら、ドン・キホーテのように一歩を踏み出すことが大事。じっとしていてもロマンは絶対にやってこない。迷ったり、壁にぶつかったりしながらも、実際に動きだしてしまえば憧れはロマンに変わる。」(益川教授)

【偶然を運命に変える】
・「自分の中では、その時々の研究結果から興味の対象がどんどん変わっていき、それに従って行動しているのですが、フラフラしているようにしか見えなかったかもしれませんね。研究結果は予測できませんし、偶然に左右されたところも大きいです。」(山中教授)
・「(前略)偶然から始めたことが、「ああ、俺はこのテーマに出会う運命だったのかもしれない」と、必然のように思える時が、人間にはあるんですよ。偶然の出会いを運命に変えられるかどうか、それは本人次第。」(益川教授)

【世界を相手にする】
・「基礎研究を始めて何より新鮮だったのは、先輩の先生方から、「世界が相手だと考えろ」と言われたことです。「我々のやっていることは、小さいことかもしれない。だが、世界の誰かが同じようなことをやっている。だから我々は、世界を相手に競争しているんだよ」と。」(山中教授)

【予想は外れる】
・「自分が予想していないことが起こったほうが、科学者としては当然、面白い。そこで大事なのは、「この予想外の結果は、いったい何なのだろう」と考えることです。そこから全てが始まる。ガッカリ落ち込んでいたらそこでおしまい。」(益川教授)

【自然は奥深い】
・「人間というのは、常に既成概念の中でものごとを考えている。人間の考えることなんかより、ずっと自然のほうが奥深いんです。」(益川教授)

【一人ではできない】
・「京大のiPS細胞研究所は、人数的にはまだ目は行き届くのですが、データの量という点では(中略)すでにまったく目が行き届かなくなっています。「何もかも一人ではできないんだ」ということを、早く悟ることが重要だ、という気がしています。」(山中教授)

【若い人のアイデアを大事にする】
・「私が常に心がけているのは、いかに若い人達のアイデアの邪魔をしないか、ということです。若い人達が出してきたアイデアに対して、「そんなの面白くないよ」とか、「本当にできるの?」とか言ってしまったら、そこでおしまいですから。」(山中教授)

【単なる勝ち負けではない】
・「アメリカは(中略)お金も人材も桁違いに豊富です。われわれは、アイデアと創意工夫で対抗していくしかありません。でも、これは単なる勝ち負けの問題ではないと思っています。全体の研究が進む中で日本もしっかり貢献する。それで全体がハッピーになることが大切です。(中略)大事なのは、少しでも多くの知的財産を生み出すことで、欧米に対する競争意識を保ち、その競争意識を研究の促進につなげていくことです。」(山中教授)

【プレゼン力が重要】
・「科学者が成功するためには、良い実験をすることだけでなく、いかにしてその実験データをきちんと伝えるかという「プレゼンテーション力」にかかっている、というのが私の持論です。自分の持っているデータや研究成果を、いかにして発信するかということが大切なのです。」(山中教授)

【目標は高く、行動は着実に】
・「「眼高手低」。この言葉は本来、「評論はうまいけど実作はヘタだ」という意味なんだけど、学生時代にある数学の先生が、「科学者として目標は高く置きなさい。しかし、着実にできることから一つ一つ積み上げていきなさい」と解釈されていたんです。僕はこの言葉が好きでね。」(益川教授)

【目標を常に検証】
・「「自分の目標はこれだ」と設定したら、それを常に意識し、自分がその目標に少しでも近づいているのかチェックしなければいけない。また、そもそもその目標は正しいものなのかも、常に検証していかなければいけません。間違いに気付いた時は、どの時点から間違ったのかということをきちんと検証し、それを常に反芻する必要があります。」(益川教授)
 
 
イメージ 1
(写真は、ノーベル賞受賞者が授賞式の際に宿泊するグランドホテルを数年前に撮影したものです。)


閉じる コメント(2)

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厚手の記事をありがとうございます。
わたし自身もたいへん興味深く拝読しましたが、
よねんせいが帰宅しましたら、是非読ませたいと思います。
わたしがそうであるように、
9歳の子どもには核心部分は理解できないでしょうが、
こういうおはなしから子供なりに得るものは大きいと思います。

2012/10/15(月) 午後 1:44 [ wasuregusa ]

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そうですね!
私も娘に早速この本を見せてみようと思います。
良いアイデアをありがとうございます。

2012/10/16(火) 午前 6:48 [ だいちゃん ]


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