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敷金トラブル 6

そう言えば我輩ひとつ書き忘れてしまった事がある。 
行政書士の事だ。
 
主人は一番最初の請求書を手にした時、ネットで敷金問題の無料相談と言うのをいくつか利用した。 その中にひとつ、個人でやっている行政書士がいた事は、以前書いたと思う。 訴状が届いた時にも当然その御仁に主人は相談しようとした。
 
まず主人は事情をメールで送信した。 すると向こうから実際に有って御話しましょうと言ってきた。 ただし今度は有料である。 その日時も決めた。 
 
その前日であった。 主人はネット上でなおも情報を集めていたのだが、その際、『行政書士と司法書士は違う』と言う記事を目にしてはたと気が付いた。 
そう言えばあの人、『行政書士ではないか』と。
 
そこで主人は行政書士について調べ始めた。 すると、行政書士は法律相談はしてはいけないのだと言う事がわかった。 
だとするならば、一体全体あの行政書士は何をするつもりなのだろう。 今度は有料で相談に乗ると言っているのだ。 それは違法なのではないのか。
 
調べているうちに、行政書士連合会なるもののHPを発見した主人は、そこに電話して事情を話してみた。 すると相手は、「何をするつもりなのか聞いてみたらどうですか?」と言った。 まるっきり他人事である。
その行政書士は当然その会の会員である。 会員がもしかしたら法律に違反した事をやろうとしているかも知れないというのに、全く我関せずである。
一体全体、何の為の連合会なのか。
 
憮然としながらその行政書士本人に電話してみる主人。 
「あの、今度実際に会ってご相談いただけると言う事なのですが。」
「はい。」
「行政書士さんは、そう言う事しちゃいけないんじゃないですか?」
「・・・。 ん、まぁ・・・、そうですね。」
「じゃ、明日お会いした際にはどう言うことをしていただけるんでしょうか。」
「えぇ・・・。 ま、色々ご相談になる事は出来ると思いますが。」
「でも裁判についてアドバイスしてはいけないんですよね?」
「ええ・・・。 まー、そう言う事でしたら、どなたか司法書士さんか弁護士さんにご相談いただいた方が・・・。」
 
我輩、主人の後ろで見ていて、主人の頭のどこかで、ビキッと何かが切れるのがわかった。 
これが事前の電話だからまだ良かったが、明日実際にこの御仁と会ってこんな事を言われ、5千円も取られた日には、主人が何をしでかすか我輩はとても心配である。 
これからどんどん寒くなるというのに、主人がブタ箱にでも入ってしまったら、我輩のご飯を作ってくれる人間がいなくなる。 それだけは避けなければならない。
 
 
と言う事でとにかく主人はこの行政書士との関係を打ち切った。 ま、メールで何度かやり取りし、電話で数回話をした関係に過ぎない。 これ以上無駄に深くならずに済んで良かったのだろうと我輩猫ながら思うものである。
 
ただし、一番最初の段階でこの御仁に正式に仕事を依頼していたらどうなったのか、我輩とても興味がある。 果たして行政書士からの通告書が来たからと言って、あの悪徳業者が屈服するものなのかどうか。 
 
 
さて、今さらそんな事を言っていても仕方が無い。  主人は答弁書作成に向けて考え始めた。
 
 
 
当初主人は、色々と仕入れた知識を駆使して法律の観点から責めるつもりでいた。まず第一に、消費者契約法の第10条によって、『特約事項』なるものが無効であったならそれで終わりである。 それなら請求できる道理が無くなってしまう。
それがもし認められないとするならば、ハウス・クリーニングと鍵の交換に関しては負担の必要が無い筈であると主張しこれを拒否する。
そして喫煙による壁紙などの張り替えに関しては、一応賃金の記載が無いのだから負担する必要は無いと言うつもりであった。
それが駄目だった場合でも、経年変化分の減額が認められる筈と言える。
 
したがって、これに関しては、最高で逆に敷金の返還。 最悪でも数万円の負担と言う形になると予想していた。
 
損害賠償に関しては全くゼロだと踏んでいた。 何しろ、クレームが来ていると言う事を全く知らされていないのだ。 
何度も苦情を言ったと元隣の住人は証言しているが、それが伝えられていない以上、主人としてはどうしようもなかったと言うつもりであった。
 
その根拠となるのが訴状にある、「騒音を撒き散らし」と言う部分であった。
何しろ主人が使っているのはローランドのVドラム。 サイレント・ドラムである。
 
ドラムとしての音が出せないというのに、どうやって騒音を撒き散らせるというのか。
 
これは原告が全く調査していない事を物語っていた。 
これが何か物音がして気になるとか言うのだったら理解できるが、隣の住人はドラムと限定している。 ギターの音は聞けばわかるだろうが、Vドラムの生音を聞いてそれがドラムであると判断出来る物か、主人には甚だ疑問であった。
 
だから司法書士殿は通常裁判にして反対尋問をしたほうが良いと言ったのだが、主人はそこまでせずとも自分の言い分は通るだろうと思えたらしい。
 
何より主人にはこんな損害賠償など出来る物なのかと言う、根本的な疑問があった。 
 
本来アパートと言うものは、たとえ2年間の契約をしていると言っても、入居者の都合でいつでも出られるようになっている。
いきなり出られてしまって家賃が入らなくなってしまうのが困るからと、家賃は前払いになっているのだし、出る際にも、1ヶ月以上前に言わないといけない事になっている。 しかも、家賃は日割り計算しないのだ。 1ヶ月以上前に通告しても、翌月分の家賃は丸々支払わなければならないのだ。
 
たとえ主人の所為で隣が引っ越したとだとしても、家賃の返金を求められたとか、引越し代を支払わされたとか言うのなら別であるが、部屋が空いてしまった間の家賃をどうして主人が支払わなければならんのか。
 
これがまた、次の居住者が入るのを主人が邪魔したと言うのなら別であるが、訴状ではあくまでも空いてしまった間の家賃を請求しているのだ。 
 
ちなみにその引っ越した元隣人と言うのは女性だった。 主人が越した当時は若い男で、主人は一回だけその姿を見た事がある。 
主人がドラムを買い、それを組み立てた夜、夢中になってふと気がついたら夜中の1時だったことがあり、その時文句を言われたのだ。
 
それ以来、主人は10時を過ぎないように心がけていた。 
大体が主人の行動パターンで行くと、6時過ぎに帰宅し、7時までに夕食を済ませる。 これは大体10月から3月くらいまでのパターンである。 
何故かと言うと、散歩の時間が寒いからである。 
1時間後の8時から運動に出る。 9時頃帰ってきて、それからテレビを見たり風呂に入ったりする。 
ギターを作っている時には、いきなりその作業を始めたりするので、その分時間がずれる事になる。 
ドラムは雨の日に散歩の変わりに叩く事が多い。 だからやはり8時過ぎからである。 時間は1時間半以上叩く事はまず無い。 なぜなら体力が持たないからである。 したがって、10時以降に叩く事はまず無いのだ。 
勿論、一度も叩いた事は無いかと言われれば、それを断言する事はできない。 しかし、引っ越さなければならぬほど毎日の様に叩いていた等と言う事は全く有り得ない。 それは我輩が保障する。 
出来れば裁判で証言したやりたいところだが、生憎と人間は我輩ら猫族に証言能力があると思っておらぬので、叶わぬ夢なのが残念である。
 
しかも主人、隣の住人が女性に代わったと言う事を全く知らなかった。 何しろ近所付き合いの無い男なので、隣が何処の誰かなどと言う事に全く無頓着だったのだ。
だからその女性が引っ越した事も全く知らなかったのである。
もっとも知っていたからと言って何がどう変わると言うのか、我輩には全く謎であるが。
 
 
 
主人、連日散歩などしながらこの問題に関して頭の中で大演説を繰り返していたが、その結果に対してはさほど心配していなかった。
 
全体的に、絶対的な自信とは言えないまでも、かなり自信が有る主人であった。
 
 
これがもし、時間があまり無かったとしたら、この方向で突き進むだけだったろうが、幸か不幸か時間はたっぷりと有った。 だから、主人は別の事を考え始めたのだ。
 
色々と体験談などを探している内、2chで或るスレッドを見つけた。 それを読んでいた主人は、「宅健業組合と県の不動産課に連絡してみろ。」と言う書き込みを見つけた。 調べてみたら、原告も組合員だった。 一応歴史は長いらしいのだ。
 
確かに裁判で白黒つけるという事も良いだろう。 しかし、面倒な事である事には違いが無い。 もしかして誰かがこの会社に対して意見でもしてくれたなら、ひょっとして訴状を取り下げるなんて事になるのではなかろうか。
それはそれで楽かも知れないと思ったのだ。
 
そこで主人はまず宅健業組合と言うもののHPを探した。 そこに『苦情のご相談はこちらへ』というリンクを発見した。 そこに書かれていた電話に早速電話してみる。
 
事情を話した主人であったが、そこでとても意外な事を言われた。
賃貸に関しては感知していないというのだ。
たとえ組合員が起こしたトラブルであっても、それが売買ではなく賃貸に関することであった場合、組合としては何も出来ないと言う事らしい。
 
では何の為の組合なのか。 苦情受け付けますなんて言っておきながら、所詮は組合員の方しか向いていないのか。 組合員の味方をするだけの為の組合なのか。
 
がっかりした主人は、次に県庁の不動産課と言うところに電話した。
ちなみに主人は、訴訟の内容についてどうこう言うつもりではなかったのだ。
主人が正してほしいのは、客に対してこう言う態度を取る業者を何とかして欲しいという事であった。 
ところが、ここでも驚いた事に返事は一緒であった。 
よくよく聞いてみると、早い話が、賃貸に関しては免許制度も無く、何の法律もないのだそうだ。 だから県庁にも担当部署と言うものが無く、賃貸業者を取り締まったり監督指導するような公的部署と言うものは存在しないそうなのである。
 
 
 
主人、呆れるやら納得するやら。
どうりでいまだに慣習だとか言っているわけだ。
 
 
 
賃貸業者は野放しである。
極端に言うと、どんな物件をどんな契約しようが勝手なのである。
国土交通省ガイドラインだの東京ルールだのが有っても、それには強制力が無い。
あくまで指針に過ぎない。
しかも監督部署が無いのだから、よっぽと酷くない限りは問題にされない。
いちいち裁判をしないといけない仕組みになっているのだ。
 
ところが普通、10万や20万の話で裁判起こそうとするものは少ないだろう。
損害賠償の金額が20万くらいと言う事は良くあるが、請求した金額はもっともっと多かったはずである。 
弁護士など立てようものならかなりの出費を強いられる。 だから敷金如きで裁判する者など少ない訳だ。 つまり泣き寝入りである。
 
業者はそれをアテにしている。 
それがわかっててやっている。
ちょっと脅せば支払うと思っている。 
しかも、誰からも何も言われない。
 
それでは賃貸業者のやりたい放題である。
 
 
 
つづく
 

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