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21日まではまだ随分有るなんて気楽に構えていた、構えようとしていた主人であったが、その日は瞬く間にやって来た。
予約の時間に病院に出向く。 CTが出来る場所は、今まで行った事が無い場所にあった。
手続きをすると、早速血圧と脈拍を測られた。 随分と高くて早い。 主人、血圧はまだ良いのだが、脈が普段から早いのである。
看護師から薬を渡される。 脈を遅くする薬なのだそうだ。
それが効いてくるまでじっと待つ主人。
ところで待合室には同じ検査をするのであろう人間達が随分といた。 どうも主人の如き人間は珍しくないようだ。
主人の顔を見ると、自分だけが特別で無いと知ってちょっとほっとしているのが明白である。
30分ほど経ったろうか。 また看護派が出てきて脈を計った。 しかし主人の脈は頑として言う事を聞かず、ほんの少し下がっただけで持ちこたえていた。
何でも70以下にならないといけないらしいのだ。
「いつも、こんなに早いんですか?」と聞く看護士。
「へぇ。」と間抜けな答えをする主人。
「では、もう一錠飲んでください。 下がらないと出来ませんから。」とまた薬を飲まされている。
もしこのまま脈拍が下がらなかったらどうなるのか。 検査なのだから、「出来ませんので、ではさようなら。」と言うわけにも行くまい。
やがて主人は小さな部屋に通された。 そこで青っぽい浴衣の変種のようなものに着替えさせられた。
やがて主人の名が呼ばれた。 ドアを開けるとそこにはベッドと巨大な機械が有った。
『お〜、これがCTスキャナーか。』と感激する主人。
そんな主人の感動など全く無視された。 そして、「ではここに横になってください。」と言われてベッドに横になる主人。
さてはて、どんな拷問が待ち構えているのだろう。 我輩、興味津々である。
大体自分の事となると臆病になるくせに、他人事であり自分は安全な場所にいるとなると野次馬根性が首をもたげるのは主人も我輩も一緒である。
飼い猫は主人に似るのである。
最初のうち、機械の調整の為に何度か機械の中に入ったり出たりする主人。
いや、正確には動いているのは機械の方だ。 両手をまっすぐ上に上げさせられて間抜け面している主人の上を、ドーナツ状の大きな機械が行ったり来たりしているのだ。
さながら産まれそうで産まれない逆子である。
機械の準備は整ったようだが、主人の心臓の準備が整っていないようだ。
折角薬で下げた心拍末が跳ね上がったのである。
「どうしましたぁ〜」 「大丈夫ですかぁ〜」 「落ち着いてくださいねぇ〜」
周りの人間が口々に色んな事を主人に問いかける。
主人は十分に落ち着いている。 落ち着かないのはこれからヌード写真を撮られようとしている心臓君の方である。
これだけ沢山の人間が見ている前で裸にされようとしているのだからさも有りなんと我輩猫ながら思った。
「ちょっと、酸素吸入しますねぇ〜」 「点滴しまーす。」
さっきから聞いているとやたらに周りの人間達の口調が丁寧と言うか、まるで子供に言っているかの様である。 それがかえって我輩には不気味に聞こえる。
マスクをされる主人。 ちょっと顔をしかめた。 大方、そのマスクがビニール臭いのだろう。
手首に注射針を刺される主人。 ちょっと痛そうだ。
後から聞いた話だが、そこからまた心拍数を下げる薬を入れたのだそうだ。
それから勿論造影剤も入れる。 それが無ければ血管が映らない。
やがて主人の心臓君も覚悟を決めたのか落ち着いてきたらしい。
CTスキャン、いよいよ開始である。
「はーい、では息を止めて。 はい、頑張って頑張って・・・。 はい、楽にしてぇ〜。」
止めると言っても20秒ほどである。 いくらなんでもそれくらいは出来る主人であった。
そんなやり取りが何度か続いた。 我輩、段々退屈になってくる。
ちょっとウトウトしかけたところで、「はい、終わりましたぁ〜、お疲れ様♪」と声をかけられる主人。
これが若い雌なら主人も喜ぶところだが、生憎雄だったのでなんとも感じない主人。
再び着替えて待合室に出る。 しかし、薬が抜けるまで暫く待てといわれる。
とにかく初めてのCT騒動は終わった。 点滴がチクッとしただけで、後は何も苦しい事は無かった。 ただ、心臓が言う事を聞かなかっただけである。
薬を大量に使用して所為で、普通より長く待たされた主人。 しかし別段何の変化も感じていなかったようだ。
さて、問題はこの結果である。 その結果が出るまでにまた随分とかかる。
その間に重大な事にならないで欲しいと思う反面、いまだに「大丈夫でした。」なんて事になりはしないかと、淡い期待を抱き続ける主人でもあった。
に、にゃあ〜
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