色水あそび

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色水あそび(3)

人間は複雑につくられすぎたと思う。

もっと単純なつくりだったら、自分で自分が分からないとか、コントロール出来ないなんて

理不尽なことは起こらないんじゃないかって思うから。


私は電車に乗れない。

だから、大学へはバスを乗り継いで通っているし、自転車か徒歩でいける場所が行動範囲だ。


昼過ぎ、大学から帰宅した私は、自分の部屋の襖戸を開け、げんなりした。

朝と同じ光景。お姉ちゃんが旦那とケンカして帰ってきてから、毎日こうだ。

四畳半の畳の部屋は、ベッドの横に布団を敷きっぱなしにされると、着替えどころか

座ることも出来ない。

「ちょっと!いつまで寝てんの!!」

掛け布団の丸い山をつま先で突ついた。

「だって今日寒いじゃん。お母さんまだ早いって炬燵だしてくんないからさ」

「だったら隣の部屋で寝てよ!邪魔!」

そしたらお姉ちゃんは布団からがばっと起き上がり、「滅相もない」って声をあげた。


話はそれるけど、お姉ちゃんは美人だ。

基盤がいいと、シマウマかコントの囚人みたいな全身ボーダー柄の服でも、

おでこ全開の落ち武者みたいな髪型にしてても美しくみえるから、苦労も金もかからない。

私がお昼ごはんを抜いてお金を費やすくらい化粧品や衣服に執着してるのは、

子どもの頃からちやほやされてるお姉ちゃんと、もう一人、‘アイツ’の横で育った影響だった。

‘世の中は不公平’っていうのは物心ついた時から知ってるけど、未だに納得いかない事実・・・。


話は戻る。

私はベッドの上で、天井に頭をぶつけないよう、小さくなって着替えながら

「空いてる部屋があるんだから、使えばいいじゃん」ってぶつぶつ呟いた。

「あんた、私を殺す気?!兄さんの部屋なんか使ったらどうなると思ってんのよ?」

「どうなるわけ?」

「あんたも覚えてるでしょ?貯金箱事件」

「あれは、お姉ちゃんがお兄ちゃんのお金とろうとしたからでしょ?」

「死んだ人間に金なんて必要ないでしょうが!」

うるさいお姉ちゃんを無視して目覚ましを5時にあわせ、ベッドに仰向けに転がった。

いつも通り、6時から11時までバイトだ。

「ねぇ、舞」

「何?眠いんだけど」

「お母さん、まだアレしてんだね!?」

「アレ?」

窓際に立つお姉ちゃんの顔の向きに耳を澄ませたら、庭からパタパタと音が聞こえてきた。

「ああ・・・帰ってくる気がするんじゃない?」

「あんたもそう思ってんの?」

「・・・別に」

瞼にお姉ちゃんの視線を感じていたけど、寝たふりをしていた。

「テレビでも見るか」

諦めたらしく、お姉ちゃんは小さくつぶやき出て行った。

それから部屋はしんとした。

しばらくして、布団たたきの音が止まった。

「あら、曇ってきたわね」

お母さんの独り言が聞こえた。

その一言で、ぼんやりと天井の染みを見つめていた私は、ある光景を思い出した。

昨日、芝生に放った、あの回覧板のことを。


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