うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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日経メディカルの記事です。
救急医療の問題点がほぼ網羅されている秀作です。
画像が上手く転送できないのですが、是非ご一読下さい。

【特集】救急医療はなぜ崩れゆくのか
2008. 3. 18  日経メディカル

 救急医療が崩壊の危機に瀕している。
昨年秋以降、救急患者の搬送先が見付からないという事態が、全国で顕在化し始めた。
原因は、医師不足と、コンビニ感覚の受診による患者数の増加にあることは間違いない。
しかし、その背景には、容易に解決できない根深い問題が潜んでいる。

 場当たり的な対策では解決できないところまで来てしまったこの国の救急医療の問題に、
どう対処していけばいいのか。その方策は、はっきりとは見えていない。

 日経メディカル3月号では、「救急医療 再生へのシナリオ」と題する特集を企画し、
その打開策に踏み込むべく取材を行った。
その結果得られたのは、個々の病院にできることはほとんど残っていないということ。
そして、行政が補助金や診療報酬などでバックアップし、地域住民が自ら行動を起こす以外に、
実効性のある対策はあり得ないということだった。

 それでも、復活のヒントになる動きや考え方は、捉えることができた。
本誌3月号には、その点を含め、医療機関、行政、地域住民それぞれの立場で
取られようとしている対策について掲載した。
今回の連載企画では、実効性と取り組みの重要さを勘案し、
特に地域住民の意識や受診行動をどうするかという点に重点を置いて記事を掲載していく。
連載第1回目の記事では、救急医療がなぜ崩壊に陥ろうとしているかをまとめた。


昨年末あたりから、新聞に「○○市でたらい回し 搬送30件断られる」
「○○市で救急車の受け入れ拒否 患者は車内で心肺停止に」などという、
センセーショナルな見出しが躍った。病院による救急車の受け入れ困難事例、
いわゆる「たらい回し」が起きて患者が死亡する例が、福島市や兵庫県姫路市、
大阪府富田林市、東京都清瀬市など、全国各地で立て続けに報道されている。

 崩壊へ向け、数年前からゆっくりと回っていた救急医療の歯車は、ここへ来て急激に加速している。

原因はリソース不足だが・・・

 なぜ受け入れ困難事例が生じているのか。
その原因が、人手などの医療資源の不足にあることは明らかだ。

 救急搬送の件数は著しく増加している。
消防白書によると、1997年に全国で334万2280件だったのが、
2006年には489万5328件(46.5%増、ヘリ搬送含む)にまで増えた。
一方、受け入れる側の病院の医師数はというと、厚労省の「病院報告」によれば、
「病院常勤医」の数は97年に13万4124人で、06年は14万5813人(97年比8.7%増)と、
患者数の増加に明らかに追い付いていない(図1)。
病院には救急患者を受け入れる余裕がなくなっている。

患者が増えている要因は幾つもあり、主原因はこれと特定できるようなものはないが、
夜間の需要が増加していることは確かだ。
そして、軽症でも夜間に救急外来に行けば診てもらえるため、
コンビニ感覚で夜間救急を訪れる患者が後を絶たない。

 こうした事態が、救急医療の中心を担う2次救急医療機関で起き、
2次の病院は軒並み患者を受け入れられなくなる。
そして、緊急度の低い患者が3次医療機関にも流れた結果、
3次は、本来の役目である「高度な医療が必要な重症患者」の受け入れをできなくなってしまう。
これが、受け入れ困難事例が起きる大きな流れだ。

 このことは、一般の人たちの間にも理解され始めている。
今年に入り、新聞や雑誌で救急現場の窮状を報じる記事が増えているためだ。
しかし、問題は単なるリソース不足では済まされない。
その奥には、難しい問題が幾つも横たわっている。

救急の問題は在宅医療の問題

 救急医療を阻害する要因は図2のように多岐にわたり、それぞれが絡み合っている。
例えば、病院が受け入れを断る理由の1つに「満床」がある。
この背後にある重要な問題として指摘されているのは、高齢者の救急搬送だ。
特に、超高齢者が、自宅や高齢者住宅、特別養護老人ホームで急変した場合、
2次や3次の救急医療機関に救急車で運ばれてくるケースが多い。
これが、「満床」を発生させる大きな要因となっているのだ。
高齢者は総じて基礎疾患を多く持つために検査や処置などが多くなり、回復にも時間がかかる。
人工呼吸器を装着し、ICUでの手厚い管理となるケースも多い。
結果として、救急病院のベッドと医師を長期間「占拠」することになってしまうのだ。
この問題は、救急医の多くが口にする。

 「末期の高齢者は、提携施設や在宅医療の現場で、かかりつけ医がきちんと面倒を見てほしい。
高齢者の急変は、ある程度想定される事態であり、対応の予測も付くはずだ」と、
ある救命救急センターの医師は語る。「しかし、『高齢者の命を切り捨てるつもりか』
と非難されかねないため、搬送を控えてくれなどと、誰も声を大きくして言えない」と続ける。

 それでも、後方支援病床があれば、そちらに移送することでベッドを空けることができる。
しかし、病床削減や在宅医療推進の流れの中で、そのような施設は減少している。
現在、65歳以上の高齢者の搬送は全体の45.1%(消防白書平成19年版)を占め、
今後はさらに増えると予想される。加えて、病床の再編が進み、医療が手薄な施設が増え、
受け入れに難渋したり、看取りができない事例が増えそうだ。
在宅医療を早急に整備しなければ、救急医療は破綻する。

訴訟リスクは高まるばかり

 ベッドや医師が足りないだけではない。医師が、救急医療そのものを敬遠するようになっている。
その大きな要因となっているのが、訴訟リスクの増加だ。

 救急医療は訴訟の火薬庫と言ってもいい。
家族は急変に戸惑い、心の整理が付かず、怒りと責任追及の矛先を医療者に向けがちだ。
適切な処置を施したと考えられるケースでも、医師が刑事訴追される場合さえある。

 しかも、訴えられるだけでなく、敗訴する場合さえある。
例えば、専門外の疾患を診た日直の若手医師が、治療のできる病院へ転送手続きを取っている間に
患者が急変し死亡した場合に、転送が遅れたとして医師が敗訴した判決がある
(07年4月10日神戸地裁判決、下の「判例1」参照)。
あるいは、専門外の応急処置をしようとしてできなかった2次救急医療機関の医師が、
敗訴したという判決もある(03年10月24日大阪高裁判決、「判例2」参照」)。

 「以前なら、医師は専門外でも設備が不十分でも何とか受け入れ、できるだけの処置をやろうとした。
しかし今は、“そんな危険なことに首を突っ込むなんて”と受け入れを控える風潮が、
少なからず広がっている」(2次救急医療機関の勤務医)。

 どんな背景の患者が来るか分からないという心理的な負担。
そして、受け入れを断った病院は訴えられず、頑張って受け入れた病院が訴えられるという理不尽。
こんな要因が重なっていれば、救急が敬遠されるのも無理はない。

【判例1】 64歳の男性が、日曜日の昼に独歩で加古川市民病院(兵庫県加古川市)に来院。
日直していた約5年目の消化器内科医が診察し、心電図などから心筋梗塞と判断。
PCIのできる病院に転送しようとするも、転送の要請を行ったのは診断から約70分後。
そして転送の際に患者は急変し、死亡した。
被告医師は、転送の要請が遅れたのは、当日が日曜日で転送先の人員体制が手薄であり、
「心電図や血液検査などの可能な検査結果を添えて送ることが
転送時の配慮として求められていたため」と主張した。
しかし、判決は「そのような配慮が求められていたとはいえない」とし、
患者の死亡と転送遅れの因果関係を認めた上で、市に3900万円の支払いを命じた。

【判例2】 交通事故で38歳の女性が、午後4時ごろ、奈良県立五條病院(五條市)に
救急車で搬送されてきた。脳神経外科医が診察に当たり、
特に緊急な措置を要する異常はないと判断し、経過観察としていた。
しかし3時間後に容体が急変、心臓マッサージや気管内挿管などを施したが効果なし。
医師は外傷性心タンポナーデを疑い、ならば心嚢穿刺によって症状が改善できると考え、
超音波エコーなしでの穿刺を試みたが果たせず。患者は午後8時に死亡した。
胸部エコーや心嚢穿刺は脳神経外科医の専門外だが、
裁判所はそれらを適切に行わなかったとして医師の過失を認め、県に約4900万円の支払いを命じた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/200803/505741.html

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2008/5/23(金) 午後 9:27 [ モグパパ ]

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