うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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昨日の大野病院事件の判決に関しては、
多くのコメント・ご賛同のほど、本当にありがとうございました。m(__)m
これでマスコミ報道の風向きが変わるといいのですが…

ただ、喜んではいられません。
各社の社説の多くは、『早期の医療安全調査委員会の創設を!』一色です。

『事故の真相究明・再発防止』はわれわれも望んでいます

朝日新聞の遺族団体の永井氏の発言にある、
「事故の真相究明を公正で中立、正確に調査する第三者機関を早く作るべきだ。
それを実現するために医療界はもっと自浄作用や透明性を高めて欲しい」
という内容は真摯に受け止めます。

しかし、その『第三者機関』は『厚生労働省の第三次試案による医療安全調査委員会設置』では、絶対にいけません。

http://www.doctor2007.com/iken1.html
http://blog.m3.com/nana/20080408/1

その理由は
1、調査報告書が刑事・民事訴訟の証拠として使用できるのですから、
 『正直な告白』は不可能であり真相は決して明らかに出来ないこと。
2、遺族の告発や警察の独自捜査への歯止めが無いこと
3、厚生労働省が医療事故の調査権、医師の行政処分・刑事告発の権限を一手に握ることにより、
 厚労省の意向には逆らうことが出来なくなる。
4、病理医・法医学者は絶対的に不足している上に、
 大綱案第32に記載されているように、届け出をしないと罰則を科されるのですから、
 報告数が年2000件で済むわけがなく、調査委員会が迅速な原因究明を行なう事は絶対に不可能。
などにより、木ノ元先生の懸念のごとく
日本の医療は崩壊どころか完全に沈没してしまいかねません

産科医無罪 医療安全調査委の実現を急げ
(8月21日付・読売社説)
 医療事故の原因究明や責任追及は、どのような形で行われるべきか。
それにひとつの答えを出した判決とも言えよう。

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、
執刀した産婦人科医が逮捕・起訴された事件で、福島地裁は被告の医師を無罪とした。

 女性は、子宮に癒着した胎盤をはがす処置で大量出血し、亡くなった。
検察と警察は、胎盤をはがさずに子宮ごと摘出するのが「医学的準則」だった、
として業務上過失致死罪などに問うた。

 しかし判決は、「医学的準則」とは
同じ場面に直面した医師のほとんどが選択するものでなければならず、
今回のケースはその証明がない、とした。
医学的見解が分かれる中で刑事責任を追及した捜査当局への批判が読み取れる。

 事件が医療界に与えた衝撃は極めて大きかった。
医師が逮捕された後に、全国で多数の病院が出産の取り扱いを中止した。
医学生は産科のみならず、外科など命にかかわる手術を行う分野を避けるようになった。

 そもそも、医師を逮捕までする必要があったのだろうか。疑問を禁じ得ない。

 まだ1審であり、医師の無罪が確定したわけではない。
だが、医療事故に関して、警察がいきなり捜査に入る現状は危うい。

 刑事責任を問うべきほどの事案かどうかは、まず中立的な専門機関で判断した方がいい。
厚生労働省が検討中の「医療安全調査委員会」の創設を急ぐべきだ。

 厚労省の構想では、医療安全調査委は中央と地方ブロックごとに設ける。
メンバーは医師だけでなく、法律家や他分野の有識者も加え、中立性を図る。

 予期せぬ形で患者が死亡した場合などに、医療機関から調査委への届け出を義務づけ、
遺族からの調査依頼も受け付ける。調査委は個人情報に配慮しつつ報告書を公表し、
再発防止策を提言する。

 故意や重大な過失、カルテの改竄(かいざん)といった悪質な事例のみ、警察に「通知」する。
警察は調査委の判断を尊重し、通知の有無を踏まえて対応する。

 調査委構想は法案化目前まで煮詰まってきた。
ところが医療界の中に、警察に通知する仕組みがある限り反対するとの声が強く、足踏みしている。

 悪質な事例を通知するのは当然だろう。
犯罪の可能性があるのに通知しないのならば、
調査委ができたとしても、警察が直接捜査に乗り出す状況は変わるまい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080820-OYT1T00869.htm

われわれは、『故意や、カルテの改竄』を警察に「通知」することには反対していません。

『悪質な過失』の定義があいまいで警察の意向しだいでどうにでもなることに反発しているのですがね…

警察は調査委の判断を尊重し、通知の有無を踏まえて対応する。

尊重しなくても良いのです。
罰則も縛りも法的に無いのですから…

全く理解できていないようです…

社説:帝王切開判決 公正中立な医療審査の確立を
毎日新聞 2008年8月21日

 4年前、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故で、
福島地裁が業務上過失致死罪と医師法違反に問われた執刀医を無罪とした。
医師の裁量を幅広くとらえ、「過失はなかった」とする判断である。

 「癒着胎盤」という極めてまれな疾患に見舞われたケースだが、
判決は手術中の大量出血のおそれを予見したり、
手術方法の変更によって「結果回避の可能性があった」と認定した。
刑事責任は認められないが、最善の医療ではなかった、とも読み取れる内容だ。

 事故は産婦人科の医師不足が深刻化する中で起きたため、
医師が萎縮(いしゅく)すると懸念する声が医療界に広がり、
福島県警の捜査で産婦人科離れが加速した、と指摘された。
日本産科婦人科学会などは「通常の医療行為で刑事責任を問われたのでは医療は成り立たない」
と執刀医の逮捕、起訴を批判した。

 しかし、こうした考え方が市民にすんなり受け入れられるだろうか。
医師の資質を疑いたくなるような医療事故が繰り返されており、
医療従事者の隠ぺい体質や仲間意識の強さ、
学閥を背景にしたかばい合いの常態化などを考慮すれば、慎重な調査、検証は欠かせない。
県警が異例の強制捜査に踏み切ったのも、社会に渦巻く医療への不信を意識したればこそだろう。

 もちろん、警察権力は医療にいたずらに介入すべきではない。
刑事責任を追及する対象は、明らかな犯罪行為や常識からかけ離れた医療行為などに限定すべきだ。
経験や技量の不足に起因するものは、民事上の損害賠償で償ったり、行政罰に処するのが先決だろう。
結果として患者を死に至らしめたとしても、
懸命に救命を図った医師に手錠をはめることが社会正義にかなうとも考えにくい。

 多発する医療過誤訴訟に対応するためにも、
公正中立な立場で、医療行為の適否を判断するシステムが求められる。
日本産科婦人科学会も提言しているように、第三者による専門機関の設置が必要だ。
厚生労働省も医療安全調査委員会の新設を目指しているが、
先進諸国には法医学者が役割を担っている例もある。医師が主導することが望ましい。
医療現場に司直を踏み込ませたくないのなら、なおさら設置を急ぐべきだ。

 カルテやレセプト(診療報酬明細書)の開示の徹底など
開かれた医療の実現が前提条件となることは言うまでもない。
判決は、医師に警察署への届け出を義務づけている「異状死」に、
患者が診療を受けている疾病で死亡した場合は該当しない、との判断を示したが、
事故死については第三者の判断を仰ぐべきだ。
医師は事故を隠さず、患者側には納得のいく説明を尽くす。
それが医療の信頼回復にもつながるはずだ。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080821k0000m070147000c.html

さすが毎日…

医師の資質を疑いたくなるような医療事故が繰り返されており、医療従事者の隠ぺい体質や仲間意識の強さ、学閥を背景にしたかばい合いの常態化

常態化とまで思っている国民が、遺族団体以外に居るのでしょうか?
ご意見頂ければ幸いです。m(__)m


http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808202041015-n1.htm
【視点】無制限に医師の裁量を認めるものではない 大野病院事件
産経ニュース 2008.8.20 20:37

 手術中に医師が最良と判断した手法で患者が死亡した場合、
医師個人は刑事責任を問われるべきか−。
福島県立大野病院事件で、福島地裁は、臨床の場で通常行われる水準で医療措置をしていた場合、
罪は問えないとの判断を示した。

 判決は、医療行為を「身体に対する侵襲を伴うものである以上、
患者の生命や身体に対する危険性があることは自明」と表現。
結果責任だけが問われる医療関係者から上がる「リスクの高い医療はできない」
などの切実な叫びをくみ取った結果が、今回の無罪判決といえる。

 だが、判決は、K医師の医療行為と女性死亡の因果関係を認めた。
大量失血も予見できたとしたうえで、検察側が指摘した通り、
癒着胎盤の剥離を中止して子宮を摘出していれば、最悪の結果を回避できた可能性を指摘した。

 公判で弁護側の証人に立った産婦人科の権威らが「一切過失はない」と言い切る姿は、
国民に「医者のかばい合い」と映ったに違いない。

 今回の事件を契機に、医療事故調査専門の第三者機関、
いわゆる医療版事故調を設置しようという機運が高まっている。
だが、医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、
事故調が事故原因究明や公正な判断を下せなくなるのでは、
と懐疑的な見方が出てきても仕方あるまい。

 今回の判決は「適切な手術」という前提付きで、医師の裁量を認めた。
医療界は、なおいっそうの注意義務と医療を受ける患者、
家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。
(小野田雄一)


患者側には納得のいく説明を尽くす。

家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。

まずは、それが許される時間的な余裕が欲しいものです。

医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、事故調が事故原因究明や公正な判断を下せなくなるのでは

全く逆で、刑事責任を問われるのなら、事故原因究明や公正な判断はできないはずですが…
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/24646103.html

閉じる コメント(9)

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医者個人が矢面に立たされ起訴なんかされる現状を変える制度なら賛成です。もちろんはっきり能力のない場合もあるでしょうから、何もないよりはいいんじゃないですか?
家族が納得するかは理解度など相手の知的レベルもあるので頑張って欲しいけど100%はムリですね。
今回だって他の医者を薦められたのに「遠い」って理由で患者が断ったと聞きました。もし本当ならそれをサポートするのがだんなさんやお父様の役目で、亡くなってから訴えるのが役目じゃないはずです。

2008/8/22(金) 午後 1:21 [ kkk*140 ]

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開妻さん、コメント有難うございます。
>中立的立場のカウンセラーが医師サイド、患者サイド心のケアをすること
これは最も大事ですよね。
それさえできれば、他は何も要らないかもしれません。
無過失保険や、社会からの支援も大事です。

>あくまで、原因追及と、医療の向上につながる機関であってほしい
それはわれわれも願うところですが、そのことと責任追及は両立しません。

>日常の現場で、信頼関係を築くコミュニケーションをとること
も非常に大事ですが、
急な状況の悪化を、患者さんや家族が受け容れられないのが医療訴訟の大きな理由です。
それまで十二分に説明を尽くしていても、結果が悪かった瞬間に
一変してしまうことも多々あります。
難しい問題です…

2008/8/22(金) 午後 5:20 さすらい泌尿器科医

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kkk*140さん、コメント有難うございます。
>医者個人が矢面に立たされ起訴なんかされる現状を変える制度なら賛成です。
それならわれわれも賛成ですが

>何もないよりはいいんじゃないですか?
今の厚労省案では、医療崩壊・萎縮医療を加速させるだけです。
もっともっと議論してから作るべきです。

>今回だって他の医者を薦められたのに「遠い」って理由で患者が断ったと聞きました。
その噂は私も耳にしています。
本当なら、あきれますね。

2008/8/22(金) 午後 5:31 さすらい泌尿器科医

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うろうろ先生、ご指導ありがとうございます。
鍵コメで書いてしまったため、その後、削除する以外に鍵をはずすことができないようで、そのままにしております。
自分のブログの記事の方にも書きました内容です。

私にとって「うろうろドクター」は「いろいろ(教えてくださる)ドクター」でもあります。
これからもよろしくご指導のほど、お願いいたします。

2008/8/22(金) 午後 7:37 かいつま(開 妻)

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開妻さん、そうなんですよ。
内緒コメントの返事をナイショにできない…(笑)
開妻さんの方の、ゲストブックにコメント書くくらいしか…

こちらこそ、これからも宜しくお願いします。m(__)m

2008/8/23(土) 午後 3:06 さすらい泌尿器科医

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貴重なアドバイスありがとうございます。
また、私のブログにコメありがとうございました♡

本来であれば、先生がおっしゃるように、グリーフケアやカウンセリングは事故調と切り離してほしいのですが、あえて私が事故調の中にカウンセリングを入れたのは、事故調査委員会の中に組み込まないと、たとえば「調査中のことに関しては話してはいけない」などの制限が入るのではないかと危惧いたしました。
肝心の部分に触れることを許されないまま心のフォローをしなければならないのは本末転倒です。
いずれにしても、グリーフケアやカウンセリングを行い、心に寄り添っていく第3者の存在が保障されることを強く望みます。
また、ご家族だけでなく、当事者の医療者にもカウンセリングをしていってほしいと思います。

・・・という意見を、どのようにしたら政府に働きかけることができるのでしょう・・(^^;)?

2008/8/23(土) 午後 4:03 かいつま(開 妻)

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開妻さん、重ねてコメント有難うございます。
>事故調査委員会の中に組み込まないと、
>たとえば「調査中のことに関しては話してはいけない」
>などの制限が入るのではないかと危惧いたしました。
どうなのでしょうね?
事故調に組み込んでも、調査中のことをペラペラしゃべってもいけないような気がしますし、

開妻さんも仰るように、基本的には
>心に寄り添っていく第3者
ですから、詳しい事故の情報は必ずしも必要ではないのでは?と考えています。
(基本的には遺族の悲嘆の聞き役ですからね)

2008/8/25(月) 午後 5:56 さすらい泌尿器科医

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>また、ご家族だけでなく、当事者の医療者にもカウンセリングをしていってほしいと思います。
同感です。
無罪判決が出ようとも、加藤先生の辛い時間は帰ってきません。

>どのようにしたら政府に働きかけることができるのでしょう
とりあえず、こちらですかね。
(まだ終わってなかったみたいです)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495080050&OBJCD=100495&GROUP

厚労省はまったく聞く耳持っていませんので、
こっちの方がまだマシでしょうか?

首相官邸ホームページ・ご意見募集
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

2008/8/25(月) 午後 5:58 さすらい泌尿器科医

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ありがとうございます。さっそくメールしてみました(^^;)

2008/8/25(月) 午後 10:00 かいつま(開 妻)

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