うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

全体表示

[ リスト ]




<妊婦死亡>産科医「頭部疾患伝えた」
10月22日23時28分配信 毎日新聞

 妊娠中に脳内出血を起こした東京都内の女性(36)が
都立墨東病院など7病院に受け入れを断られた後に死亡した問題で、
最初に女性を診察した江東区の「五の橋産婦人科」の医師が22日夜、記者会見した。
「(受け入れを要請した)墨東病院の当直医に(女性は)頭が痛くて痛くて
七転八倒しているニュアンスを伝えた」と証言し、
「脳内出血が疑われる症状は伝わらなかった」とする墨東病院の説明に反論した。

 会見したのは、塩野結子(ゆうこ)医師(38)。
会見は遺族の同意をもとに開かれ、川嶋一成院長と小西貞行弁護士が同席した。

 塩野医師によると、女性は初めての妊娠で定期的に検診を受け、妊娠35週と4日目だった。
4日午後6時に夫から「下痢とおう吐があり、食中毒かもしれない」と電話があり、
救急車で来院するよう伝えた。救急車は同52分に医院に到着し、
夫は「自宅に救急車が着く直前に『頭が痛い』との訴えがあった」と話し、
本人も頭痛を訴えたという。

 採血と超音波で妊娠によるトラブルがないことを確認したが、
頭痛が尋常ではなかったため、電話で墨東病院に受け入れを要請。
詳しい症状を伝えたが「1人当直なので受け入れられません」と断られたという。

 塩野医師は「脳内出血を疑ったからこそ、脳神経外科と産科のある病院に連絡をした。
ただ、電話で『脳出血』とは言っておらず、伝え方が悪かったかと言われれば
真しに受け止めるが、頭部に疾患があることは伝えた。
急いでいる状態を察していただきたかった」と話した。

 これに先立ち、墨東病院を運営する都の及川繁巳・病院経営本部経営企画部長は
都庁で記者会見し、「(塩野医師から当直医が)頭痛があると聞いていたが、
脳内出血が疑われるとは伝わらなかった」と釈明した。【川上晃弘、町田徳丈、木村健二】
こういう「言った」「伝わらなかった」という話は、よくトラブルの元となります。
あまりその点を追及しても、建設的な議論にはなりません。

墨東病院の産科の先生方は(4人とも6人とも諸説ありますが)、その激務ぶりを発表した方が良いかもしれません。

去年の、『奈良県立医大病院がHPで経緯説明』のように。

問題なのは、「総合周産期母子医療センター」の看板を降ろしてなかったのに、
(いろんな『大人の事情』があるのでしょう…、人数的には看板を掲げ続けるのは無理でしたからね)

「1人当直なので受け入れられません」

という事態を招いてしまった、東京都の医療行政の問題であり、
全国的な産科医不足から起因するものです。

今日発売の週刊文春でも、(「たらい回し」「受け入れ拒否」のオンパレードで腹立たしいですが)
墨東病院の総合周産期センターが崩壊寸前にあるという現実は、
すでに地元医師の間では認識されていた。
「昨年11月ごろから、病院と地元医師会とのあいだで
墨東病院の人員不足が深刻であるという問題が話し合われていた。
医師会は東京都に、区東部ブロックの産科医療をどうにかして欲しいと質問状を出したが、
都は返事もしないし、主体的に動いてもくれなかった(医師会関係者)」
とあります。

都の『病院経営本部経営企画部長』も苦しい言い訳をしていますが、
満足な予算も与えられずに、『医師を集めろ』といわれていた立場で、
予算を決める権限など無いでしょうから、
彼をバッシングしても問題は解決しません。

石原東京都知事は
「もともとあってはならないことだけど、残念ながら東京に限らず、あちこちで頻発している。
東京は比較的、そういう病院が整備されている。そのためにER(救急医療)を作ったんですけどね」
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann/20081022/20081022-00000013-ann-soci.html
と発言していますが、あなた以外に今回の『受け入れ不能』を防げた人物はいません。

また、ER(救急医療)があれば、すべて解決されるわけではありません。

大バカな朝日の社説です。
もう一つ大切なことは、
全く別々に運用されている産科の救急と一般の救急の連携を強めることだ。
産科の救急で受け入れ先が見つからないときは、とりあえず一般の救急部門で受け入れる。
そうした柔軟な発想が必要だ。

 医師不足を解消する努力はむろん大切だが、
病院や医師の間で連携に知恵を絞ることはすぐにでもできる。 
http://www.asahi.com/paper/editorial20081023.html

産科以外の医師には、産科救急を扱うのは不可能です。

大人の急病やケガとは違うのです。
この訴訟社会に、こういう現実を無視した発言を社説として載せることは許せませんね。

このままでは、こんな話が日常茶飯事になる日も遠くないかもしれません…
http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php

「医療崩壊(産婦人科)」書庫の記事一覧

閉じる コメント(16)

顔アイコン

朝日新聞、すごいですね〜。
現状の認識がまるでできてない!しかも社説。

2008/10/23(木) 午後 0:17 [ rec**rdb*na2*04 ]

顔アイコン

産科以外の医師が産科救急を扱えるぐらいなら、看護師が産科の内診しても問題ないんじゃないの?

2008/10/23(木) 午後 1:32 Wagon the 3rd

顔アイコン

朝日新聞は残念ながら現場を無視というか知らないのに、記事にさもありなんと書いているように見受けます。過去にも腹ただしく感じる記事を見て、それから朝日新聞は見なくなりました。両方の立場からの記事を書けばいいのにね。

2008/10/23(木) 午後 3:27 mas*nn*614

顔アイコン

rechardbona2004さん、コメント有難うございます。
本当に現状を理解していない社説です。

読売も相変わらずですけどね。
>背景には、深刻な医師不足と、必要な医師が計画的に配置されていない現状がある。それが最も顕著な分野が産科と救急だ。

>読売新聞は先日公表した医療改革案で、医師を計画配置するとともに、きちんと機能するERを全国400か所に整備することなどを提言した。国や医療界は本気で検討し、取り組んでほしい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081022-OYT1T00782.htm

2008/10/23(木) 午後 5:04 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

Wagonさん、その通りです。
ダブルスタンダードもいいところです。

2008/10/23(木) 午後 5:06 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

mas*nn*614さん、本当にこんな現場を無視した記事は腹立たしいです。
朝日もそうですが、読売も日経も腹立たしい記事が多くて
読める新聞がありません…

2008/10/23(木) 午後 5:08 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

nyamaju先生、実際のやりとりはどうだったのですかね。
医師同士が直接話していないという噂もあります。

2008/10/23(木) 午後 5:13 さすらい泌尿器科医

初めまして、ヘッドラインから来ました。
あの地域は、もう何年も前から崩壊しています。今回は産婦人科がクローズアップされてますが、当該科は脳外科、脳外科は特に不足しているので、産科と両方と言うととても困難だった状況がわかります。
マスコミの批判は腹立たしく思いますね。
最大なるクレーマーであり、モンスターであり、医療崩壊を招いた当事者が、他でもないマスコミだと思います。

2008/10/23(木) 午後 5:35 あい

顔アイコン

あい先生、はじめまして。
確かにあの地区は東京都内でも崩壊は激しい地域ですよね。
頑張っている墨東病院をバッシングして、病院自体が崩壊したらどうするのでしょうか…

>医療崩壊を招いた当事者が、他でもないマスコミだと思います。
まったくです。
決して反省することはないのですが…

2008/10/23(木) 午後 6:11 さすらい泌尿器科医

朝日新聞朝みて・・・ビックリしました。
何も知らない方が書かれたにしても・・・
しかも社説ですよね・・・チトお粗末・・・

夜間・土・日・祝は何処の病院もぎりぎりの人数を何とか確保し、
頑張っているのに・・・と思ってしまいました。

2008/10/23(木) 午後 6:53 きんぎょ

顔アイコン

きんぎょさん、コメント有難うございます。
本当にお粗末な社説ですよね。
しかし、国民の多くはそのまま鵜呑みにしてしまいますよね…

>夜間・土・日・祝は何処の病院もぎりぎりの人数を何とか確保し、
>頑張っているのに・・・
休日・夜間を3交替(2交替)にして、
何時来るか解らない急患に備えている病院など、
日本には存在しませんよね。

もちろん、それが許される診療報酬体系ではありませんし、
医療者の数も絶対的に不足していますが…

2008/10/23(木) 午後 7:02 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

こんばんは。
マスコミの見解とは別に私は業界内(産科医内)で別の事が起きる心配をしています。
墨東病院側と診療所側の意見の相違がエスカレートすれば、病院(受ける側)と診療所(お願いする側)の対立が進みかねないかと心配です。もともと病院の先生のなかで診療所(開業医)を良く思っていない方は結構いると思います。恥ずかしながら私も勤務医時代はそうでした。ただ、開業医にも色々ですが、良く実態を理解するとそれは誤解ということも分かりました。双方の理解を更に進めないと「開業医では分娩をとるな」なんて業界内でなりかねません。搬送を受ける側(病院)はとても大変です。かといって開業医を全部潰したら病院はもっと大変です。
今回の悲劇ははっきり言って行政のミスです。

2008/10/23(木) 午後 9:10 [ bei**252*25 ]

顔アイコン

直接的には行政の不作為、
間接的にはマスゴミのミスリード。
第一権力であるマスゴミのミスリードは万死に値すると言わざるを得ないですね…

朝日の社説は読んでいませんがブログ主さんのエントリを拝読して本当に怒りを覚えます。
なにが「社会の木鐸」か。
反論できない者を叩いてるだけで、
「社会を木鐸」にしてるくせに。

2008/10/23(木) 午後 10:35 [ oyunam ]

顔アイコン

beiow先生、コメント有難うございます。
>墨東病院側と診療所側の意見の相違がエスカレートすれば、
>病院(受ける側)と診療所(お願いする側)の対立が進みかねないかと心配です。
確かにそうですね。
五の橋病院側の会見は、重症感が伝わらなかったことの責任転嫁は仕方ないとしても、
遺族側のメッセージを読むのはどうかと思いました。

ssd先生も仰るように
http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=2466
別に五の橋病院側に非がある訳ではないのですから
こんな「水掛け論」をする必要はないのです。

大淀病院事件で搬送元の病院がさんざんに叩かれたトラウマがあるのは解りますが、
こんな発言をして、今後母体搬送を地域の病院は受けてくれるのでしょうかね?

2008/10/24(金) 午後 2:43 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

oyunamさん、コメント有難うございます。
>直接的には行政の不作為、
>間接的にはマスゴミのミスリード。
本当にそうですね。

>反論できない者を叩いてるだけで、「社会を木鐸」にしてるくせに。
まったくです。
木鐸にされるのも疲れましたね。

2008/10/24(金) 午後 2:46 さすらい泌尿器科医

顔アイコン

man

2009/5/23(土) 午後 3:32 [ man ]

開く トラックバック(1)


.
さすらい泌尿器科医
さすらい泌尿器科医
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログバナー

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事