うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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兵庫・尼崎医療生協病院:研修医、血管に傷 35歳女性が死亡
毎日新聞 2009年1月8日 大阪夕刊

 兵庫県尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年12月、肝硬変で入院した市内の女性(35)の腹水を抜いた際、男性研修医が女性の血管を傷つけ、女性がその後、出血性ショックで死亡していたことが8日、明らかになった。同病院は「患者は重度のアルコール性肝硬変で状態が悪く、出血は偶発的なもの」としているが、「病状の悪化を招いたことは事実」とし、遺族に謝罪したという。

 同病院によると、手術は昨年12月4日午前、主治医の立ち会いの下、男性研修医が女性の腹部にたまった水を出すため直径約1・7ミリの針を刺した。1度目では水が出なかったため2度刺したという。女性は同日夜から針を刺した腹部が皮下出血で赤くなり容体が悪化。同16日、出血性ショックで亡くなった。【幸長由子】
http://mainichi.jp/kansai/news/20090108ddf041040025000c.html

まずは、お亡くなりになった女性のご冥福をお祈りいたします。m(__)m
しかしまあ、35歳にして

患者は重度のアルコール性肝硬変で状態が悪く…

この時点で(家族を含めて)、私はお近づきにはなりたくないですね。

『肝硬変』という病気は
血液中の血小板が減少し、出血傾向を示す病気です。
そして、
「針を刺す」という医療行為には出血する危険性が伴います。
その2つが合わさって不幸な結果となったのです。

もちろん、穿刺に1度失敗したのは事実です。
ただ、残念ながらすべての医療行為を1回で成功させるのは、神様以外には不可能です。

不幸にして起きた『合併症』をマスコミが『医療ミス』として糾弾し続けるのなら、医療は崩壊するしかないでしょう…

私はミスを『1度でも』したらマスコミに『医療過誤』と書きたてられる環境では、リスクのある治療は出来ません。


萎縮医療が一段と進むかもしれません…

「腹水を抜かずに、腹が張って苦しがるのを放置しておけば、こんな目に合わなかったのに…」とは思いませんか?


尼崎医療生協病院、医療過誤で女性死亡
2009.1.8 01:50 MSN産経ニュース

 兵庫県尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年12月、肝硬変で入院していた同市内の女性患者=当時(35)=が、腹水を抜く際に誤って針で血管を傷つけられたことが原因で亡くなっていたことが7日、分かった。病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。

 同病院によると、女性は昨年11月27日に入院。12月4日午前10時ごろ、主治医が立ち会い、男性研修医が腹部にたまった水を抜き出すため、針(直径約1・2ミリ)を左下腹部に刺した。1度目では水が出ず、2度針を刺したという。

 女性は同日夜から針を刺された下腹部が皮下出血で赤くなり、出血が止まらなくなるなど容体が急変。6日から病院側は輸血を開始したが、16日に女性は亡くなった。死因は出血性ショック死だった。

 病院側は「1度目に針を刺したときは出血は確認できなかった」としているが、この際に血管を傷つけた可能性が考えられるという。

 島田真院長は「主治医も立ち会っており、態勢に問題はなかったが、肝臓が悪いため出血しやすい状態だったなど危険性をしっかりと説明するべきだった。このようなことが2度とないよう取り組みたい」としている。

 女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。どんなに苦しかったのだろう。もっと生きたかったはず。あの病院にさえ行かなければ」と怒りを抑えきれない様子で話している
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090108/crm0901080151003-n1.htm

Dr.I先生の記事や、
Yosyan先生の記事も合わせてご覧下さい。



追記です。
尼崎医療生協病院の発表全文です。
http://www.amagasaki.coop/byouin/index.shtml

患者様、組合員様、地域の皆様へ 
尼崎医療生協病院での医療事故報道について 
2009年1月9日  尼崎医療生協病院  院長 島田 真

 2009年1月8日、新聞・テレビ等で尼崎医療生協病院での医療事故報道がされました。2008年11月27日に入院された重度の肝硬変の患者様に対し、診断と治療の必要性から12月4日に腹水穿刺を行いました。その後、肝硬変からくる極度の凝固機能低下があり、穿刺部周辺の腹壁内に出血を認め、12月6日より輸血、止血処置などを試みましたが、その他の部位からの出血も加わり、12月16日に出血性ショックにより死亡された患者様に関するものでした。 

 尼崎医療生協病院は不幸にもお亡くなりになられました患者様、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様には、これまで同様誠実な対応を継続して参ります。

 今回の医療事故報道を見られた地域住民の皆様、尼崎医療生活協同組合の組合員、患者の皆様には大変ご心配をお掛けしました。

 現在尼崎医療生協病院では、この患者様の経過に関する医学的な検討を集団的にすすめており、現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが、今回の診断と治療が適切であったか、インフォームドコンセントが十分なされたかなど、今後第三者の専門家を含めた検討の場を持つことにしております。真摯に検討し、今回の教訓を今後の診療に活かしていく所存です。 

 引き続き尼崎医療生協病院は、皆様方の信頼にこたえる診療をめざし職員一同一層の努力をして参ります。皆様のご支援とご協力をお願いいたします。 

閉じる コメント(16)

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この調子だと、合併症の起こりやすい糖尿病の人の治療も難しくなりますね。少しでも合併症の危険のある治療(全部です)は研修医はできなくなりますね。マスコミは、アルコール過剰摂取の危険こそ報道すべきです。メタボ健診については神輿を担いだ記事を書いているのに・・・

2009/1/12(月) 午前 2:46 Wagon the 3rd 返信する

北九州の爪剥がし騒動(あれは事件では無い)の時も思ったのですが、こんな報道ばかりだと本当に何も出来なく、何もしなくなってしまいます。その危険をマスコミは認識しているのか?
当然、否ですよね。センセーショナルな報道が一番の目的ですから…。

2009/1/12(月) 午前 9:40 nekop602 返信する

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亡くなった方には哀悼の意をささげます。

が…

凶悪犯罪加害者には「死刑にするな」とまでのたまう方々(マスゴミ)が、医療過誤については「医者のみが悪い」と言い募るのは…
仕事を放棄しているとしか言えないですね。

この記事にしても少し気を使うだけで印象は変わってきます。
最後に親族の非難の言葉を配置すると、
非難の言葉が問題の全てのような印象になってしまいます。
非難の言葉を文の最初に持ってきて、
病院の対処を次に置けば、
病院側の誠意が伝わる記事になるはずなんですが。

ブログ主さんがおっしゃるように
重度のアルコール性肝硬変
って…
医者が止めるのも聞かずに不摂生した賜物のような気がします。
あるいは女性(35才)でそこまで重度になるということは
アルコール依存症一歩手前、
それに連なる鬱病等の精神疾患があったのではないか。
直感的には年齢的にも仕事盛り、
仕事に伴うストレスが起因のようにも思います。
とすれば逆に家族を責めたくなります。
愛する娘をほったらかしにしていた責めは感じないのですかと。

2009/1/12(月) 午後 6:14 [ oyunam ] 返信する

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年末年始の入院の点滴で炎症を起こしてた血管の痛みも1週間ほどで癒えました
今回の記事の患者さんも、点滴の時に使用する針と似たよう器具で腹水を抜かれのたのでしょうね
しかし、今回の件は、産経新聞電子版が「医療過誤」と報道するのは誤りでしょう。そんな気がします
「なんでもかんでも医療過誤」なのか? まだ、医学的な検証も済んでないのに…
これからは「万が一合併症を起こし死亡しても一切不問」という書類にサインしないと治療してもらえなくなる?
特にマスコミ関係者に対しては…(苦笑)

そもそも、35歳で「重度のアルコール性肝硬変」というのは…
患者さんがどのような生活を送っていたのか分かりませんが、医療素人の私でもあまり余命は長くなかったろうと…(酒を嗜む私も気をつけねば…)
患者さんのお母さんの悲しみは心情としては理解できますが、逆恨みっぽいですね。
(お亡くなりになった患者さんにはご冥福をお祈りします) 削除

2009/1/12(月) 午後 6:44 [ 少彦梛 ] 返信する

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ある程度の確率でおきる不幸な転機に遭遇してしまった研修医さんが、このような報道などによって志を挫かれることなく、図太い一人前になれることを望みます。研修先の病院の力量に期待します。

2009/1/12(月) 午後 7:05 [ へびぱく ] 返信する

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Wagonさん、コメント有難うございます。
>マスコミは、アルコール過剰摂取の危険こそ報道すべきです。
>メタボ健診については神輿を担いだ記事を書いているのに・・・
まったくです。
アルコール過剰摂取は基本的に自己責任ですからね…

2009/1/13(火) 午後 5:36 さすらい泌尿器科医 返信する

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nekopさん、コメント有難うございます。
>こんな報道ばかりだと本当に何も出来なく、何もしなくなってしまいます。
>その危険をマスコミは認識しているのか?
マスコミ関係者が入院したら是非、何もしないでおきましょう…
(といっても、現実的には無理ですね。
目の前に患者さんがいれば、どんなに憎くても助けるでしょうね(苦笑))

2009/1/13(火) 午後 5:41 さすらい泌尿器科医 返信する

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oyunamさん、コメント有難うございます。
>最後に親族の非難の言葉を配置すると、
>非難の言葉が問題の全てのような印象になってしまいます。
その通りですね。
意図的な印象操作なのでしょうが…

>医者が止めるのも聞かずに不摂生した賜物のような気がします。
これらの記事だけで断定するのは不可能ですが、
(家族を含めて)医師の言う事を聞かなかったか、医師にかからなかったか
のどちらかでしょうね…

2009/1/13(火) 午後 5:46 さすらい泌尿器科医 返信する

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少彦梛さん、コメント有難うございます。
>これからは「万が一合併症を起こし死亡しても一切不問」
>という書類にサインしないと治療してもらえなくなる?
このような同意書は法律的には無効だそうです。
告訴を止めるのは不可能だそうです。
(もちろん、十分に説明したという証拠にはなります)

>医療素人の私でもあまり余命は長くなかったろうと…
有効な治療としては(生体)肝臓移植しかないかと…
こんな方にこちらからお勧めする事は決してありませんが…

2009/1/13(火) 午後 5:52 さすらい泌尿器科医 返信する

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へびぱく先生、コメント有難うございます。
今回は実名が報道されないのがせめてもの救いです。

研修医自身もかなりショックを受けていると思われます。
頑張って欲しいものです。

2009/1/13(火) 午後 5:55 さすらい泌尿器科医 返信する

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私の記事を見事に誤読して頂いた
市会議員さんのブログがあります。
http://tsujiyoshitaka.spaces.live.com/blog/cns!ED30C85C44D4F589!1906.entry

是非、ご笑覧下さい。

2009/1/14(水) 午後 1:48 さすらい泌尿器科医 返信する

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市会議員さんからコメントが返されてます。
唖然としました。
将来この市会議員さんを診ることになるお医者さんに同情します。 削除

2009/1/14(水) 午後 8:29 [ DH98 ] 返信する

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このような↑市議会議員さんのいる自治体が経営する病院の医師の方々のほうが不幸ですよ(苦笑)
「病を治すのは自分であり、医師や看護師はその手助けをするに過ぎない」という根本を理解できない人、「病気は医者が治してくれるもの」という発想しか無い方には理解できないでしょう(かつて私もそうでしたが…苦笑)
○○市の皆さん、市立病院の医療に不審や不満があるなら、このような議員さんに相談しましょう
きっと解決してくれます(苦笑) 削除

2009/1/14(水) 午後 9:16 [ 少彦梛(一患者) ] 返信する

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DH98さん、情報有難うございます。
私はそれほど驚きませんでした。
知識不足は仕方ないのです。専門家の意見に素直に耳を傾けることができるなら…

「医療の限界と不確実性」を、これを機に知ってもらいたいものですが…

2009/1/15(木) 午後 9:03 さすらい泌尿器科医 返信する

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少彦梛(一患者) さん、コメント有難うございます。
公明党の議員だそうですから、共産党系の生協病院に
必要以上に敵愾心を燃やしているような気がします。

>「病を治すのは自分であり、医師や看護師はその手助けをするに過ぎない」
確かにそうですよね。
われわれも謙虚でありたいと思います。

2009/1/15(木) 午後 9:06 さすらい泌尿器科医 返信する

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残念ながら、辻先生からの返信は無いようです…
(ブログ記事は更新しているのに…)
仕方ありませんね。

2009/1/18(日) 午後 11:51 さすらい泌尿器科医 返信する

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