うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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どうなる移植医療?

禁止後も中国渡航、臓器移植 NPO「17人を仲介」
2009年2月6日3時1分 朝日新聞
 
 外国人への臓器移植が07年7月に原則禁止となった中国で、日本人への移植が続いていることが患者や仲介者らの証言で分かった。仲介組織の幹部は「禁止後に17人を仲介して移植を受けさせた」と認めた。患者から受け取った費用の中から現地の医師に治療費以外に謝礼を渡し、受け入れてもらったという。 

 中国は国内患者の保護のために禁止したが、臓器提供が極端に少ない日本から患者が渡り続けている構図だ。 

 中国政府は07年5月、臓器売買を禁じる臓器移植法を施行し、7月には、衛生省が全医療機関と従事者に対し、外国人への臓器移植を原則として禁じる通知を出した。外国人でも、中国に住む人は移植が受けられるが、移植のために訪れる人は認められない。 

 関東に住む40歳代の男性は取材に対し、「07年8月に広州の軍関係の病院で腎臓移植を受けた」と証言した。20年近く慢性腎炎を患い、日本では移植が受けられそうにないため、中国行きを決意。大阪府内のNPOに経費として約1千万円を払い、仲介を受けた。男性は、この病院に実在する医師の名を担当医として挙げたが、医師は「具体的な状況は覚えていないが、通知後は原則として外国人に移植はしていない」と否定した。 

 NPOの副代表は「禁止後、腎移植と肝移植で男性を含む17人の日本人を仲介した」と話した。 

 副代表によると、移植を希望する患者から預かった経費の中から、治療費や交通費など以外に中国の医師に1件あたり約200万円の謝礼を払う。中国政府は国内の臓器提供者の9割超が死刑囚だとしているが、副代表は「提供者は分からない」としている。 

 NPOは05年に設立。副代表によると、中国での腎臓、肝臓の移植について患者を病院に仲介しているが、あっせん料などは受け取らず、「仲介は非営利」としている。

一方、男性が帰国後に治療を受けている東京都内の病院幹部は「中国で移植を受けた日本人患者2人を禁止後に新たに受け入れた」と証言した。都内の別の大学病院の医師も昨年、中国で腎臓移植を受けた患者が来院したと話す。 

 厚生労働省によると、日本の臓器移植法は国内か国外かを問わず臓器売買を禁じており、売買された臓器の移植を受けた患者は罪に問われるおそれがある。営利目的の仲介は臓器売買の一種とみなされる可能性がある。(長野剛、広州=小林哲) 
http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY200902050393.html

日本人の臓器移植は「日本で」 突きつけられた現実
J-CAST 2009/1/30

海外に依存する日本の移植医療。その海外から「臓器の自給自足」を突きつけられている。
WHO(世界保健機関)からも「移植される臓器は自国内で提供されるべきだ」との指導指針が出た。

そこで番組は、なぜ海外で渡航移植の制限が広まりつつあるのか、日本で臓器提供が進まない背景に何があるのかを探った。番組を見ての結論は、日本人の死生観を含め、自給自足体制を国民全体で真剣に考える時が迫ってきているということ。

「受け入れ先」ドイツの国内事情

「移植でしか助からないならば、渡航移植は生きる望み」。その最後の望みだった海外での移植に危機感が募っている患者や患者の家族側からの現状を見てみよう。

脳死状態からの臓器提供を認めた『臓器移植法』が施行されて12年たつ。しかし、国内での臓器提供者は少ない。心臓が鼓動していながら脳機能が廃絶状態にある脳死。これが絶対条件の心臓移植を海外で受けた患者数は、法律の施行から昨2008年1月までの間に93人。同時期に国内で移植を受けた患者数60人をはるかに上回っている。

日本からの渡航移植を継続的に受け入れてくれた国はアメリカとドイツの2か国だけだが、そのドイツも今後は受け入れが難しくなりそうだ。

番組が取材したドイツのバードエーンハウゼンにある心臓病センター。10年以上にわたって日本からの患者を受け入れ、すでに15人が心臓移植を受けている。しかし、同病院の院長は最近「医療先進国の日本は外国に頼るのではなく、自分の国で移植すべきだ」と日本の関係者に指摘した。

ドイツでも移植を求めて待機している国内の患者が、臓器提供者の数をはるかに上回ってきたからという。アメリカもまた数年前から、海外からの渡航移植受け入れ枠を半減させている。

心のケアも課題

一方、国内の臓器提供者数は各国に比べて少ない(メモ参照)のが現状だ。法律に定める提供条件が厳しいからという指摘がある。

また法律上の問題のほかに未解決な課題もある。重い決断をし、臓器を提供した家族のケアの問題だ。

番組では、脳内出血で脳死状態になり、臓器を提供した若い女性患者の母親のケースを紹介した。

まだ温かい女性の体から臓器が摘出されている間、外で待ち続けるしかなかった母親は「最後のひと時を一緒に過ごしてあげたかったという願いが叶わなかった。臓器を提供したのが正しかったのかどうか悩んでいる」という。

キャスターの国谷が目を潤ませながらこう言った。「臓器の提供を増やしていこうとするならば、提供する家族の方々が本当に正しい選択をしたと思える環境整備からスタートすることが先決と思いますが……」。

医学上の理屈だけでは解決できない日本人の死に対する考え方、死生観を変えるのは難しい。

番組に出演した科学文化部の平沢公敏記者は国谷の問いに「まさにその通りだと思います。簡単に結論が出る問題ではないからこそ、国民全体で議論するしか解決の道はないと思います」と。

モンブラン

<メモ:臓器提供者の現状>

人口100万人あたりの1年間の臓器提供者数は、最も多いのがスペインの12.5人、日本はスペインの200分の1の0.05人。韓国と比較すると8分の1だ。日本の臓器移植法は、「書面による」本人の意思表示を条件にしている。多くの外国では「本人もしくは家族の同意」あるいは「拒否の意見がない場合は提供」となっているという。また15歳未満の場合、意思表示の有効性が認められていない。臓器移植改正案が国会に提出されているが、まだ本格審議に入っていない。
http://www.j-cast.com/tv/2009/01/30034527.html

先日、脳死移植は国内80例目に達したばかりです。
移植希望者数との開きは歴然としています。
生体腎移植も厳しく締め付けられていますしね…

WHO(世界保健機関)からも「移植される臓器は自国内で提供されるべきだ」との指導指針が出た。

渡航移植の道が閉ざされるのも、仕方がないと私は考えます。
臓器の余っている国などないのですから…

日本人の死生観を含め、自給自足体制を国民全体で真剣に考える時が迫ってきているということ。

その通りです。
しかし、『生を絶対視し、(突然の身内の)死を認められない』日本人の死生観は
そう簡単に変わるとは思えません。

最後のひと時を一緒に過ごしてあげたかったという願いが叶わなかった。

臨終に立ち会えなかったことを悔やむのは、いかにも日本人らしいですよね。
その他にも、遺体が傷ついたり欠けたりするのを日本人はとても嫌いますよね。

キリスト教などの「絶命した瞬間に魂は肉体から分離する」という死生観が
日本で受け入れられる日は来るのでしょうか?


しかも、厚労省・財務省はあくまでも医療費は削減したいと考えてますしね…

閉じる コメント(14)

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一方で、妊娠中絶は日本人の死生観ではそれほど問題にならないのですよね。難しいところです。また、日本人はいざという時には自ら(または近親者)の蓄えに頼り、自らの蓄えがない人は神仏の奇跡に頼りますが、欧米は、寄付(ドネーション)の風習がお金持ちだけでなく一般の庶民まで日常生活に根付いているというのも、移植医療に影響を与えているかもしれません。

2009/2/6(金) 午後 5:55 Wagon the 3rd 返信する

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ドナー表示を運転免許につけるとか、家族より本人の意思を尊重するとかしないとドナーは増えないと思います。
ちなみに、僕が入っている国保のカードの裏には提供意思がある臓器が記されています。
脳死あるいは心臓死になったら、自分の体は有効に使ってもらいたいと考えていた僕ですが、保険証の裏にチェックを入れるまで、意思表示してませんでした。

2009/2/6(金) 午後 6:39 [ へびぱく ] 返信する

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私は臓器提供のカードにサインをして携帯してますが、家族の同意の欄は白紙です。「あんたの気持はわかるけど、お母さんはサインできないわ」と言われました。父も同様でした。実際その時にどうなるかはわかりませんが私の気持ちは知ってもらってます。本当に難しい問題、課題だと思います。

2009/2/6(金) 午後 9:54 mas*nn*614 返信する

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転載させていただきます。

2009/2/6(金) 午後 9:58 [ 丸木寿人&小牧寿人のひとり言 ] 返信する

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欧米は寄付の風習が…
もはやいくつあるのかわからない、いわゆる「○○ちゃんを救う会」
結構な金額が集まるもんだと思ってました(最近は厳しいのかな?)

多少のお金なら出しても良いけど提供はちょっと…
ってことですかね。 削除

2009/2/7(土) 午前 11:20 [ koko ] 返信する

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Wagonさん、コメント有難うございます。
>欧米は、寄付(ドネーション)の風習がお金持ちだけでなく
>一般の庶民まで日常生活に根付いているというのも、
>移植医療に影響を与えているかもしれません。
なるほど…寄付の風習ですか、
臓器とはお金では買えない(普通は売れない)「寄付」ということですね。

日本人には難しいのでしょうか?

2009/2/7(土) 午後 3:19 さすらい泌尿器科医 返信する

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へびぱく先生、コメント有難うございます。
>家族より本人の意思を尊重するとかしないとドナーは増えないと思います。
これが大問題ですよね。
「がん患者の終末期の治療方針」と同じで、
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070226ik04.htm
トラブル回避のためにも、残される家族の意見を優先させてしまいますね…
(「もちろん、本人の遺志が『○○』ですから、そうしましょうよ」とは言いますが…)

法律ででも強制されない限り、反対する家族を押し切れませんが、
強制するのもどうかと思いますし…

2009/2/7(土) 午後 3:25 さすらい泌尿器科医 返信する

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酉水さん、コメント有難うございます。
>「あんたの気持はわかるけど、お母さんはサインできないわ」と言われました。
一般的な日本人の反応ですね。
私だって、妻や子供が脳死状態になった時に、
「移植してください!」と言えるかというと…

2009/2/7(土) 午後 3:28 さすらい泌尿器科医 返信する

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丸木寿人&小牧寿人のひとり言さん、転載有難うございます。

2009/2/7(土) 午後 3:29 さすらい泌尿器科医 返信する

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kokoさん、コメント有難うございます。
>多少のお金なら出しても良いけど提供はちょっと…
>ってことですかね。
そんな感じでしょうね。

ただ、今後は渡航移植は相当厳しくなりますから、
「救う会」の方々も国内世論を動かす方向に
活動を変化させないといけないのではないでしょうか?

2009/2/7(土) 午後 3:33 さすらい泌尿器科医 返信する

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うろうろ先生、ありがとうございます。
この記事、転載させて頂きます。

2009/2/7(土) 午後 3:56 まお 返信する

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まおさん、ご理解頂き有難うございます。

BERRY'S♡RINGさんの元記事が、ブログごと消えてしまいましたが、
どうしたのでしょうか?

2009/2/7(土) 午後 4:02 さすらい泌尿器科医 返信する

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韓国が8倍は古い数字だったと思います。最近は提供者低迷と日本が年平均10数人になった事から4倍程度だったはずです。(日本で5人が10人になるだけでも倍率は半減します)

アメリカなどは高額医療(破産理由でも多い)のため、医療費を割り引くかわりに臓器提供を持ちかける事例もあります。

ここで本人意思尊重を言われる方もいますが、それはもっともですが、問題は小児ではないでしょうか?日本で15歳となっているのは小児の判定が難しい事と法的意思年齢の問題からです。小児判定についてはデータが揃ってきたとし、学会指針を見直す動きがあります。

この手の問題は古い情報や偽情報を元に「法だけ」の問題であるかの様に扱うマスコミなどは対応が不自然です。あくまで医療問題でもあり、それなりに医学的見地を示す義務がマスコミにはあると思います。 削除

2009/2/9(月) 午後 6:55 [ 通行人 ] 返信する

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通行人さん、コメント有難うございます。
アメリカの事情はその通りですよね。
医療費の負担が重いから、臓器提供をせざるを得ないという話ですよね。

そういう縛りのない日本では、突然の死を受け入れられない死生観もあり、
小児の移植は厳しいですよね。

>それなりに医学的見地を示す義務がマスコミにはあると思います。
それが毎度の問題なのですが…

2009/2/9(月) 午後 7:38 さすらい泌尿器科医 返信する

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