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多くの続報記事がありますが、この3つを取り上げさせて頂きます。 <受精卵取り違え>検査技師配置、他業務と兼務で機能せず 2月22日2時34分配信 毎日新聞 香川県立中央病院(高松市)であった受精卵取り違え疑惑で、担当医の川田清弥医師(61)の要望で実現した複数の検査技師の配置が、他業務との兼務などで有効に機能していなかったことが分かった。川田医師は21日、毎日新聞の取材に「受精卵の凍結保存や顕微授精で、作業範囲が広がったため」と要望の理由を説明。しかし1人での作業は解消されず、体制の不備がミスにつながった可能性がある。 病院によると、要望を受け02年以降、複数の検査技師を配置。現在は5人が1日数時間ずつ採卵や培養液の交換などをし、川田医師の業務を手伝っているという。取り違えが起きたとされる昨年9月18日も同様の体制だったが、川田医師は1人での作業について「検査技師の勤務上、たまたまそうなった」と説明。勤務シフトについては「(所属が違うため)私が勤務しなさいという命令はできません。私の能力のなさです」と話した。 病院によると、検査技師は中央検査部に所属し、他科の血液検査などもする。勤務シフトは事前に決まるため、当日の配置が実際の作業内容と合わないケースがあったとみられる。 同病院は香川県内の体外受精治療の中核。患者数は98年以降90〜53件で推移し、08年は86件。産婦人科医は7人いるが、専門性が高いため事実上、川田医師1人に任せていた。病院側は川田医師の単独作業が多いことも認識していたが、93年の開始時から約1000件を扱うなど実績があり、問題視していなかったという。同病院では、疑惑発覚まで院内マニュアルにミス防止手順がなかったことも判明している。 スタッフ約20人を抱え、必ず複数で作業し、作業台に1人分の検体しか載せないなどマニュアルを整備しているという不妊治療の専門施設「蔵本ウイメンズクリニック」(福岡市)の蔵本武志院長は「ヒューマンエラーは必ず起こる。1人だと疲労で集中力がにぶることもあるだろうが、2人なら声をかけるだけで気持ちも楽になるし、ミスを起こす確率も低くなる」と指摘する。 受精卵「1人で扱う」、ほかの病院も 背景に人件費抑制
2009年2月22日9時58分 朝日新聞 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた女性患者に他人の受精卵を移植した疑いがあり人工中絶した問題は、担当医が1人で受精卵を扱う作業を続けていた環境がミスを誘発したとされる。こうした「1人作業」はほかの病院でもあり、現場からは不安の声が上がっている。背景には、人件費抑制で医師を補助する「培養士」の雇用が難しい事情もある。 「昨年まで産婦人科の医師としてお産や手術、外来、中絶をこなしながら、1人で不妊治療にあたっていた。事故が起こらないかと怖かった」 西日本の公立病院で、10年近く1人で不妊治療を受け持つ40代の男性産婦人科医は打ち明けた。受精卵や精子の取り違えを防ぐため、患者は年30人程度に抑え、作業には細心の注意を払ってきた。それでも1人の作業は不安だったという。 受精卵を扱っているさなかに妊婦の陣痛が始まることもあった。「慌てず間違えないように」。自分に言い聞かせながら、急いで片づけて出産に向かった、と振り返る。 病院には、受精卵の培養・管理で医師を補助する「胚(はい)培養士」が必要と訴え続け、今年ようやく1人の雇用が認められた。一方、不妊治療は収益が上がるため、病院から「もっと患者を受け入れて」と言われたこともあったという。「公立病院は経営が苦しく、新規雇用は厳しい。香川県立中央病院も同じ状況ではないか」 香川県立中央病院では胚培養士が3人いたが、いずれも検査技師と兼務で、担当医の川田清弥医師(61)が1人で受精卵を扱うことが多かったという。20日の記者会見で川田医師は「医師である私が検査技師や胚培養士の勤務態勢を決めることはできない。私の力のなさ」と話した。 「民間では専門家である胚培養士を雇って任せるのが一般的」。不妊治療専門医院であるASKAレディースクリニック(奈良市)の中山雅博院長は「医師が診療の合間に培養作業や管理まで行うのは負担が大きすぎる。役割分担が必要だ」と指摘する。 日本生殖再生医学会(事務局・横浜市)の森崇英理事長も「医師が1人で何でもやるのは、体外受精が始まったころの昔の話。胚培養士のほか、生殖医療のカウンセラー、専門の看護師でチームをつくらなければ医師が疲労し、ミスが起こる」と話す。 胚培養士の団体「日本臨床エンブリオロジスト学会」(本部・浜松市)によると、胚培養士も人手不足だという。「培養士が少ないうえ、都市で奪い合うため、地方は人を確保しづらい状態。培養士も1人で作業をしている施設が大半だろう」 [解説]体外受精「1人でできる」産科医の過信 読売新聞 2009年2月21日 指さし、声かけ 通常、複数で確認 香川県立中央病院(高松市)で起きた受精卵の取り違えは、ベテラン医師の初歩的なミスだった可能性が高い。不妊治療を受ける夫婦は年々増え、容器(シャーレ)上で受精卵を扱う体外受精も増え続けている。不妊治療を行う施設の多くは複数のスタッフでチェックしており、今回の問題を「あってはならない」と指摘する。医師1人に作業が集中していた同病院の実態がミスの背景として浮かんできた。(大阪科学部、東京科学部、高松総局) 「Aさんのものですね」「はい、Aさんのです」 大阪市中央区にある「西川婦人科内科クリニック」(西川吉伸院長)。受精卵を扱う培養室で、技師(胚(はい)培養士)が2人1組で、培養器から受精卵が入ったプラスチック製のシャーレを取り出した。培養器の取り出し口と、シャーレとふたに書かれたフルネームを見ながら、指さしと声かけで確認し合う。マニュアルの一番先に指定されている手順だ。培養室内で複数の夫婦のシャーレを扱うことは厳禁にしている。 受精卵を扱う作業台では、別のシャーレに移し替える作業の前にもう1回、同じ確認を繰り返す。通常、卵子の採取から受精卵の移植まで最低4回、シャーレを交換するが、その度に声出しと指さしを行う。医師が受精卵の状態を診断する時は、技師のほかに別の医師が加わる。 同クリニックでは1996年から昨年までに3220例の体外受精を実施。複数のカップルを同時に進めるのを避け、採卵から移植まで、各段階の作業を1組ごとに独立して行っている。西川院長は「受精卵は傷みやすく、素早い作業が不可欠。集中していれば、別のシャーレを同時に扱う余裕などあるはずがない」と強調する。 年間約700例の体外受精を実施しているオーク住吉産婦人科(大阪市西成区)の中村嘉孝理事長は「受精卵は、経験豊富な技師による専従チームで担当し、医師が常時、状況をチェックするような体制が望ましい。1人では危険だが、地方の公立病院では、体外受精のような特殊な仕事が、一部の医師に集中してしまいがち」と指摘する。 香川県立中央病院の川田清弥医師(61)は、1979年に産婦人科医として赴任。93年4月に病院初の体外受精を手がけ、受精卵の培養や管理などを1人で行ってきた。これまでに約1000件を手がけ、「受精卵の扱いは1人でもできる」と話していたという。 同病院では、今回の問題が起きるまで、患者の受精卵を識別するのは、シャーレのふたに張ったシールの色だけが頼りだった。 問題発覚後の今年1月、病院は体外受精作業マニュアルに、〈1〉受精卵、精子を扱う際は2人以上で確認し、記録に残す〈2〉作業台の上には患者1人分の受精卵しか置かない〈3〉シャーレのふた、本体両側に患者を識別するシールを張る――といった対策を初めて盛り込んだ。 松本祐蔵院長は「不妊治療は専門的な知識や技術が必要な分野だけに、病院として監視できず、任せきりにしていた。今後は、病院全体として問題意識を持ちたい」と話す。 「ヒヤリ事例」114施設中56か所で 急速な不妊治療の増加に対応し、日本産科婦人科学会は1986年、不妊治療を行う医療機関の登録報告制度を設けた。体外受精などを実施できる要件などを満たした施設に対し学会認定を行っているが、受精卵の取り違え事故の防止などマニュアル策定については認定の要件としていなかった。 実際、全国の不妊治療施設での取り違え防止マニュアルの整備は24%にとどまり、同様の医療ミスにつながるヒヤリ事例が発生していることが「蔵本ウイメンズクリニック」(福岡市)の福田貴美子・看護師長の調査で明らかになっている。 2007年末〜08年1月に、日本産科婦人科学会登録の不妊治療施設594施設に調査。無記名回答した114施設のうち56施設(49%)が「医療事故を身近に感じたことがある」と回答。投薬ミス(13施設)、患者の取り違え(2施設)などのほか、生殖医療関連でも〈1〉受精卵の取り違え〈2〉人工授精時に患者を間違った〈3〉凍結保存した場所を記入ミスした――などのミスがそれぞれ1件ずつ起きていた。 また、院内の安全管理指針については90%が整備済みだが、福田さんは「今回の問題は、全国の施設で共有すべき問題」とし、横断的な再発防止策が必要としている。 年2万人50人に1人 体外受精は、不妊治療の中でも踏み込んだ技術だ。日本では83年に東北大で初めて受精児が誕生した。近年では年間約2万人、少子化が進む中で、全出生児の1.8%に達し、ほぼ50人に1人。 治療はまず複数個の卵子を女性から採取し、シャーレの培養液中で精子と受精。妊娠確率の高そうな受精卵を選んで子宮に戻す。精子の能力が低い場合は、卵子の膜に小さな穴を開ける「顕微授精」も行われる。 厚生労働省研究班の2003年の調査では排卵期を予測するタイミング法以外の不妊治療を受けた患者は46万7000人と推定された。政府が05年度から体外受精1回あたり10万円(年2回まで)の助成を始めたことも追い風になり、日本産科婦人科学会によると、06年に体外受精(顕微授精を含む)を受けた患者は約9万4000人。http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090221-OYT8T00425.htm 安全性を高める為には、 複数人で作業を確認する 一人の患者さんの作業に専念する ことなどが大切ですが、それには当然人件費などのコストがかかります。 それを、国民がどう考えるかどうかだと思います。
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一人でも間違わないシステムを考えるべきと思います。
建築では図面の寸法のチェックは一人で100%間違わない方法を講じてます。寸法の間違いは命取りですので。
複数のチェックは必要ありません。
外から見ると複数のチェックの方が安全に見えるだけです。
例えば今回構造の確認申請は複数の検査機関を通すようになりました。
全く無駄な話で、能のない官僚の考えた浅知恵です。
結果大幅な確認申請の遅れと、着工件数の減少を招きました。
ホント国交省の鹿馬キャリアーたち。
2009/2/23(月) 午前 2:56
医療安全に関わったことがあれば理解は容易でしょうが、単なる2人での作業は安全性を高めません。相互の依存が生じるからです。コストを考えると別に当該病院では人を増やす必要性がないと思われます。
ただし1人でやることにしても、いくつかの決まりが必要です。
並列作業をしない、作業中の割り込みをしない。シャーレなどの容器に貼付するラベルは必ず本体に貼る。などです。
このあたりは医療安全についてのペーパーが多数あるはずです。全国の医療機関でも学んで欲しいと思います。
2009/2/23(月) 午前 9:00 [ 元外科医 ]
産科医の過信というのは違うような気がします。
予算も人員も割り当てられない中、要望する患者さんは多く
「私だけでも出来ます」と言わざるを得ない状況だったのではと
推察いたします。
そもそも公立病院でこのような高度な不妊治療まで請け負うのが
正しい事なのか?
地域の自然妊娠による妊婦検診、分娩あるいは帝王切開手術等で
医師の方は過重労働になっててたのでないかと思います。
コストなき改善はありません。もしお金が出せないならIVFなどの
高度不妊治療から撤退すべきではないでしょうか?
2009/2/23(月) 午前 10:04 [ 通りすがり ]
ミスより何故絨毛検査を行わなかったのかが疑問です。
2009/2/23(月) 午前 10:20 [ 1234 ]
HARDWAYさん、コメント有難うございます。
確かに、例の姉歯事件の影響で審査を厳しくしたら
着工件数が激減したそうですね。
>一人でも間違わないシステムを考えるべきと思います。
確かにシステム作りが大事だと思います。
ただ、一人よりは二人での作業の方がミスは減ると思います。
元外科医先生のご指摘の通り相互依存が出てきますし、
「人間のやることだからミスをする可能性がある」
という事を前提として、ミスが悪い結果に繋がらないような
システムを構築するべきだと考えます。
2009/2/23(月) 午前 11:02
元外科医先生、コメント有難うございます。
個人的には、そういう決まりを守った上で、人手も増やした方が
より「悪い結果」を増やせると思いますが…
相互依存とどっちが危険ですかね?
お産をしながら、不妊治療もというのはミスの元ですよね。
2009/2/23(月) 午前 11:05
通りすがりさん、コメント有難うございます。
>予算も人員も割り当てられない中、要望する患者さんは多く
>「私だけでも出来ます」と言わざるを得ない状況だったのではと
>推察いたします。
私もそんな状況を想像します。
だからといって、今回のミスが正当化されるわけではありませんが…
>そもそも公立病院でこのような高度な不妊治療まで請け負うのが
>正しい事なのか?
最近は専門のクリニックが多いですからね、
高松市にはあまり無いみたいですが…
http://www.funin.info/search/kagawa.html
>コストなき改善はありません。もしお金が出せないならIVFなどの
>高度不妊治療から撤退すべきではないでしょうか?
同感です。
2009/2/23(月) 午前 11:13
1234さん、この前の記事にもありますが、
院内会議の結果、患者さんに勧めないこととなったようです…
2009/2/23(月) 午前 11:14