うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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ネタ元は、中間管理職先生です。
何時もお世話になっています。m(__)m

昨日の尾鷲の話も衝撃的ですが、

いくら和解の条件とはいえ、帝王切開経験者の自然分娩を
今年の4月まで受け入れていた事には、びっくりしました。

実際、何件くらい実施したのでしょうか?




県立医大病院:帝王切開経験者の自然分娩受け入れ中止 安全マニュアル作らず /福島
8月26日14時1分配信 毎日新聞

 ◇医療ミス訴訟、和解条件抵触も
 県立医大付属病院(福島市)で4月から、帝王切開経験者の自然分娩(ぶんべん)の受け付けをやめていたことが25日分かった。通常より子宮破裂などの危険が高い一方、産科医と婦人科医が計2人しかおらず、当直時の緊急の帝王切開ができないのが理由という。
 この分娩では95年、同市の幕田美江さん(42)が同病院で子宮破裂を起こし、帝王切開で出産した次女は脳性まひを負い00年に死亡した。幕田さん夫婦は、同病院のミスとして損害賠償を求めて提訴。今年2月に仙台高裁で和解した。
 条件にはインフォームドコンセントや、子宮破裂に速やかに対応できる体制を整えることなど再発防止マニュアルの作成が含まれた。結局作られず、同病院は「必要な医師の確保は当分先で、今は作る必要がないと判断した」と話した。
 夫の智広さん(43)は「和解したのは、今後は安全性が得られると信じたから。対策の検討もなくやめるのは改善とは言わない」と話している。今後、同病院の決定が和解条件に抵触しないか確認するという。【神保圭作】
「病院側に7300万円支払い命令」となった、1審判決は衝撃的だったのですが、
和解になっていたとは知りませんでした。
福島県医大8500万円支払い 出産の医療ミス和解成立
2009.2.26 12:32 MSN産経ニュース

 帝王切開手術時の不適切な対応で次女が脳性まひになり、4歳9カ月で死亡したとして、福島市の幕田智広さん(42)と妻、美江さん(42)が福島県立医大に1億円の損害賠償を求めた訴訟は26日、仙台高裁(大橋弘裁判長)で、大学側が8500万円を支払うことなどで和解が成立した。

 昨年5月の1審・福島地裁判決は「分娩(ぶんべん)の経過を十分に監視せず、緊急事態への備えを怠った」と過失を認定。約7300万円の支払いを命じた。

 1審判決によると、次女の未風ちゃんは県立医大付属病院で平成7年5月に誕生。自然分娩中に子宮が破裂し、帝王切開に切り替えたが手術に手間取るなどして仮死状態で出生した。重度の脳性まひになり、平成12年3月に死亡した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090226/trl0902261233007-n1.htm

手術に手間取るなどして仮死状態で出生した。

Yosyan先生の記事でも考察されていますが、
明け方午前3時頃の話としては、ほぼ最短コースで帝王切開が行なわれています。
実際の判決では「18分を越えた」という事で敗訴したようですが…

医療現場の実態を無視した、トンデモ判決だったのですが、

それを上回る金額で和解していたのですね…orz

さすがは『聖地』と呼ばれるだけはあります…

それから半年しか経っていないのに約束を反古にされたのですから、
家族側が怒るのも仕方がないですが、無理なものは無理ですからね…

福島県立医科大学の産婦人科教室のHPをご覧になれば、お分かり頂けると思いますが、
毎日2人の当直体制を取るのにも苦労しているはずです。
現在どれぐらいの子宮破裂の頻度があるかですが、VBACは帝王切開の手術法が子宮下部横切開という方法を取る事によって安全性が高まったとされます。この子宮下部横切開後の帝王切開で約0.6〜0.8%とアメリカでは報告されています。だいたい150件に1回ぐらいでしょうか。一方で全妊娠の子宮破裂の頻度は1000〜3000人に1人とされていますから、約10倍の危険性があるとしても良いでしょう。

子宮破裂が起こるとどうなるかですが、これは想像がつくとは思いますが、データにムラはありますが母体死亡率は1〜2%、胎児死亡率は20〜80%とされています。胎児死亡率に関しては完全に施設依存性が高く、子宮破裂から緊急帝王切開から娩出するまでの速度、新生児科医およびNICUの充実度が大きく左右しますが、生存しても重篤な後遺症がほぼ全員に残るとされます。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080526

この『150分の1』のロシアンルーレットに当たると、数千万円の支払いを課せられるのです…

『150分の1』を高いと思うかどうかは、個人差が大きいですが、
この判決後に全国の多くの産科施設でVBACは行なわれなくなったというのが
その答えでしょうね…

本当に安全を求めるならば、突然の子宮破裂に『24時間対応』できるスタッフが必要です。

『24時間』産科医を2人以上、麻酔科医や新生児科医も必要ですし、専属の看護師も要りますね。
1000万円くらいは必要でしょうか…

「医療崩壊(産婦人科)」書庫の記事一覧

閉じる コメント(20)

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やらなければ、事故は起こらない・・・・・って考えられないのでしょうか??VBACするためには、どんだけの人員が必要か・・・産科医少ないのにな〜〜〜疑問です。。。。

2009/8/27(木) 午後 6:12 べひん

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福島県立医大はまるでサンドバッグのように患者・マスコミに叩かれてますね。
でもねえ、VBACの危険性なんて経産婦なら当然知ってるべきですし上手くいかない可能性を考えるのも当たり前の事でしょう。
それに県立医大はVBACを司法や社会が考えるような「万全の安全対策」を行えるような人的資源も経済力も無いと悟ったからこそ中止にしたのでしょう。賢明な判断です。
出来ない事を出来ないと正直に言ったら逆ギレする相手の方が間違ってるんです。

2009/8/27(木) 午後 6:35 [ 通りすがり ]

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ORZ...このままだと本当に産科医療が消滅危機。
もし私が産科医だとメスを置いて海外逃亡しますね

2009/8/27(木) 午後 6:37 [ SNS ]

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べひんさん、その通りでVBACを実施しなければ事故は起き得ません。
当然の考えですね。

2009/8/27(木) 午後 7:22 さすらい泌尿器科医

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18分以内にできる施設が、世界中でどれだけあるんでしょうね??
相変わらず、裁判所の言いがかりは無茶苦茶ですな。
裁判所ってヤ○ザなんですね

2009/8/27(木) 午後 7:23 [ obg**e191 ]

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通りすがりさん、中止した判断は賢明ですが、
どうしてこんな条件で和解したのかは、私には理解不能です。

最初から「破るつもりの約束」をしたのなら、
それはそれで問題でしょうね。

2009/8/27(木) 午後 7:24 さすらい泌尿器科医

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SNSさん、本当に消滅の危機です。
特に福島や奈良では…(ボソッ)

2009/8/27(木) 午後 7:26 さすらい泌尿器科医

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obgyne191さん、お久しぶりです。

スタッフが10倍以上いるアメリカでは可能な地域もあるそうですが、
それでも不幸な結果となることはあるそうです。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20081030#c1225340425

少なくとも出産費用は10倍になることを覚悟してもらわないと…

2009/8/27(木) 午後 7:30 さすらい泌尿器科医

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原告の方の怒りの意味がよくわからないのですが...
「どう考えても自然分娩を安全に行う人的資源が確保できないので、計画的な帝王切開のみとする」というのも、一つの安全策なのでは?なぜ、それではいけないのでしょう?
素人なので的外れかもしれませんが...

2009/8/27(木) 午後 7:34 [ ジュリーママ ]

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損害賠償て、金銭の移動だけで、なかったでしょうか?。 要望書の実行はどうなんでしょうね。 高裁の判事が、どのように進めてか?。 全国の地裁に、医療集中審議部の設立でしょう。

2009/8/27(木) 午後 7:40 [ おみぞ ]

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ジュリーママさんすいません、怒っているかどうかはこの記事からは不明です。(汗)
不満を抱いているのは間違いないでしょうが…

医療事故にあわれた方にとっては、
『(自らの)訴訟が医療崩壊を促進した』と言われることは、耐え難い苦痛のようです。

2009/8/27(木) 午後 7:40 さすらい泌尿器科医

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おみぞさん、記事中にある
>今後、同病院の決定が和解条件に抵触しないか確認するという。
これは記者の主観だと思いますが、さすがに『違約金』は設定してないでしょうね。

この件で、損害賠償の金額がupしたら嫌ですが…

2009/8/27(木) 午後 7:44 さすらい泌尿器科医

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VBAC中に緊急帝王切開というのは、約3割はあります。
うち切迫子宮破裂でというのはまれです。
慎重に見ていれば子宮破裂というのは回避可能でしょう。
問題は予兆を読み取れるだけ、しっかり診ている手間をかけられえるかです。産科医がベットサイドにいればそれは可能ですが、
普通はそれより予定帝切をしますね。
でも、まだ私はVBACしています。

2009/8/27(木) 午後 9:52 [ へびぱく ]

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VBACによる子宮破裂による悲劇を避ける方法として、ベストな選択だと思います。
裁判所の求めるような安全を実現する体勢がとれないのですから、
VBACをいったん中止するという選択が妥当です。

航空機事故で言われる「勇気ある撤退」です。
安全が担保できない場合は、撤退する。これが安全管理です、ね

2009/8/27(木) 午後 11:20 [ 首都圏の産科医 ]

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そろそろ保険体育の教科書を見直す時期なのでしょうか?
「出産はもともと高いリスクがあります。健康な妊婦でも事故が多発するものです。」と

医療従事者の努力のおかげで妊娠出産は一大事と言う認識が薄れてしまいました。
これは本来の目的地でしたが、誰かが曲げてしまいそこから戻ってくる道が見えない、と言うのが現状でしょうか。

もしかしたら、戦争とかで一度リセットした方が早いのでしょうか?

2009/8/28(金) 午前 9:55 [ 恥の戸市民 ]

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てゆうか、不満は病院じゃなくて体勢を整えられなかった県とか医療に金を掛けない国に言うべきですよね。

2009/8/28(金) 午後 0:27 [ cha*o*ile05** ]

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へびぱくさん、まだVBACなさっているのですか…
十分に説明して、信頼関係を築かれていると思われますが、
ご武運を祈ります。

>緊急帝王切開というのは、約3割はあります
かなりの高率ですよね。
お疲れさまです。

2009/8/28(金) 午後 1:34 さすらい泌尿器科医

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首都圏の産科医さん、「VBACをいったん中止」するのは
十分な態勢の整っていない多くの病院では当然の対応ですよね。

安全が担保できるようなスタッフ数を揃える事が
将来的にも可能となる見込みは…、あると良いのですが…

2009/8/28(金) 午後 1:37 さすらい泌尿器科医

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恥の戸市民さん、「妊娠・出産は命がけの行為だよ」と
教科書を変えて繰り返し教えるようになると良いのですが…

戦争は起きて欲しくないですが…
(考え方が変わるとも限りませんし…)

2009/8/28(金) 午後 1:39 さすらい泌尿器科医

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chamomileさん、中間管理職先生の所から、こんな記事を見つけました。
http://www.avance-lpc.com/medical/news/38.html

>幕田さん夫妻は同日、医大に提出した意見書で
>「子宮破裂を想定した厳格な危機管理体制が構築できて初めて、 妊婦に提供されるべきもの」と主張した。

>医者の本分は、適正な医療行為を責任をもって提供することだ

そんな事を末端の病院に言っても無駄ですね。
ご要望の実現には多額の費用が必要ではないのでしょうか?

8500万円の半分でも医大に寄付したり

国や厚労省に対し、
『万全な医療体制をとれるように、国は1分娩あたり200万円の費用を出せ』
とでも言えば、話し合う余地もあるのですがね…

2009/8/28(金) 午後 1:47 さすらい泌尿器科医

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