うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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ロハス・メディカルからの紹介です。
昨日の岩田先生の話とも重なる部分は多いですね。
情報提供の大切さを両氏とも強調されています。

http://lohasmedical.jp/news/2009/08/27112611.php
新型インフル エビデンスないからこそオープンに議論を

村重直子・厚生労働省大臣政策室政策官インタビュー

――新型インフルエンザワクチンに関して、26日に舛添要一厚生労働大臣が予防接種法と感染症法の改正を口にしました

 日本の制度が不備なまま放置されていたのが、今回のワクチン輸入交渉の過程で明らかになってきました。そこを通常の手続きを踏んで直しては間に合わないところを大臣が決断してくださったと思います。このような政治決断は、官僚にはできません。

――不備と言いますと。

 最も大きなものは、ワクチンを製造するメーカーにとって日本で販売するのは、他の国で販売するのに比べてリスクが大きすぎるということです。そこが今回の輸入に関しても最大の課題でした。副作用が起きた際、故意でなければメーカーの責任は問う必要がなく、公的に補償するという国が多い中で、日本の場合はメーカーが裁判で訴えられて青天井の賠償を請求される可能性があります。

――メーカーの責任を問わない方が世界的には普通なんですか。

 専門的には無過失補償と言うのですが、誰に責任があるのかを問題にするのではなく、被害が出たら公的に救済される仕組みがあって、その救済を受けたらそれ以上の賠償を請求する権利は失われるのとセットになっているのが欧米では多いようです。その背景には、ワクチンが個人的な利害だけではなく、社会全体の利益のために接種するものという認識が一般に浸透しているので、被害が出たとしても、関係者に不当に責任を負わせることはできないし、それは社会全体のために犠牲になった人は社会全体で支えるのが当然という考え方があります。

 たとえば米国の場合、88年からそういう運用になっています。ワクチンの無過失補償には2種類あって、片方は普段の医療における被害を救済するものです。補償金の原資はワクチン1本あたり75セント上乗せされています。補償金を受け取ると裁判はできません。もう片方は、「公衆衛生上の危機」という定義なんですが、バイオテロなんかを想定したものです。炭そ菌とか新型インフルエンザとかが対象になっています。それに関しては、裁判に訴える道は最初からなくて、無過失補償一本です。まだ財源はないんですが、補償はするので1年以内に申請しなさいということは決まっています。実際に事が起きた後で、国会で議論するのだと思います。今回の新型インフルエンザであるH1N1に関しては、6月15日に後者の指定に追加されています。

 フランスの場合はワクチンにとどまらず、02年に医療全体への無過失補償が導入されています。それ以前はワクチンと輸血によるエイズだけは国が補償する仕組みでしたが、普通は、補償を受けるには患者側が訴訟をするしかなくて、訴訟では公立病院とプライベートの病院で額が違うとか南北格差があるとかだったようです。患者団体が補償を受ける権利をちゃんとしろと働きかけて制度ができたそうです。医療事故の場合は受け付ける身体障害の程度に下限があるようですが、ワクチンや公衆衛生上の危機に関することはわずかな障害でも補償されます。補償金を受け取る際には裁判をしないという契約書にサインする必要があります。

――日本の場合はどうなっているんですか。

 日本ではワクチンの副作用に対する救済策は、予防接種法の法定接種に対するものと任意接種に対するものと2通りに分かれ、法定接種の中でも努力義務の課されている1類と課されていない2類という2つの分類があります。金額はそれぞれですが、共通しているのは救済を受けた後に訴訟もできるということです。特に任意接種に対する救済は一般の医薬品副作用の救済と同じようにPMDA(独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)が担っていますが、その給付の原資はメーカーの拠出金なので、メーカーからすると二重に負担を強いられることになり、他の国と比べて突出してリスクが高いことになってしまいます。

 この構造が、ドラッグラグ、ワクチンラグの原因の一つになっていることは紛れもない事実です。また、医療を国の成長産業として育てようという場合にも、間違いなくネックになっています。

――なぜ、他国と異なる状況が放置されてきたのですか。

 役人は、歴史上、薬害で国が訴えられたら必ず負けると思っているので、副作用と救済の問題は恐ろしくて議論すらできなかったということだと思います。19日の記者会見で、大臣がワクチンだってゼロリスクではないと言ってくださって、ようやくオープンに議論しましょうという土俵に乗ったところです。

――ワクチンにだってリスクはあるんだという認識が共有されれば、他国と同じような制度をつくれますか。

 そんなに簡単な話ではないと思います。ワクチン被害救済について議論するにはワクチンの副作用リスクと、病気で死ぬリスクとを天秤にかけて、その上で被害に遭ったらいくら払うかというのもオープンに国民が議論を尽くして決める必要があります。しかし今回に関しては、副作用リスクも、病気で死ぬリスクも未知です。参考にできるものとして、過去の季節性インフルではどうだったかとか、過去の新型ワクチンの副作用はどうだったかというデータを眺めながら手探りで進んでいくしかないのです。

 しかし、このように未知のものに対して判断を下すということを日本人は忌避してきたと思います。科学的根拠なんかないんですから、理念に立ち返って、最終的にはどれかひとつに決め打ちするしかありません。過去には米国でも、インフルエンザに対する新型ワクチンによる薬害が発生して、CDCの長官が更迭される出来事までありました。しかし、その経験を踏まえて先ほど説明したような無過失補償制度が成立しているわけです。未知のものに触れた際に、国民が喧々諤々の議論を重ねて、失敗からも学びながら少しずつ進歩してきたのだと思います。

――官僚らしからぬ発言のような気もしますが、その認識は省内に共有されていますか。

 とんでもない。ワクチンの被害救済に関しても私の調べた範囲のことは担当課に教えてあげたのに、とても嫌がって、技官はそれ以上は調べようとしませんでした。後で法令事務官に話したときは、関心を持っていただけたようですが。

――担当課に教えた。どういう立場なんですか?

 私の今の担当職は昨年3月にできたものです。大臣に直属して、ラインの仕事からは離れ、少し長い視点から厚生労働行政に必要なことを調べ、省内外から幅広く情報を集めて、必要なことがあれば担当課と相談するというものです。ラインの官僚が忙しすぎるのは事実なので、こういう立場の人間も必要だと思います。

――この問題に関心を持ったのは、いつからで、なぜですか。

 ワクチンメーカーとの交渉がどうなっているかは全然知りませんでした。7月ごろから、大勢にワクチン打つならば絶対に副作用が出るだろう、下手をすると薬害になるかもしれないということを考え、でも世界中どこの国でも同じ状況のはずだから、他の国ではどうしているんだろうかと疑問に思ったのです。

 8月も、この問題をずっと調べていた感じでしょうか。ただ先ほども言いましたように、調べたものを元に、担当課の医系技官や薬系技官にきちんと調べた方がよいとアドバイスしても、やっつけ仕事しかしてこないんです。ちょっと訳して、大臣に「日本とは状況が違う」とちょっとだけレクチャーしてお終いでした。サイトのURLまで教えたのに、見向きもされませんでした。部外からアドバイスされること、外国の事情を調べなさいと言われるのを、ものすごく嫌がります。おそらく忙しいのと英語が読めないのと重要性がわからないのと、理由は色々だと思います。技官の存在意義って何なんだろうと悲しくなります。

ワクチン被害救済について議論するにはワクチンの副作用リスクと、病気で死ぬリスクとを天秤にかけて、その上で被害に遭ったらいくら払うかというのもオープンに国民が議論を尽くして決める必要があります。

その通りですね。

舛添大臣も、どうして『輸入ワクチンを治験せず承認』する必要があるのか
説明する必要があるでしょうね。

「ワクチンさえあれば大丈夫」とか、「輸入ワクチンは副作用が恐い」といった
レベルの低い報道しかしないマスコミにも困ったものです。

未知のものに対して判断を下すということを日本人は忌避してきたと思います。

「お上頼み」で、すべてが上手く行く時代ではないのです。

国民の意識改革は絶対に必要だと思います。

閉じる コメント(14)

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何となくなんですが、米国は企業の負担を軽くすることに重点をおいた政策がとられると思います。貧しい人をカットすることは合理的な判断だという考え方ではないかと思います。
まぁ、それだからここまで伸びてこられてと思いますけどね。
負の部分を大事にすると大きくは伸びることはできないですよね、公立病院の経営が日本なら、民間は欧米かな?

2009/8/28(金) 午後 2:02 瑞山

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もともと日本の官僚は「よらしむべし知らしむべからず」が根幹にありますからね。
「黙って俺達の指示に従え」と言ってばかりで情報をオープンにして
公論を盛んにするという考えがありません。
分からない事を分からないといい、調べたいのでご協力をと言える技系の官僚が存在すればいいのですけれど。
現場の医師の必死の努力を無にするような事にはなって欲しくないです。

2009/8/28(金) 午後 2:55 [ 通りすがり ]

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ワクチンを無償で他国に提供することは、それにつながる薬剤の購入にもつながりますので、某国は国家戦略として、開発、製造に投資をしているわけです。 生臭い話ではありますが。

リスクコミュケーションは、ワクチンに限った事でもなく、科学的検証が無知数のものなど、いくらでも出てきています。 専門家は、その助言はできるが、決定は、国会でとなりましょう。 未知数のモノに個人責任を問えるものでのないので。そこでそれに対しては保障いたしましょうとなります。 停止してしまえば、責任も追求される事もありませんから、そちらに傾くのはしかたないでしょうね。 感染症、化学物質、医療、みんな、リスクとリスクを天秤にかけて、どちらを選ぶかです。 近年もいっぱいたような。 某委員会の議長が再任されなかった事もありましたし。 科学者としての発言もできづらいですから。

2009/8/28(金) 午後 3:33 [ おみぞ ]

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>「ワクチンさえあれば大丈夫」とか、「輸入ワクチンは副作用が恐い」といったレベルの低い報道しかしないマスコミにも困ったものです。

怖さをむやみに煽る報道か、根拠のない楽観的な報道のどちらかで市民が本当に知るべき正しい情報が全然行き渡っていません。
まぁ情報が行き渡ったところで「100%副作用のない薬はないのか」とか言う人が出てきそうですが。

ワクチンを接種するにしろしないにしろ、問題が起きた時に責められるのは現場の病院になるでしょうね。それがもう腹立たしいのです。
責任をどこかに求めてばかりで自分にはまったく非がないのか?と。

結局のところ、国民ひとりひとりが受ける場合と受けない場合のリスクをそれぞれ較べて、自分の頭で考えて覚悟を決めて選択をしなければならないと思っていますが、全体的にどうもそういう意志が足りないように感じます。

2009/8/28(金) 午後 6:29 [ ancomochi ]

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> 外国の事情を調べなさいと言われるのを、ものすごく嫌がります。おそらく忙しいのと英語が読めないのと重要性がわからないのと、理由は色々だと思います。

官吏には漢文の素養が必須で、そのため中国から学ぶべき物と時期を見極められた歴史を持つのに、現代の官吏は何をしているのでしょう。当時の漢文は今の英語のはずです。

2009/8/28(金) 午後 7:25 Wagon the 3rd

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インフルエンザ予防接種の医師のリスク

http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp1107-1d.html

2 対象者に対する周知
インフルエンザの予防接種を行う際は、予防接種法施行令(昭和23年政令第197号)第5条の規定による公告を行い、同令第6条の規定によりインフルエンザの予防接種の対象者に対して、インフルエンザの予防接種は、接種を受ける法律上の義務は無く、かつ、自らの意思で接種を希望する者のみに接種を行うものであることをあらかじめ明示した上、インフルエンザの予防接種を受ける期日又は期間及び場所、インフルエンザの予防接種を受けるに当たって注意すべき事項、インフルエンザの予防接種を受けることが適当でない者、接種に協力する医師その他必要な事項が十分周知されるよう、公報、個別通知その他の適当な措置をとること。

2009/8/28(金) 午後 7:40 [ おみぞ ]

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”その際、予防接種法の趣旨を踏まえ、積極的な接種勧奨にわたることのないよう留意す ること。”

インフルエンザの予防接種の対象者に対する周知を行う際は、費用等も併せて周知す ること。


ですので、監督官庁は謙虚に、消極的に、イヤイヤ接種を行なえと、命令しています。
お上の命令に逆らってはいけません。

貴行が、命令を無視したっ場合、どのような立場になろうとも、当局は一切関知しない。 とも取れます。

2009/8/28(金) 午後 7:45 [ おみぞ ]

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基本的に大手マスコミはみな傍観者ですから、内容が真実かどうかはどうでもよくて、一般市民が食いつくかどうかしか考えてませんからね。
まあこういう混乱は十分想定できましたので、時間がかかってもすべて国産で賄うべきというのが私の見解です。
アーダコーダ言ってるうちに今後一ヶ月でどんどん爆発加速的にインフルエンザは拡大蔓延していきますから、10月下旬にはワクチン接種が無意味にならなければいいのですが。通常の社会生活を続けるのは困難になりそうですね。

2009/8/29(土) 午前 8:29 [ SNS ]

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瑞山さん、確かに貧しい人を保護することは、企業の成長を阻害しますね。
だからこそ、国や地方自治体が行なうしかないのですが、
そこに利潤追求などを求めるから、混乱が深まるのでしょうね。

かといって、医療機関がすべて公営になっても困りますが…
(医療従事者はサービス残業をしなくてもよくなるでしょうが、
患者さんは困るでしょうね)

2009/8/31(月) 午後 4:20 さすらい泌尿器科医

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通りすがりさん、「よらしむべし知らしむべからず」は
『選ばれし立場』だと自分を思っている官僚にとっては当然の考え方なのでしょうね。

我々だって洗脳から目覚めたのはつい最近ですし、
まだまだ多数の「聖職者」がいるから医療が完全に崩壊しないのだとも言えます。

>分からない事を分からないといい、調べたいのでご協力をと言える
>技系の官僚が存在すればいいのですけれど。
「報告」はさせても、「協力してね」とは言えないのでしょうね…
プライドが高いから…

2009/8/31(月) 午後 4:25 さすらい泌尿器科医

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おみぞさん、日本はそういう安全保障の面からも、無防備極まりないですよね…

>感染症、化学物質、医療、みんな、リスクとリスクを天秤にかけて、どちらを選ぶかです。
その決断をしないといけないのですけどね…

専門知識も乏しく、国会と違って責任感もない官僚に任せきりだった訳ですね…

>監督官庁は謙虚に、消極的に、イヤイヤ接種を行なえと、命令しています。
舛添大臣はワクチンは6000万人分以上を確保と言ってましたが、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090830-00000078-yom-soci
そんなに希望者はいなそうですよね…

2009/8/31(月) 午後 4:44 さすらい泌尿器科医

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ancomochiさん、誰でもリスクは嫌ですけどね…(笑)
日本人の「ゼロリスク信仰」は行き過ぎていますよね。

>ワクチンを接種するにしろしないにしろ、
>問題が起きた時に責められるのは現場の病院になるでしょうね。
>それがもう腹立たしいのです。
まったくです。
文句は厚労省(財務省?)に言って欲しいものです。

2009/8/31(月) 午後 4:48 さすらい泌尿器科医

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Wagonさん、英語に弱い私が言うのも何ですが(汗)。
英語は国際共通語ですからね。

全国の医師に指示を出す立場である官僚が、英語が読めないのは問題ですね。
(本来は会話もできないと…)

2009/8/31(月) 午後 4:52 さすらい泌尿器科医

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SNSさん、あんまりマスコミが主張するのも困りますが、
必要な「1次情報」は伝えて欲しいものですね。

>10月下旬にはワクチン接種が無意味にならなければいいのですが。
どうなりますかね…
まずは病院が開いてないとね…(爆)

2009/8/31(月) 午後 4:55 さすらい泌尿器科医


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