うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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勤務医を「聖職者」から脱却させ、適正な報酬を
10月25日11時45分配信 医療介護CBニュース

 「これまで勤務医は聖職者扱いされてきた」と、「全国医師ユニオン」の代表を務める植山直人さんは話す。ユニオンは、勤務医らでつくる日本初の全国的な労働組合として5月に発足し、9月に実施した「勤務医110番 医師の労働相談ホットライン」には、若手医師や大学院生らから悲痛な相談が寄せられた。医療現場の疲弊を解消するには、勤務医を聖職者から脱却させ、労務管理の徹底を訴えることが必要だと植山さんは考えている。(兼松昭夫)

―勤務医を取り巻く環境が大きく変化したといわれますが、植山先生ご自身はどうお感じになりますか。
 わたし自身について言えば、1年目の研修は1990年に福岡県内の救急病院で受けました。かなりハードな病院で、研修医は院内に住み、1年目から結構難しい手技を任されました。当直回数も月8回とかなり多く、わたしは多い時には23人の患者を担当していました。今では考えられないことですが、そういうやり方が好きな人たちが集まっていました。患者さんとのトラブルや訴訟の問題など、プレッシャーは今のように多くはない時代だったので、肉体的にはともかく、精神的な負担は今のように感じていませんでした。しかし今では、何をするにも患者さんの「承諾書」が必要になるなど、時代が変わりました。もちろん、歓迎すべき変化もありますけど。

―歓迎すべき変化としては、どのようなものがありますか。
 昔は、悪い意味で医師は威張っていましたが、ここ10年でずいぶん変わりました。患者さんの権利を尊重する風潮が強まってきたのは非常にいいことだと思います。

―インフォームドコンセントという考え方も広がりました。
 それも歓迎すべき変化でしょう。ただ、インフォームドコンセントをしっかりやるには、それだけの時間が必要です。例えば、午前中の患者さんが10人だったら、一人ひとりに詳しく説明できますが、30人を診ないといけないなら、一人にかけられる時間はおのずと決まります。供給側の体制が変わらないまま、詳しい説明を求められるようになり、そのギャップが医療現場に重圧として掛かってくる状況が出来上がっています。

―全国医師ユニオンが9月に実施した「勤務医110番」(電話相談)では、30件近い相談があったと聞いています。
 特に、大学病院関係者や、そのご家族からの相談が多かったのが特徴でした。中には、大学側と契約を結ばずに無報酬で診療に従事させられている大学院生や、月にわずか18万円の給与で1日15時間、365日拘束され、オンコールへの対応が遅れると暴言を浴びせられるという若手医師のご家族からの相談もありました。その医師は「医者にならなければよかった」などとこぼしているといいます。

―大学病院で契約を結ばずに勤務させられるケースは多いのでしょうか。
 多いと思います。大学側も人手が足りず、何とか労働力を確保しなければならないのでしょう。だけど雇用契約を結んでいないと、万が一「針刺し事故」などのトラブルが起きても、労災の認定を受けられなくなります。ここは改善していくべきです。

―医師は売り手市場なので、勤務環境が劣悪なら別の病院に逃げ出せばいいと思うのですが、そうした行動を取るのは難しいのでしょうか。
 難しいですね。若手医師は学会の認定医や専門医の資格取得を目指すため、症例数を確保しようという意欲を持っています。そのため、症例数を確保できるなら、少しくらい苦しくても何とか踏みとどまろうと考えるのです。
 このほか、出身大学の医局に関連施設での勤務を指示されたら、たとえ納得できなくても逆らいにくいという事情もあります。実際、医局の意向に従わなかったため、それ以降の就職活動を妨害されるようなケースもあります。大学医局は大きく変わったといわれますが、その影響力は依然として強いと思います。勤務医110番で大学病院関係者からの相談のほとんどが匿名だったことからも、こうした事情がうかがえます。

■勤務医への未払い賃金の清算を

―前回の診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算を付けるなど、国も勤務医支援に乗り出しています。こうした対策に効果はあるとお考えでしょうか。
 抜本的な解決にはつながらないでしょう。医療需要が増えているのに、医師の供給は限られていますから。

―では、具体策としてはどのようなものが考えられるでしょうか。
 女性医師のために院内保育所を設置したり、保育施設を紹介したりと、行政だけでなく病院側もいろいろな提案を出していますが、わたしたちはこれらとはちょっと違う視点からとらえています。勤務医の労働環境を改善するには、労働基準法の順守を病院に求めたり、本来なら勤務医に支払うべき報酬を明らかにしたりする必要があると思います。
 報酬に関しては、例えば医師の時給を4000円として単純計算すると、日中に8時間勤務した場合は3万2000円です。日勤から続けて、夕方5時から翌朝8時まで当直する「連続勤務」の場合には時間外勤務手当が付くので、報酬は8万2000円になります。しかし実際には、こうしたケースの報酬の相場は大体2万-3万円です。これらの差額が、いわば未払いになっているのです。管理職に手当を支払わない「名ばかり管理職」も横行しています。非常に大ざっぱですが、これらの未払い賃金を合わせると、ことによると年間2000億円程度になるのではないかとわたしたちはみています。
 仮に労基法にのっとってこれらの支払いを求められたら、医師に無駄な残業をさせずに帰宅を促したり、交代制の採用を検討したりと、病院側も労務管理を真剣に考えるはずです。医師でなくても対応できる業務については、医療クラークなど他職種への移行が進むでしょう。常識的な企業では、こうしたことにしっかり取り組んでいますが、医療界では「医師は聖職者だから残業代を払わなくてもいい」という、おかしなことになっています。こうした点はこれまでほとんど議論されてきませんでした。だけど今後は、専門職として適正な技術料を受け取れるよう、主張していくべきです。来年度に診療報酬が引き上げられるなら、箱物の整備などでなく、勤務医に確実に回るようにしてほしいと思います。

―勤務医の負担を軽減するため、地域の病院の統廃合を進めるべきだという声もあります。
 日本では、医療が十分に提供されているかどうかを病院やベッド数で図ろうとします。だけど病院が3つあっても、実はそれらすべてが医師不足に見舞われているかもしれません。ある病院では、新型インフルエンザが広がり始めた5月に発熱外来を開設するよう指定を受けたものの、実は内科医が一人もいなかったそうです(笑)。どの病院にどれだけ医師がいるのか、行政も把握できていないのです。病院やベッドがどれだけあっても、実際に診断に当たる医師がいないと話になりません。ですから、病院統廃合などの施策は、常勤換算した場合、その地域に医師がどれだけいるのかを明らかにしてから検討すべきです。

■体制整備が課題

―ユニオンでは今後、電話相談の取り組みを定期的に行うなど、活動を本格化させる方針だと伺っています。
 勤務医110番が効いたのか、医師の相談が普段から寄せられるようになりました。可能な範囲でしっかり対応していきたいと思います。また、労働関係法規をまとめた「医師の働く権利 基礎知識」(医師の働く権利編集委員会 編著)を出版するなど、5月の発足以来、情報提供には取り組めています。年明けには、病院を相手に想定した模擬団体交渉を公開で行う予定です。実績を積みながら、会員増に取り組みたいと思います。今後の課題は体制整備です。もう少しマンパワーがあれば、例えば毎月第4土曜日を相談対応の日にするなど定期的な対応ができますが、そこまでの体制はまだできていません。
こういう記事を載せると、
『時給4000円』あたりに反応されて、
「高給取りの医師はつべこべ言わずに働け!」などと言われそうですが…(汗)

医療界では「医師は聖職者だから残業代を払わなくてもいい」という、おかしなことになっています。

未だに多くの病院ではそうなっています。
『当直』明けは当然のように、手術を含む仕事ですし…

仮に労基法にのっとってこれらの支払いを求められたら、医師に無駄な残業をさせずに帰宅を促したり、交代制の採用を検討したりと、病院側も労務管理を真剣に考えるはずです。

今後は、勤務に制約の多い女性医師が増え、昔気質の『聖職者』は減少する一方です。
今のままでは『世界一の日本の医療』を維持することは出来ません…

閉じる コメント(18)

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昔気質は、いらないと思いますが。悪の根源、仮眠室に住んでいる人は、おうちにかいりましょう。

2009/10/25(日) 午後 8:17 [ おみぞ ]

私達大学教員は医師の皆さんに比べると自分で時間管理が出来るのは有り難いのですが、残業手当が無いのは同じなので、時給換算だと1500円くらいにしかならないことに気付いて驚いたことがあります。

でも大学教員の場合は、仕事量をまず減らして欲しいです。
仕事が1/3減って、給料も1/3減ったら十分有り難いです。
その方が日本の科学も進歩するんじゃないかな。

2009/10/25(日) 午後 9:05 [ bloom@花咲く小径 ]

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おみぞさん、「家よりも職場の方が居心地がいい」
「患者さんの容体が気になって、家では落ちつかない」
という人がいるんですよ…(笑)

2009/10/25(日) 午後 9:19 さすらい泌尿器科医

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bloom@花咲く小径さん、確かにタイムカードが無い(ハズ(笑))
研究職の方々にとっては、残業手当を出せとは言い出しにくいですよね…(涙)

私は仕事量だけ減らすのはなかなか難しいかと思いますので、
資金が増えて人が集まることにより、待遇も改善されることを望みますが…

2009/10/25(日) 午後 9:29 さすらい泌尿器科医

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研究職は研究室に住んでいますからね。 医療以外でしたら、検査機器で、調理器具の代わりできますし。 住んでたな・・・ 問題は洗濯が・・・。 化学系は徒弟だし。

2009/10/26(月) 午前 1:27 [ おみぞ ]

2日間寝ないで実験とか、書類仕事をお持ち帰りとか日常的ですからね。そして今朝も徹夜明けです。

ただ、給料が良くて激務、という仕事はそのまま待遇が改善されないというのは、医療関係・研究関係・外資系などで証明されているのではないでしょうか。

特定の人に高給を与えて死ぬまで使い潰す方がトレーニングも少なくて管理者側は楽なんです。死ななければ儲けもんだし。

2009/10/26(月) 午前 6:52 [ bloom@花咲く小径 ]

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助手の待遇は少し改善されたかも。その分教授の雑用が膨大に、増えましたね、秘書がほしいと悲痛な叫びが。

2009/10/26(月) 午前 10:08 [ おみぞ ]

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おみぞさん、住み込みは、通勤(通学?)時間を省けるので楽なのですが
洗濯は問題ですね。(食事や寝る場所も…)

病院には、手術着という便利なものがありますが…(爆)


確かに、日本の教授の給料は安いですよね…
秘書もいないのでは悲しいですね…

2009/10/26(月) 午前 11:36 さすらい泌尿器科医

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bloom@花咲く小径さん、
>特定の人に高給を与えて死ぬまで使い潰す
これは医療に限らない、日本の悲しい現状ですよね…

>給料が良くて激務、という仕事はそのまま待遇が改善されない
サービス残業を無くし(減らし)、時間外手当をしっかり要求することが
待遇改善への道を開く事になるのではないでしょうか?

一人だけで要求するのは難しいとは思われますが…

2009/10/26(月) 午前 11:43 さすらい泌尿器科医

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その通りですね。インフル流行時の冬にコンビニ受診&救急車の内科当直は地獄ですし、当直明けに意識が朦朧状態で外来をやるというのは医療ミスにもつながるので極めて危険です。
特に小児科の診療報酬の安さは信じられませんね。成人患者よりも体力も免役力もない患者を相手にしていて、なおかつ時にモンスターペイシェンツピアレントを相手にしないといかんのに。
今こそもっと小児科に報酬を!!

2009/10/26(月) 午後 2:42 [ SNS ]

私達の業界は時間外手当は成立しないです。古今東西、もらっている人を見たことがないです。

ざっと見ても人手が足りないのが分かるんですけど、勤務時間調査では一日14時間くらいが多かったです。私もそれくらいかな。

お医者さんは勤務時間が分かりやすいので、改善されると良いですね。

2009/10/26(月) 午後 9:48 [ bloom@花咲く小径 ]

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勤務医の労働条件と言うと,必ず病院経営の問題が議論されます。社会全体の責任も問題にされます。しかし,労働契約上守るべき義務を守れないと維持できない経営というのは何だろうかという気がします。病院経営のあり方に根本的な無駄があるとか,営業上の努力が欠如しているとか,病院長の収入が多すぎるとか,マネジメントに問題はないのでしょうか。いくら病院でもできないことはできない,やってはいけないことはやってはいけない,そのルールを守っても,なお,経営を維持していくという姿勢が不十分ということはないでしょうか。

2009/10/27(火) 午前 8:48 [ 籠橋隆明 ]

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SNSさん、その通りですね。
小児は検査などで稼ぐのは無理なのですから、
もっと診療報酬上で優遇すべきだと思います。

2009/10/27(火) 午後 2:59 さすらい泌尿器科医

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bloom@花咲く小径さんが、遠い目をしている姿が目に浮かびます…
>私達の業界は時間外手当は成立しないです。
確かに制度的にも難しいのは間違いないのですが、
何かいい方法はないですかね…

2009/10/27(火) 午後 3:02 さすらい泌尿器科医

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マネジメントに問題がるとすれば、金の切れ目が縁の切れ目を実践していないからでしょう。

2009/10/27(火) 午後 3:02 [ おみぞ ]

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籠橋隆明さん、確かに同業者から見ても
マネジメントに問題がある病院は多いです。(汗)

しかしそういう病院を潰してしまうと(自浄作用は乏しい業界だと言われていますが…)
残った病院の負担がさらに重くなるのが、悲しい現実です。

Yosyan先生の去年の記事です。ご笑覧ください。(爆)
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080221

2009/10/27(火) 午後 3:33 さすらい泌尿器科医

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最近、ある医療関係者とこの問題を議論しました。私が経営努力が足りないのでは、というと、確かにということでしたが、実際のところ、診療報酬制度や多くの規制で、努力するにも限られているということでした。たとえば、勤務医の労力を軽減するために補助スタッフをつけるとした場合、たとえば書類作成ですね、これを価格転嫁するなりして資金回収できない、それは診療報酬制度の問題もあるし、患者に負担をかけられないという現実もあるとうことでした。企業努力がすぐに経営に反映できない「不自由」さというがあるということだそうで、病院経営に対する私の認識の甘さを実感しました。

2009/10/28(水) 午前 8:54 [ 籠橋隆明 ]

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はじめまして。当方、北海道在住。たまたま11/23 下記の番組を視聴しました。

『赤ひげよ、さらば。』 HBC(TBS系)

うろうろドクターさんもご存知の事例かと思いますが、勤務医ゼロに直面した北海道むかわ町 穂別診療所について、ローカル局制作のドキュメンタリー番組。放送賞を獲得したらしく、 順次全国でも放映予定とのこと。

http://www.hbc.jp/hbc/press2009.html

『住民の意識や行動が医師を疲弊させ、医師を地域から立ち去らせていることにも崩壊の原因があることに迫りました 』
ありがちなモンスター・ペイシェントを揶揄する内容ではなく、地域医療を守るべく行動する住民、崩壊直前になっても医師に要求するだけの住民を淡々と映します。そして、住民の理解,行動した例について、夕張の村上医師、兵庫県丹波市 柏原病院を挙げていく硬派な内容。

この番組を全国で。と思う反面、映像の大半が過疎地域や高齢者のため、例えば都市部の“受け入れ不能”とリンクさせて、自分自身の問題と捉えてくれるか不安もあります。

2009/11/24(火) 午前 0:42 [ たはた ]

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