うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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困った顔

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はにほさん、情報有難うございます。m(__)m
平成19年6月25日の初公判から2年半…

いよいよ判決です。
(とは言っても、一審で確定する可能性はゼロに近いですが…)

改めて、亡くなった妊婦さんのご冥福をお祈りします。m(__)m
奈良の妊婦死亡訴訟が結審 3月1日に判決
2009年12月21日12時47分 朝日新聞

 奈良県大淀町の町立大淀病院で2006年8月、出産中の妊婦が19の病院に転院の受け入れを断られた末に死亡した問題で、遺族が町と担当医師に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟が21日、大阪地裁で結審した。判決は来年3月1日。

 この日の第4回口頭弁論で、長男の出産後に脳内出血で亡くなった高崎実香さん(当時32)の夫で原告の晋輔さん(27)は「担当医が誤診しなければ、妻は助かったかもしれない」と陳述。一方、被告側は「医師個人の責任ではなく、母体搬送システムの不備が引き起こした事故だった」と反論した。
http://www.asahi.com/national/update/1221/OSK200912210064.html

奈良・妊婦転送死亡:賠償訴訟 判決は3月1日
毎日新聞 2009年12月21日 大阪夕刊

 奈良県大淀町の町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となり死亡した高崎実香さん(当時32歳)の夫晋輔さん(27)らが町と担当医に賠償を求めた訴訟の弁論が21日、大阪地裁であった。晋輔さんが「子どもが(今後)どれだけ苦しむかを考えると毎日がつらい。正直に誤診を謝ってほしかった」などと涙を流して陳述し、結審した。判決は来年3月1日。

 訴状によると、実香さんは06年8月7日、出産のため同病院に入院。翌日午前0時ごろ頭痛を訴えた後、意識を失った。別の病院に転送されて長男は生まれたが、実香さんは脳内出血で8日後に死亡した。

 原告側は「意識を失った時点から4時間以上、放置された」と主張。町と医師側は「転送の決定に遅れはなかった」と請求棄却を求めている。【日野行介】
http://mainichi.jp/kansai/news/20091221ddf041040006000c.html

相変わらずのエブリデイの記事ですが、
下記、読売の記事には絶句しました…
「妻を返して」夫が意見陳述…「大淀・妊婦死亡」結審
2009年12月21日 読売新聞

 奈良県大淀町立大淀病院で2006年8月、出産時に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)が相次いで転送拒否された末に死亡した問題で、夫の晋輔さん(27)と長男、奏太ちゃん(3)が同町と担当医に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が21日、大阪地裁(大島真一裁判長)であった。晋輔さんが「実香を奏太のもとに返してください。奏太を抱かせてあげてください」などと意見陳述し、結審した。判決は来年3月1日。

 訴訟で、町と担当医は争う姿勢を示している。この日、意見陳述に立った晋輔さんは「小さな子どもをベビーカーに乗せて散歩している夫婦を見ただけでも胸が張り裂けそうになる。今まで当たり前のように思っていたことが、つらくてつらくて毎日が生き地獄のよう。僕の命と引き換えでいいのなら、すぐにでも返してほしい」などと訴えた。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20091221-OYO1T00580.htm

今さら病院や町が全面勝訴しようと、閉鎖された大淀病院産科が復活することはありませんし、
全国最低の奈良県の産科医数が大幅に増えたりもしないでしょう…

小さな子どもをベビーカーに乗せて散歩している夫婦を見ただけでも胸が張り裂けそうになる。

という高崎氏の心境には大いに同情しますが、
無理が通って遺族側が全面勝訴したら、
産科や救急医療に従事する医療者の数は更に減ることでしょうね…

個人的には「ぶぶつけ判決」で、精神的苦痛を認めた110万円の賠償金あたりでどうでしょうか?
と思っていますが…

エブリデイがご遺族を炊きつけさえしなければ、
こんな事にはならなかったのかもしれないのですが…


町医者先生に教えて頂いた朝日の記事を追記しておきます。
ウィキペディア丸写しで書面間違い 妊婦死亡訴訟で町側
2009年12月22日4時3分 朝日新聞
     
 奈良県大淀町の町立大淀病院で2006年8月、出産中の妊婦が19の病院に転院の受け入れを断られた末に死亡した問題で、遺族が町と担当医師に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟で、被告の大淀町側の代理人が事実と異なる経緯を準備書面に記載していたことがわかった。 

 誰でも書き込みができるインターネット上の百科事典「ウィキペディア」からそのまま引用していた。今後、大阪地裁に上申書を提出し、この部分を訂正するという。 

 長男の出産後に脳内出血で亡くなった高崎実香さん(当時32)の夫で原告の晋輔さん(27)が、大阪地裁で21日にあった陳述で明らかにした。 

 被告側の第7準備書面は訴訟に至る経緯を「07年2月に検察が立件を断念すると、検察審査会に不服申し立てをし、不起訴不当議決を得て検察が再捜査を始める中で、当初民事訴訟はしないと言っていた原告らは07年5月に本訴を提起した」とした。 

 しかし、立件を断念したのは奈良県警で、検察審査会にはかかっていなかった。被告側代理人の米田泰邦弁護士は「書面作成にあたってウィキペディアを参照した。具体的な日付まで書いてあったので、間違いがあるとは思わなかった。争点に関係ないので、被告の大淀町に刑事告訴の有無などの事実経過は確認していない」と話した。 

 晋輔さんは「法廷は真実だけを述べる場だと信じていましたが、亡くなった実香の人格を何度も何度も踏みつけにし、私たち遺族を二重、三重に傷つけるこのような行為を決して許せません」と話した。 
http://www.asahi.com/national/update/1222/OSK200912210168.html

おみぞさんのご指摘の通り、普通は『刑事訴訟』を立件するのは検察で間違いはないハズです。
しかし、当時の記事は『大淀病院問題、奈良県警が立件見送り』となっています。

さらに、ググっても『書類送検した』という記事が見つかりませんし、
『本件は、警察が送検前に立件を見送ったという事案』というモトケン先生のコメントがありました。

検察審査会で『不起訴不当』となったのは大和高田市立病院の事件ですね…

民事訴訟の本筋とは関係ない話ですが…

「医療崩壊(産婦人科)」書庫の記事一覧

閉じる コメント(17)

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全くですね。マスゴミの炊きつけは結果的に遺族を苦しめるだけで何も残さない。公正な医療過誤判定システムがなく、無過失補償制度システムもない。医療の限界というものを決して認めようとしない(この議論そのものをタブーとする)この価値観の歪みというのはどうしようもないですね。奈良南部は産科のみならず病院医療はすでに崩壊しています。奈良の大阪依存体質も深刻だと思います。
こういう事が続く限り、地方を中心に今後も急加速的に医療は崩壊していくでしょうね。

2009/12/22(火) 午前 8:26 [ SNS ]

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大阪地裁の医事事件集中部がどう判断するかでしょうね。悪名高き、大阪高裁の審議もあることでしょうし。 民事は魔物が住みますからね。

わが、大阪府知事は、ドクヘリで、奈良もカバーするような事を申しておりますが。 訴訟が増えるだけかも。

2009/12/22(火) 午前 11:06 [ おみぞ ]

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こんにちは
何とも痛ましい出来事でしたが、マスコミ、法曹界との齟齬は全く埋まりそうもありませんね
「遺族 VS 主治医or行政」の構図では何も生まれないと思います

2009/12/22(火) 午前 11:07 [ ロートル医師 ]

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http://www.asahi.com/national/update/1222/OSK200912210168.html

こんな弁護士を雇っていて大丈夫か?
手抜き弁護をやっているってことが明かじゃないですか、まったく。

2009/12/22(火) 午前 11:20 [ 町医者 ]

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立件は、検察の範囲での言葉で、警察の範囲でないですよ。起訴にかかわることですから、警察にその権限はありません。お忘れなく。

警察は、捜査です。

しかし、この弁護人で、大丈夫かいな。

2009/12/22(火) 午前 11:39 [ おみぞ ]

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SNSさん、毎日新聞のA記者さえ騒がなければ、
大淀病院の産科も閉鎖されず(これは微妙かな?)、
高崎氏も被告医師も苦しまずに済んだ可能性は高かったのですけどね…

こういう事を書くと、『事故を闇に葬るつもりか』とか言われますが…

2009/12/22(火) 午後 1:32 さすらい泌尿器科医

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おみぞさん、大阪高裁は恐怖ですね…(汗)

>大阪府知事は、ドクヘリで、奈良もカバーするような事を申しておりますが…
いろいろな節約をさせられている大阪府民は不満の声を上げないのですか?

立件の話は、詳しく追記しましたが、
書類送検の事実が無いようです。珍しいですよね。

もしかして、書類送検されてないと検察審査会にはかけられないのですかね?

2009/12/22(火) 午後 1:39 さすらい泌尿器科医

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町医者さん、刑事訴訟関連は今回の争点ではありませんが、
裁判官の心証は悪くなりますよね。

立件を見送ったのが警察か検察かはどうでも良いと私は思いますが、
「検察審査会に不服申し立てをし」は完全に間違いですからね。

加古川事件の
『当直医は、70分間の間に5つの周辺病院に転送要請を行ったが次々に断られた。』
http://www.iryo-bengo.com/general/press/pressrelease_detail_31.php
と同じような、訴訟戦略ですね。

2009/12/22(火) 午後 1:51 さすらい泌尿器科医

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検察審査会は、起訴にかかわる検察事案ですから、送致されませんと、検察事案とはなりませんね。

警察の捜査がないと、送致もありません。
捜査されなかったということですね。手続き上は。 警察と検察で初期の段階で話し合いがあったのでしょう。事情聴取だけで、捜査とはなりませんから。事件性なし。の判断でしょう。 病死。

医師法21条の届出は、すべて捜査しなければならないわけでもないですし。 事件性なしの場合も多くあります。 司法解剖さえ行わない場合も多々あるわけで。それが、現在問題になっているわけですが。

2009/12/22(火) 午後 2:09 [ おみぞ ]

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モトケン先生の見解は

http://www.yabelab.net/blog/medical/2007/02/02-212938.php

No.10 モトケン さん | 2007年2月 3日 18:07 | 返信 (Top)
本件のような微妙な事件については、警察は検察とかなり突っ込んだ意見交換をしている可能性があります。
県警と地検との関係にもよりますが、良好な関係であればつまり三席検事か次席検事が県警から信頼されていれば、立件前の事前相談があって、地検の消極意見を警察が受け入れた、ということが考えられます。

もちろん奈良県警の警察幹部の考え方が福島県警とはかなり違っていた可能性もあります。

つまり、捜査というものは、捜査指揮官(警察で言えば県警の一番上は本部長、地検なら検事正)の個人的な考え方の違いによって、結論が大きく違ってくる場合がいくらでもあるのです。

たぶん、医者の世界でも似たようなことがあると思います。


YUNYUNN先生の言われるように、警察に有利な、見解が得られなかった可能性もありますが。

2009/12/22(火) 午後 2:40 [ おみぞ ]

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立件なんて、言葉が正確でないのです。 立証ときちっと言ったほうが良いのですが。
報道用語は、彼らの隠語でしかありませんし。

2009/12/22(火) 午後 2:43 [ おみぞ ]

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心痛む事件ですよね。
他人事ではないですよね。

真実は分かりませんが、もっと患者側がお産は100%安全ではない事をしっかり認識していたうえに医師と普段から十分に話が出来ていて信頼関係が出来ていたら、きっとこんなことにはなっていなかったのではないでしょうか・・・?と、私は思うのですが・・・。

2009/12/23(水) 午前 0:58 [ とろ ]

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誰も亡くならないのが最善かもしれませんが、現実にはありえません。
我が子の誕生という人生でも最大といってよいかもしれない幸福の
時に、予想外の不幸に見舞われた遺族にお悔やみ申し上げます。

しかしこうした裁判に関する情報を読んでいっても、たどり着くのは
「裁判は遺族の心に安らぎをもたらしはしない」ということです。
今回の原告側代理人ですら「裁判は、けんかですからね」と言ってた
そうですし。

もちろん犯罪としかいえないような事件もありますが、それは警察・
検察が扱うべきで、やはり遺族の安らぎと喪を重視した社会へ、
変わっていく必要があるように思えます。
特にマスコミには、被害者側へのコンタクトに倫理規定を作っていた
だきたいなと思います。

2009/12/23(水) 午後 3:07 [ はにほ ]

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おみぞさん、モトケン先生の見解も含めて
憶測のみでの議論しかできませんが、
警察の独断で送致を見送った可能性はかなり低いですよね。

そのくらい『明らかに刑事罰に相当する過失ではなかった』事案だったですが、
言葉尻を捕えて、こういう噛みつき方をしますかね…

2009/12/24(木) 午後 4:33 さすらい泌尿器科医

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umeママさん、その通りですね…

母親になる妊婦さんの「お産の危険性」に関する知識にも個人差が大きいですが、
男側の知識など貧弱極まりないです…(もちろん個人差はあります)

こういう悲劇が起きてから、
「実はお産は100%安全ではないんです」と言われても
『はい解りました』とはなかなか言えませんよね…
(説得役の妻は亡くなっていますし…)

>医師と普段から十分に話が出来ていて信頼関係が出来ていたら…
その通りですが、
医師側も忙しいですし、夫側も仕事などで忙しい事が多いですからね…

難しい問題です…

2009/12/24(木) 午後 4:53 さすらい泌尿器科医

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はにほさん、本当にその通りです。
>裁判は、けんかですからね
裁判とは、原告・被告のどちらの主張が裁判官に受け入れられるかの
闘いです。
当事者(原告)が傷つかない事など不可能なのです。

被告は敗訴すれば、財産を失い刑務所に入れられるのですから、
相手の人格などに配慮する余裕はありません。

>裁判は遺族の心に安らぎをもたらしはしない
殺人事件などでも同じですが、
『すぐにでも返してほしい』という、絶対に不可能な願いが叶わない以上、
「犯人を八つ裂きにする」という判決が出ようとも、
心に安らぎはもたらされないでしょうね…

>マスコミには、被害者側へのコンタクトに
>倫理規定を作っていただきたいなと思います。
同感ですが、視聴率至上主義のマスコミには
遺族の涙は魅力的なのでしょうね…

2009/12/24(木) 午後 5:04 さすらい泌尿器科医

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んー、判決、いよいよ明日ですね。

どういう判決が出て、マスコミがそれをどう報道をして、どういう影響が医療現場に起こるのか。

自分の中では「もう日本の医療は完全崩壊でいいよ」的な諦め感が漂いつつありますが、はたしてどうなる事やら…。

2010/2/28(日) 午後 7:32 [ KRTさん ]


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