うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

泌尿器科の日常

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先日、「レセプト並み明細書の義務化」は医療崩壊を促進する。という記事を書きましたが、
2月5日の中医協では、何とそのまま成立してしまったそうです…

正直、嘉山先生には失望しました。

まあ、このまま実施して、大学病院や大病院に『医療不信』が渦巻き完全に崩壊するのも一興ですが…
私は座視できません。

 厚生労働省は、患者にとって分かりやすい診療報酬や医療の透明化などを進めるため、診療内容が詳しく分かる医療費の明細書をすべての患者に無料で発行する医療機関を現在よりも増やしたい意向だが、明細書の発行を希望しない患者がいることや、診療費を立て替え払いした他人に患者の情報が漏れる危険性などを指摘する声もある。

 例えば、交通事故で救急搬送された患者の診察費を他人が立て替え払いした場合、患者の個人情報を含む明細書を他人に発行してもいいか、別のケースではどうか。個別の事例ごとに医療現場の判断に委ねるのか。もし、患者がプライバシー侵害などを主張する場合、その相手方は医療機関か国か、責任の所在をどう考えるのか─。

 患者情報の取り扱いについてあいまいな点を残したまま、明細書の発行をめぐる議論はひとまず決着した。4月の診療報酬改定について審議する厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)が2月5日に開かれ、厚労省が示した明細書の発行案を全員一致で了承した。

 前回の提案では、「正当な理由のない限り、全ての患者に対して明細書を無料で発行する」としていたが、今回は「正当な理由のない限り、原則として明細書を無料で発行する」に修正。明細書の発行を希望しない患者などへの対応について、「会計窓口に『明細書を希望しない場合は申し出て下さい』と掲示すること等を通じて、その意向を的確に確認できるようにする」と付記した。
 つまり、患者のプライバシー保護を医療現場の運用に委ね、クレーム対応などの負担も現場が負うということ。今回の修正案は、「全ての患者に対して」の文言を削除して、「全員発行」の方針を一歩下げたように見せながら、「事実上の全員発行」を医療機関の責任と努力で進めさせていくという、まさに厚労省らしい玉虫色の書きぶりだった。

 厚労省の担当者は、「大きな枠組みは前回提出したものと同じ」と説明。会議終了後の記者説明でも、「全員に発行する方針は変わらない」と言い切った。厚労省の方針が大きく転換したわけではないのに、診療側の委員は笑顔で厚労省案を支持。意見が割れた2日前とは違って、笑い声があふれる和やかな雰囲気の中での決着だった。

 全員一致で了承された後、長年にわたって明細書の全員発行を訴えてきた勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)がようやく口を開いた。すると、それまで笑顔だった診療側委員の表情がみるみるうちに曇り始めた。しかし、"時既に遅し"だろう。勝村委員は次のように述べた。
 「自分の部屋は非常に散らかっていて片付けていない。だから、お客さんが僕の部屋に入ろうとすると、いろいろと理由を付けて『入ってくれるな』と言うんですけど、どうしても『入ってくる』と言ったときに初めて部屋を掃除する。綺麗にしていこうという努力をしていく。そういう情報開示の力っていうのが、きっとあるんじゃないか。それは、入ってくる人が国民であり患者であり、本当にそこの主役である人が入ってくる。(医療現場の)皆さんが本当に一生懸命やっている所に力になっていこう。一緒に片付けていこう。何をやったら完璧ということはないかもしれないが、こういう一歩を頂けたことはありがたいと思う」
http://lohasmedical.jp/news/2010/02/07111627.php?page=1

元の資料はこちらです。(PDF)

勝村氏は常々、「医療機関には隠蔽体質がある」と仰っている方ですから、
医療機関は、さぞかし「散らかった部屋」に見えるのでしょう…

彼らのそういう認識は、もはや修正不可能だと思いますが、

その権利意識を

『支払い側委員』と『厚労省』が悪用して、「情報公開」というタテマエのもと、医療費削減と医療機関への締め付けを強めようとしているのが、今回の『明細書』騒動の真実だと私は考えます。

現在は、

一つでも保険適用外の診療が混じったら、禁止された「混合診療」となり、全ての診療が『全額自己負担の自費診療』になってしまう

ので、
今まで「患者さんに必要な治療や投薬を、保険の適用で行なう」ために、
『レセプト病名』つけなどを嫌々行なってきたのですが、
そういう「必要悪」が白日にされされれば、
保険適用外の検査や投薬を手控えることにより、
支払い者や厚労省の思惑通り医療費は削減されるかもしれません。

しかし、「必要な検査をできない」ことにより犠牲になる患者さんや、
「必要な検査を怠った」と訴えられる医療者はかなりの数に上るでしょう。

かといって、『全額自己負担の自費診療』の支払いを窓口で求めれば、
患者さんや家族からのクレームが待っています。

このように、

明細書の「全員に発行」義務化は、医療機関にとって計り知れない精神的・金銭的負担となります。

(説明を保険者や厚労省に、「必要悪」の説明を押し付けられるなら別ですが…)
われわれ医療者は労働者としての『権利』も守られないのに、『義務』ばかり増えていきます。

まずは、診療報酬点数など健康保険制度のひずみを修正し、崩壊する現場を救うのが先決のはずではないでしょうか?

現場にさらなる負担を強いる、この「レセプト並み明細書の義務化」には、やはり賛成できません。

対策はこれから考えます。


参考記事です。
是非、ご覧下さい。
中間管理職先生
Dr.Poohの日記
沼地の日記
ぐり研ブログ

 レセプトは、医療機関が保険者に診療報酬を請求するために提出する診療報酬明細書で、投薬の内容などが詳細に記載されている。このレセプトと全く同じではないが、診療内容が詳しく記載されている明細書の発行は既に進んでいる。現在、レセプト(診療報酬明細書)をオンライン請求している医療機関には、希望があった患者に明細書を発行することが義務付けられている。 こうした中、明細書の発行を義務付ける医療機関をさらに増やすことを求める患者団体もある。その背景にあるのは、医療事故や薬害などの訴訟。いざという時のために、患者が受診した際の情報をあらかじめ保管しておく必要があると考えるのだろう。

 現在、「求めがあった場合のみ」「有料または無料」で明細書が発行されているが、これでは不十分であると考え、「全患者に」「無料で」─という2点を強調している。

 中医協でも、患者を代表する立場として参加している委員が、「全患者に」「無料で」という2つの条件で明細書を発行することを求めている。これを受け、厚労省は2月3日の中医協で「レセプトの電子請求を行っている保険医療機関等については、以下に掲げる正当な理由のない限り、すべての患者に対して明細書を無料で発行する」という案を示した。

 これに支払側の委員は賛成したが、診療側委員は反対した。同日の議論で診療側は、「患者への情報提供が必要」との考えにはこれまでと同様に賛同しており、「明細書の発行」それ自体には反対しなかった。
http://lohasmedical.jp/news/2010/02/04151627.php?page=1

それなのにどうして、2日で賛成に回ってしまったのか…(涙)
海千山千の厚労省や支払側委員に、うまく手玉に取られてしまったのでしょうか…(涙)


現場の人間は抵抗しますけどね!

閉じる コメント(26)

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医療界に「グレーゾーン」廃止の波ですね。
もしかして、遡って患者から返却請求されることも?
経営が苦しくなる病院が増えそうです。。。

2010/2/9(火) 午前 11:55 [ 田舎勤務医 ]

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rad*o1*09*さん、一般市民にとっても弊害の大きいこの「明細書発行」ですが、
構図がわかりにくいのは確かです。

大きくは、『会計』の待ち時間が延びることと、
「保険病名」が使用できなくなることにより、
(救急などで)必要な治療や投薬を提供できなくなる or 全額自費を請求される
可能性がある事ですね。

2010/2/9(火) 午後 1:41 さすらい泌尿器科医

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通りすがりさん、以前から私は言い続けていますが
勝村氏ら遺族団体は「"元"患者・家族」であり、決して「患者代表」ではありません。

医師など医療者への憎しみを乗り越えられませんので、
医療者の負担減や医療費の増加などを主張することはありません。

医療費削減という利害が『支払い側』と一致するので、
本物の患者代表(例えばがん患者さんの会)の代わりに
中医協に「国民健康保険の被保険者」として、入っているのでしょう。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/12/s1201-5.html

2010/2/9(火) 午後 1:52 さすらい泌尿器科医

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田舎勤務医さん、この制度が実施されれば、
良心的に治療をするだけでも(病院が「保険病名」以外の治療費を被る)
病院の経営は危機的な状況になりそうです。

その上に「返却請求」もされては…

2010/2/9(火) 午後 1:55 さすらい泌尿器科医

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これは酷いですなぁ。
全医師は金縛り状態に陥り、医療は崩壊しまっせ。
ホンマ。
この辺で、「保険医総辞退」全国一斉に遣りまへ
んか。
今、「武見太郎」が医師会には欲しいでんなぁ。
これ転載させて下さい。ポチっ!☆

2010/2/11(木) 午前 6:19 bug*nno*e

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竿も玉もア○ルも全部隅々まで見られてガマン汁ドクドクっすよヽ( ´ー`)ノ
オマ○コたっぷり見るのもいいけど、見せる方にハマリそう(笑)

2010/2/15(月) 午前 9:41 [ 最近の大学生は凄いんですね。。 ]

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こちらでも引用いたしました。勝手をお許しください。

・・・相変わらず、周りが好き放題。これでは、医療崩壊になるわけです。

2010/2/19(金) 午後 7:54 [ 鴛泊愁 ]

そもそも、検査や処方のために本来の病名と違う保険病名を書かなければならないこともおかしいですよね。それを正さないかぎり、保険を通すための保険病名を書くことができなくなってくる。となると患者が自腹をきって今までどおりの医療を行うのか、医者が処方や検査をしなくなり今までどおりの医療ができなくなるのか。患者のためにも医者のためにもならないと思いますが。

2010/2/22(月) 午前 11:15 じゃすみんちゃ

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診療契約は医療行為を依頼する契約で、請負や委任に類似する契約です。請負と違って結果は保障しません。むしろ、「診療過程」とその対価で成り立っている契約と言えます。いずれにしろ、自分の払ったお金がどのような医療行為の対価であるかは知る権利があるでしょうし、医療側は報告する義務があるように思われます。これは、大部分が詳細な内容に関心がないとしても、知ろうと思えば知れる、後からたどろうと思えばたどれるという状態になることが必要ではないかと思います。門外のことで恐縮ですが、どこが問題になるのでしょうか。報告にかかる負担が大きすぎるという点にあるのでしょうか。

2010/2/28(日) 午後 4:52 [ 籠橋隆明 ]

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追伸ですが、医療の現場はレセプトと実際の治療とが違うということなのでしょうか。治療の必要からすれば、レセプトという枠組は硬直過ぎる、この回の問題は、レセプト治療では患者は治せないというところに問題があるのでしょうか。

2010/2/28(日) 午後 5:07 [ 籠橋隆明 ]

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随分と御無沙汰しております。
勤務医として従事している方であれば、大半が現在の医療水準を維持するのは困難かと思われます。
一般の方々には、理解されないかもしれませんが、具体例を挙げれば感冒薬として処方される「P○顆粒は上記道炎」という病名が必要ですし、正直に感冒と記載すると査定で減額扱いを受けます。鎮咳薬であれば気管支炎の病名が必要ですし…
現在の診療報酬査定の上に、明細書義務化で診療を求められるなら、外来中に患者さん本人に「この薬にはこの病名が必要です」と全てオープンにしないといけないですが、それを素直に受け入れてくれる方ばかりでもありませんから…
暗澹たる気分です。

2010/2/28(日) 午後 9:46 [ 内科医研究中 ]

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命にかかわる手術など...
手術室内で何が投薬・処置されてるか分からないと言うのも
疑問ですが、書かれてたって素人では分からないのかも....
もし、大事な人が医療ミスで亡くなったら...
その時は レセプト並みの明細の意味は 重要かもしれません。
そもそも、保険病名?全額自費?そんな事すら知らないのですから...

2010/3/11(木) 午後 2:11 [ みわこ ]

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BUGINNOSEさん、遅くなりましたが転載有難うございます。m(__)m
問題が出てくるのは実施されてからでしょうね。

2010/3/11(木) 午後 5:49 さすらい泌尿器科医

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鴛泊愁さん、引用有難うございます。m(__)m

本当にいつまで周囲の横暴に耐えれば良いのでしょうかね…
3月8日の記事は本当に身につまされます…

2010/3/11(木) 午後 5:58 さすらい泌尿器科医

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じゃすみんちゃさん、その通りですね。
どうして普通に請求したら、(保険が通らず)患者さんの負担額は増え、
病院の経営が悪くなるのか?
理解できませんよね。

医者が処方や検査をしなくなり→医療費を削減できる
というロジックなのだと、私は思っていますが…

2010/3/11(木) 午後 6:03 さすらい泌尿器科医

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籠橋隆明さん、まったく正論ですね。
患者さんの知る権利や、医療側の報告義務は当然だと思います。

ただ、今の疲弊している医療現場で、ひずみ・ゆがみの大きいレセプト内容について
医療知識のない患者さんや家族に説明するのは、本当に大きな負担となります。

>医療の現場はレセプトと実際の治療とが違うということなのでしょうか。
じゃすみんちゃさんも仰っているように、
レセプト病名をつけないと、一つでも保険適応外の検査をすると
全額自己負担になってしまいます。

現状ではレセプト病名は必要悪です。

2010/3/11(木) 午後 6:24 さすらい泌尿器科医

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内科医研究中さん、保険病名の査定は本当にナンセンスですね。

>それを素直に受け入れてくれる方ばかりでもありませんから…
説明に要する時間はかなり延びそうですよね…

2010/3/11(木) 午後 6:28 さすらい泌尿器科医

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みわこさん、まさにそこが勝村氏の目的です。

>もし、大事な人が医療ミスで亡くなったら...
>その時は レセプト並みの明細の意味は 重要かもしれません。
確かにそうですけどね…
こっちの負担増も考慮して欲しいものです。

2010/3/11(木) 午後 6:44 さすらい泌尿器科医

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あんなに舐められたの初めてだって!!まさか頭から足の指先までペロペロされるとは!!
まじ気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうだったぜ・・・(*゚∀゚)=3ハァハァ
しかも謝礼とか言って5万もらったし、俺いい思いしすぎだwwwww

2010/3/14(日) 午前 11:00 [ 逆・援・女ぱねぇっす!! ]

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あばばばばば!!なんじゃこりゃ!?
3日やっただけでオレの安月給を軽く越えちまった!!!!
てかもう働く意味ねぇし、オレこれで食ってくわ!!うはははははwwww

2010/3/20(土) 午前 6:51 [ オレもう仕事やめるッ!! ]

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