うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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無医化危機 揺れる村
上小阿仁唯一の医師辞意
2010年3月11日 読売新聞

 1通の辞職願で上小阿仁村が揺れている。村唯一の医療機関「上小阿仁村国保診療所」に勤務する有沢幸子医師(65)が「精神的に疲れた」と先月下旬、突然、退職表明し、61年ぶりの無医村になる可能性が出てきたのだ。関係者は必死の慰留を続けているが「辞職の意思は固い」という。休みは20日に1回という激務に耐え、地域医療を支えてきた有沢医師に何があったのか。(糸井裕哉)

 ■村の神様

 「死に水を取ってもらえた」「こんなに話しやすい先生は初めて」。村を歩くと村民から、有沢医師への感謝の言葉が聞こえて来る。有沢医師は昨年1月の赴任以来、午前8時30分〜午後5時15分の定時診療のほか、早朝や夜間の往診も自発的に続けている。

 脳梗塞(こうそく)で倒れた母(88)の看病を続ける小林ユミ子さん(66)の元にも、有沢医師は診療時間の合間を縫って連日訪問。今月8日の流動食開始日には3度往診し、「鼻から胃へ液体を落とすのよ」と優しい口調で説明を続けた。

 小林さんは「分からないことは丁寧に教えてくれる。有沢先生は私たちの神様なんです」と話す。

 斉藤ヒサコさん(70)は昨年3月に他界した義理の母(享年92歳)に対する有沢医師の献身的な診療が忘れられない。

 ふりしきる大雪の中、深夜の午前1時でも3時でも容体が悪化すると点滴や酸素ボンベを持って夫と駆け付けてきた。嫌な顔一つせず、「少しでも休んで」と家族をいたわってくれた。

 「息を引き取る瞬間まで、『ばぁちゃん、早く元気になれ』と声を掛け続けてくれた。先生が居なくなったら私は生きていけない」と斉藤さんは声を絞り出した。

 ■心に傷

 辞意を表した理由を有沢医師は公にしないが、小林宏晨村長(72)は「言われ無き中傷により、心に傷を負わせてしまったことが最大の原因」と語る。

 村幹部らによると、有沢医師は昨秋、診療所向かいの自宅に「急患にすぐに対応できるように」と自費で照明を設置。だが、直後に「税金の無駄使いをしている」と言い掛かりを付けた村民がいたという。

 また、昼食を食べに行く時間が無く、診療所内でパンを買った際、「患者を待たせといて買い物か」と冷たい言葉を浴びせられたり、自宅に嫌がらせのビラがまかれたこともあったという。

 昨年、有沢医師の完全休診日はわずか18日。土日や祝日も村内を駆け回り、お盆期間も診療を続けた。しかし、盆明けの8月17日を休診にすると「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ」と再び批判を受けたという。

 診療所の小嶋有逸事務長補佐(60)は「こんなに身を粉にして働く医師は過去に例が無い。無医村になったら村民が困る。自分で自分の首を絞めている」と憤る。

 ■翻意なるか

 村は、有沢医師の負担を軽減するため、土曜日の完全休診制や村の特別養護老人ホームへの往診免除などを申し入れ、交渉を続けているが結果は芳しくない。

 村民の中には有沢医師に「辞めないで」と懇願するために受診する人もいる。署名活動の動きもあり、旅館経営の高橋健生さん(62)は「一人でも多くの声を伝えなければ手遅れになってしまう」と話す。

 有沢医師は兵庫県出身で、海外や北海道の利尻島などで診療に携わった経験がある。村へは夫と共に移住した。有沢医師は後任が見つかるようにと辞職日を来年3月末にした。だが翻意しなければ、村は2〜3か月後に医師募集し、後任探しをしなければならない状況に追い込まれる。

 小林村長は「一部の不心得者のために人格も腕も一流の医師を失うのは不本意。医師不足は深刻で、無医村になる公算は限りなく大きい」とため息をつく。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20100310-OYT8T01075.htm

休みは20日に1回という激務に耐え、地域医療を支えてきた

現場を去ることになった、有沢先生の気持ちを思うと涙が出そうになります。
本当にお疲れさまでした。

福島奈良でも、同じように1人の医師にすべてを背負わせた話がありましたね…

「スーパー(ウー)マン医師」一人にすべてを背負わせるシステムは、医師の健康管理や訴訟対策の面でも時代遅れです

有沢先生の環境で、労働基準法の話をするのはナンセンスですからね…

有沢医師は後任が見つかるようにと辞職日を来年3月末にした。

このあたりにも、有沢先生の人柄の良さが出ていますが、
あまり賢明な方法ではないと、私は思います。

そんなに先の辞職日設定では、もし後任が見つからなかったら、本当に辞められるのでしょうか?

そして、もし後任が見つからないのに辞めた時、無医村となる村民がどういう反応を示すか?
「税金の無駄使いをしている」と言い掛かりを付けた
「患者を待たせといて買い物か」と冷たい言葉を浴びせられた
「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ」と再び批判を受けた
村民が一部とはいえ居ますので、
私は危うさを感じてしまいます。

しかし、そう遠くない場所に、一部には有名北秋田市民病院がこの4月に開業しますので、
無医村となることなど気にせず、すっぱり辞めた方が良いと、私は思います。



閉じる コメント(59)

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rad*o1*09*さん、私にも無理です。
(泌尿器科医ではあまり役に立ちませんし…(笑))

後半の話は、私も似たような懸念をしています。
嫌ですね…

2010/3/12(金) 午後 1:37 さすらい泌尿器科医

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ybb_621さん、これは長隆先生のご意見なのですか?

有力者とか政治家がらみは、本当に嫌ですね。

2010/3/12(金) 午後 1:40 さすらい泌尿器科医

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いろいろ話題の村のようですね。
wikipedia もリアルタイムで書かれてました。

少し落ち着いて書いた方がいいかも知れません。
こういう時は遅筆の方がいいかも...。(苦笑)

2010/3/12(金) 午後 3:35 [ luckdragon2009 ]

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luckdragon2009 先生 下記など参考に。

http://atsutane.exblog.jp/tags/%E9%99%90%E7%95%8C%E9%9B%86%E8%90%BD/

http://atsutane.exblog.jp/tags/%E4%B8%8A%E5%B0%8F%E9%98%BF%E4%BB%81%E6%9D%91/

http://atsutane.exblog.jp/tags/%E5%8C%97%E7%A7%8B%E7%94%B0%E5%B8%82%E6%B0%91%E7%97%85%E9%99%A2/

とか。汗。

2010/3/12(金) 午後 6:35 [ おみぞ ]

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○過去にもお医者さんが辞めてる
○村長さんの発言まで載せたこのような記事が出る
ってことは、有沢先生はかなり疲労してると思います。
今すぐ休養されるべきだとおもいます。

2010/3/12(金) 午後 10:33 [ DH98 ]

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うわーーーー、なんじゃこりゃ。
なかなか、リアルな話が。

> 上小阿仁村の村長は秋田県の首長の中では一番、開明的である。
> 核廃棄物処分場の誘致や、軽犯罪者の授産施設などの誘致を発表した。
> しかし、必ず周囲の人間に足を引っ張られて頓挫している。
> 上小阿仁村の掟で「困ったら木を売れ」というのがあるそうだが、今のご時世に木なんか売れるわけないではないか!!

2010/3/13(土) 午前 0:59 [ luckdragon2009 ]

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もちろん、木はレアなものじゃない限りは売れませんよ。
単なる杉の木ですよねえ。村の名物、って wikipedia にあったけど。

これは、フォローが難しい事例っぽいぞ...。

三宅島とか沖縄は、実態知っている事例なので、フォロー可能だが。
まあ、一般論は書けるし、林業の怖さ(ダメダメさ)は知っているんだけど。
まさか、DQN論に、もろにぶつかるとまでは思ってなかったので、茫然自失ですねえ。

2010/3/13(土) 午前 1:08 [ luckdragon2009 ]

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北秋田病院は JA系らしいので、内部的事情に強い職員がいそうで、そっちの方がうまく運営可能なんじゃないか。いろんな意味で。

まあ、記事にも書く予定だが、地元の人間できっちり話あってから誘致考えないと、来た人が次々去ることになりかねないですよ。

2010/3/13(土) 午前 1:13 [ luckdragon2009 ]

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金になる杉といっても、樹齢うん百年ものなのですが、そんもの、国有林の林野庁が真っ先に、商売っ気でしてますから。1960年の木材自由化で日本の林業は、ほぼ息の根がとまりましたし。だから、日本の山に木があるんだけど。


地元でも、特別な地域のようですし。
ないっても、村ごと、市内に移住が一番との事ですし。

北秋田病院は、とっても市の中心から離れたところに有るので、行くのに不便みたいですね。

> 医師不足に悩む、北秋田市民病院は北秋田市内の開業医の先生に勤続医になってもらう予定だそうである。

開業医院の看護士・事務員は全て北秋田市民病院に継続雇用されるという噂だ。

一方、市は米内沢病院に自己退職を迫っている。

普通であれば、米内沢病院を退職した人物を雇用すべきではないか?


すごい話。米内沢病院の整形はなくなったようですし。北秋田市民病院にもないということですか?。

2010/3/13(土) 午前 1:47 [ おみぞ ]

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要は地元のごたごたに巻き込まれて、嫌になったんですね。
たぶん、経験してない事でもなかったんでしょうけど、程度が酷すぎだったんだろう。

こういう事って、へたすりゃ沖縄とかの方が穏やかですから。

2010/3/13(土) 午前 7:23 [ luckdragon2009 ]

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てか、高齢者対策なら、沖縄での事例、結構良い事例多いんだよね。

てげてげ、なんで。

2010/3/13(土) 午前 7:28 [ luckdragon2009 ]

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TBさせていただきました。

2010/3/13(土) 午前 7:41 KIDNEY

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そういえば、今回の話題、告発のブログ含め、実名かつ顔写真あり、ですね。

非常にリアルというか、生々しい、というか。ちょっと重た過ぎの感も。

2010/3/13(土) 午前 8:26 [ luckdragon2009 ]

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Yosyanさんが、記事にされました。
私は後から、ゆっくり、てげてげに、書きます。
皆様スピーディだ...。

携帯にて。

2010/3/13(土) 午前 9:05 [ luckrragon2009 ]

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多くのコメント有難うございます。

Yosyan先生の今日の記事を、是非ご覧下さい。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100313

私から付け足すことは、殆どありません。

2010/3/13(土) 午後 0:32 さすらい泌尿器科医

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http://www.izai2.net/muison.html

管理者様のコメントにケチつける気はありませんが、↑のような記事がありましたので貼らせていただきます。

表題
『無医地区問題と医療費についての歴史・・ある医師の, マスコミウオッチより・・・・離島を除いて、無医地区の問題は、本質的には交通問題・・・しかし無医地区の住民に、都会地並の、他人を傷つけないで生活するテクニックが有るか無いかの問題が解決されなければ 駄目』

僻地って、心が僻地では、医師でも治し様がないですね。

通りすがりに付き失礼しました。

2010/3/14(日) 午前 10:08 [ - ]

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yosyanさんのところで、ほとんど事実判明したようです。
多分、十数年は、いや、今はいいますまい。

変わる可能性も少ないけど、なくはない。 かな。

2010/3/14(日) 午後 0:19 [ luckdragon2009 ]

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何か、Yosyanさんのとこ、最後の最後で、変になってますが、まあ日曜午後時点の状態の内容でまとめます。

最終的な地元への提言もつける予定です。
もともと亀速なので、ゴールまでもすこしかかりますが。

あっちが荒れ模様なので、私の提言も意味が出てきてしまったのは皮肉な事で。うーむ。

2010/3/15(月) 午前 1:46 [ luckdragon2009 ]

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sac*ik*zeさん、座間味の件もそうですが、
http://ameblo.jp/med/entry-10042038125.html
そういう排他的な所があるのでしょうね。

都会が良いとも一概には言えませんが、なかなか難しいですね…

2010/3/15(月) 午後 1:08 さすらい泌尿器科医

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luckdragonさん、確かに大荒れですね。(爆)
記事の方、お待ちしています。

医療供給が危機的なのは、別に上小阿仁村だけではないですからね…

今日の日経の一連の記事を見て、暗澹たる気分になっています…

2010/3/15(月) 午後 1:14 さすらい泌尿器科医

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